春学期 第6講目。
今日も快晴すぎる。
今期から関学のカリキュラムが変わり、12回の対面授業+3回のオンデマンド授業(計15コマ✕90分=1350分)となった(前期までは14回の対面授業✕100分=1400分)。早いもので、対面授業の折り返し地点に来たことになる。「少し寂しい」と思う気持ちが、私の本心なんだろう。つまり、授業は来期も続けたい、というのが本心だ。
関学の学生達は総じて地頭がいい。だから、悩みも多い。学生達から相談を受ける内容のベスト3が、就活、将来の不安、人間関係だ。今年もそのような相談が多い。特に人間関係に関する相談・質問が多い。
かつての親友と話が合わない。友達と思っていた人とうまくいかない。親と話が合わない。間違えた方向に向かっている友人にどうやって助言したらいいのか、などなど。
まずは、「他人を変えよう」なんて思わないことだ。「他人は他人、自分は自分」と割り切ることも大切。人は誰しも色んな事情を抱えながら生きている。そんな私事情は身内であっても分かり得ない。他人を変えるのではなく、自分を変えなければならない。
では、「良好な人間関係」を築くには、自分はどう変わればいいのか。
これには、4つのステップが必要となる。
第1ステップ:愛と感謝(自分が心を開く)
第2ステップ:存在承認(相手を承認し、相手からも信頼される)
第3ステップ:傾聴 (相手が心を開く、相手の話を聴く)
第4ステップ:フィードバック(自己主張ではなく、相手の話に答える・質問する)
第4ステップまでいって初めて「良好な人間関係」を築くことができる。逆に人間関係が下手くそな人は、いずれかのステップ(もしくは全てのステップ)を怠っている。人間関係の悩みを抱えている人は、まずは自分が変わることだ。相手を変えることなんてできない。人間関係がうまくいかないのも、人間関係が下手くそなのも、愛と感謝の欠如だ。
教室の隣の席には知らない学生が座っていることもある(私のクラスは学部も学年もバラバラなので)。しかし、多くの学生は隣の席の学生と挨拶もしない。目も合わさない。目があっても反らす。目を反らすから、相手も目を反らす。永遠に交わることはない。
しかし、隣に座ってる学生は「敵」なのか? 同じ学校の、同じクラスにいる「仲間」じゃないのか? たまたま同じクラスを履修することになった「仲間」に対して愛と感謝の気持ちを持ったらどうなのか? たまたま隣の席に座ってくれたことに対して存在承認をしてはどうなのか? 「おはよう」「おつかれ」の一言を言うだけでいい。口に出すのが恥ずかしいなら、目で「おはよう」「おつかれ」の合図を送るだけでもいい。それでも相手に伝わる。良好な人間関係はそこから始まる。
なので、今回の授業は、これまで話をしたことがない「仲間」に対して、愛と感謝の気持ちを持ち、存在承認をするところから始めた。すると、一気に学生達の表情が明るくなり、教室の空気が良くなった。斜に構えていた学生も、「話をしてみたらとても楽しかった」と笑顔を見せてくれた。
一人ひとりの「気持ち」が、全体の空気も変える。ネガティブで不機嫌な人間が一人いるだけで、全体の空気がよどむ。なので、「不機嫌な顔はすんな!」と学生に伝えた。「フキハラ」(=不機嫌ハラスメント)という言葉があるようだが、不機嫌は一種のハラスメントだ。幼稚な人間がやることだ。大学生にもなったら、身近な人と挨拶くらいしろ。幸せになりたいのであれば、まずはそこから。
その上で、良好な人間関係を築くには、傾聴とフィードバックを行う。つまり、相手の話を聞き、相手の話に答える。おしゃべりな人間の多くは、相手の話を聞かず、自分の話しかしない。しかし、私はこういう人間が苦手だし、こういう人間と良好な人間関係が築けるとは思えない。
私の英語コーチのアメリカ人のTさんは、「アメリカ人が会話のキャッチボールが上手なのは、『2ステートメント、1クエスチョン』を心がけているからだ」と教えてくれたことがある。例えば、相手が「私は会計士を目指してるんだ」と言ってくれたら、「おー!そうなんだ」(1ステートメント、共感)、「大きな目標を持ってるんだね!」(2ステートメント、褒める)、「合格したらどこの監査法人に行こうと思ってるの?」(1クエスチョン)、という具体に、『2ステートメント、1クエスチョン』をひたすら繰り返す。確かに、周りのアメリカ人の会話を聞いていたら、ほぼこのカタチで会話が永遠に続いている。おしゃべりな人は、これをすっ飛ばして、「俺は企業に就活するけどねー」と自分の話をはじめる(相手の話を全く聞いていない)。
学生から、「私は『内向的』なので、人と喋るのが苦手だ」といわれることがめちゃくちゃ多いが、私は、内向的な人間には、傾聴力、観察力、思考力、集中力、継続力といった「強み」があると思う。リーダーに向いているのも内向的な人間だと思う。私も内向的な人間であるが、内向的であることを直す必要なないと思う(というか、直るとは思えない)。自分の話ばかりする外向的な人間の方が人間関係で苦労しているんじゃないだろうか。そういう人間を目指す必要はない。内向的であることで悩む必要はないと思うが、もし悩んでいるのであれば、『静かな人の戦略書』という本を読んで欲しい。
上の4つのステップと、『2ステートメント、1クエスチョン』を心がければ、人間関係で悩むことも困ることもない。幸福度は確実に上がると思う。
繰り返しになるが、「他人を変えよう」なんて思わないことだ。地球上の83億人には、83億の個性がある。誰一人として同じ人間はいない。共感できないことがあるのは当たり前。言葉や怒りや不機嫌な態度により他人を変えようとする人が多いが、これが人間関係を破壊する。他人を変えるのではなく、異見(異なる見解)を求めること、"agree to disagree"(違う意見を認め合うこと)が大切なのだ。
今日は、こんな話から授業をはじめた。
昼休み、私の授業を履修しているMさんが所属しているJAZZ研究会(ジャズ研)が、中庭でライブをやるというので聴きにいった。宝塚を受験したことがあるというボーカルのMさんの歌声にうっとりした。
関学には個性があり、才能がある学生が多いと、つくづく感じる。ホントにみんなすごいなぁと思う。その才能を磨き続けてほしい。
歌が好きな人は歌を、絵が好きな人は絵を、料理が好きな人は料理を、とことん極めて欲しい。儲かるかどうかなんて考える必要はない。「好き」を極めた人には、誰も追いつけない。人は、学生時代の「好き」を極めなかったことに、一生後悔するのだ。
「好き」を極めよう。自分が最も自分らしく生きれることをやり尽くそう。












