関学秋学期第３講　～　内向的な人間であることで悩む必要はないという話 : 公認会計士武田雄治のブログ

関学秋学期第３講目。１週間が早い。
履修登録が確定し、２コマでのべ200名を超える学生と向き合うことになった。一人でも多くの「天才」を作り出したい。あと12コマ。真剣にやる。

１講義目で、「したいこと」を100個、「できること」（長所、特技、強み等）を50個を書くことを学生に課した。「したいこと」「できること」を追求することは、幸福度を高める。２講義目では、自分にとっての「幸せ」とは何かをノートに記すことを学生に課した。

のべ200名のコメントシート（レポート用紙）を拝読すると、学生達にとっての「幸せ」は、「家族や友達との良好な人間関係」との回答が圧倒的に多かった。先日紹介した『最高の人生のつくり方』という本にも、幸福になるためには、①家族、②友情、③仕事、④信仰、に注ぐことだと書かれている。人間関係や仕事が幸福に与える影響は大きい。だからこそ、良好な人間関係を築くべきだし、「したいこと」「できること」を仕事にすべきなのだが、学校ではその術を教えてくれない。

では、「良好な人間関係」を築くにはどうしたら良いのか。これには、以下の４つのステップが必要となる。

第1ステップ：愛と感謝（自分が心を開く）
第2ステップ：存在承認（相手を承認し、相手からも信頼される）
第3ステップ：傾聴　　（相手が心を開く、相手の話を聴く）
第4ステップ：フィードバック（自己主張ではなく、相手の話に答える・質問する）

第4ステップまでいって初めて「良好な人間関係」を築くことができる。逆に人間関係が下手糞な人は、いずれかのステップ（もしくは全てのステップ）を怠っている。人間関係の悩みを抱えている人は、まずは自分が変わることだ。相手を変えることなんてできない。人間関係がうまくいかないのも、人間関係が下手糞なのも、愛と感謝の欠如だ。

教室の隣の席には知らない学生が座っていることもある（私のクラスは学部も学年もバラバラなので）。しかし、多くの学生は隣の席の学生と挨拶もしない。目も合わさない。目があっても反らす。目を反らすから、相手も目を反らす。永遠に交わることはない。

しかし、隣に座ってる学生は「敵」なのか？　同じ学校の、同じクラスにいる「仲間」じゃないのか？　たまたま同じクラスを履修することになった「仲間」に対して愛と感謝の気持ちを持ったらどうなのか？　たまたま隣の席に座ってくれたことに対して存在承認をしてはどうなのか？　「おはよう」「おつかれ」の一言を言うだけでいい。口に出すのが恥ずかしいなら、目で「おはよう」「おつかれ」の合図を送るだけでもいい。それでも相手に伝わる。良好な人間関係はそこから始まる。

なので、今回の授業は、知らない人の隣に座ってもらって、愛と感謝の気持ちを持ち、存在承認をするところから始めた。すると、一気に学生達の表情が明るくなり、教室の空気が良くなった。

一人ひとりの「気持ち」が、全体の空気も変える。ネガティブで不機嫌な人間が一人いるだけで、全体の空気がよどむ。なので、「不機嫌な顔はすんな！」と学生に伝えた。「フキハラ」（＝不機嫌ハラスメント）という言葉があるようだが、不機嫌は一種のハラスメントだと思う。幼稚な人間がやることだ。大学生にもなったら、身近な人と挨拶くらいすべき。幸せになりたいのであれば、まずはそこから。

その上で、良好な人間関係を築くには、傾聴とフィードバックを行う。つまり、相手の話を聞き、相手の話に答える。おしゃべりな人間の多くは、相手の話を聞かず、自分の話しかしない。しかし、私はこういう人間が苦手だし、こういう人間と良好な人間関係が築けるとは思えない。

私に英会話を教えてくれているアメリカ人のTさんは、「アメリカ人が会話のキャッチボールが上手なのは、『２ステートメント、１クエスチョン』を心がけているからだ」と教えてくれたことがある。例えば、相手が「私は会計士を目指してるんだ」と言ってくれたら、「おー！そうなんだ」（１ステートメント、共感）、「大きな目標を持ってるんだね！」（２ステートメント、褒める）、「合格したらどこの監査法人に行こうと思ってるの？」（１クエスチョン）、という具体に、『２ステートメント、１クエスチョン』をひたすら繰り返す。確かに、周りのアメリカ人の会話を聞いていたら、ほぼこのカタチで会話が永遠に続いている。おしゃべりな人は、これをすっ飛ばして、「俺は企業に就活するけどねー」と自分の話をはじめる（相手の話を全く聞いていない）。

学生から、「私は『内向的』なので、人と喋るのが苦手だ」といわれることがめちゃくちゃ多いが、私は、内向的な人間には、傾聴力、観察力、思考力、集中力、継続力といった「強み」があると思う。リーダーに向いているのも内向的な人間だと思う。私も内向的な人間であるが、内向的であることを直す必要なないと思う（というか、直るとは思えない）。自分の話ばかりする外向的な人間の方が人間関係で苦労しているんじゃないだろうか。そういう人間を目指す必要はない。内向的であることで悩む必要はないと思うが、もし悩んでいるのであれば、『静かな人の戦略書』という本を読んで欲しい。

上の４つのステップと、『２ステートメント、１クエスチョン』を心がければ、人間関係で悩むことも困ることもない。幸福度は確実に上がると思う。

今日はこんな話をしてから、授業に入った。

「前置き」の方が長いが、それでいい。人生寄り道、回り道。「いろんな授業を聞いてきましたが、100分があっという間と思った授業ははじめてです」とコメントシートに書いてくれる学生が毎年いるが、私もあっという間すぎて焦ってる。

授業が終わってから、大阪の行きつけの鮨屋へ行った。今年初の松茸。土瓶蒸しも頂いた。まだ真夏の沖縄では食べられない。最高じゃ。

最近、この鮨屋のカウンターに座ると、ほぼ確実に両隣に外国人観光客が座る。今日は右がカナダ人のバンカー、左がロシア人のフォトグラファーだった。カナダ人はGoogle Mapsの評価がいいので飛び込んだらしい。ロシア人は去年もこの店に来たと。ロシア人も流暢な英語を喋ってくれた。ここに来るのが一番英語力が上達するかも。