chatan

沖縄は湿度が上がってきた。
It's muggy.

もうすぐ梅雨入りかな。
除湿機フル稼働の季節がやってきた。

時々マイチェア持参でくるおじさん。
どこから来てるんだろうか。


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ルポ 子どもへの性暴力
朝日新聞取材班
朝日新聞出版
2024-12-20



朝日新聞取材班『ルポ 子どもへの性暴力』(朝日新聞出版)読了。

色んなルポルタージュを読んでいたが、本書はすごすぎる。

タイトルのとおり、「子どもへの性暴力」を取り上げたものであるが、「性暴力」といっても様々で、道端や電車などでの痴漢や盗撮だけでなく、家庭内での親・兄弟からの性暴力、学校・保育園・児童養護施設内での教師などによる性暴力、子どもたちの間での性的いじめ、子どもの売春、JKビジネス、ネットでの性的画像拡散なども含まれる。

本書は、朝日新聞の取材班が、5年の歳月をかけ、100人以上の当事者(被害者のみならず加害者へも)にインタビューをし、編集したもの。インタビューに応じてくれる方を見付けるだけでも大変だと思うのだが、数十年前に性暴力を受けた被害者の方や、服役中の加害者の方にもインタビューをしている。約500ページの大作。

まず、驚かされたのが、我が国の「子どもへの性暴力」の多さ。女子は2.5人に1人が、男子は10人に1人が、何らかの性暴力を受けている。男子の被害者が多いことにも驚かされた。

被害者は、それがどのような性暴力であれ、癒せない心の傷(トラウマ)を負う。責められるべきは加害者であるが、被害者は「汚れてしまった」などの深い恥の意識や、自尊心・自分の価値を落とされたという思いなどから感情・行動をコントロールできなくなり、自傷行為(性行為・援交なども含む)や自殺念慮に及ぶことが多い。男性が被害者の場合は、男性としてのアイデンティティを取り戻すために、高い確率で青年期ぐらいまでに性的加害者になるという。

性的加害者は、性欲を抑えられずに性加害に及ぶと考えられがちだが、支配欲から加害に及ぶケースが多い。性的被害者が「自分の加害性」に気づいて性的加害者になることもあれば、社会的弱者が自分の力を誇示するために性犯罪に及ぶこともある。厳罰化や社会からの排除だけでは根本的な解決にならないことが分かる。

子供たちを性暴力の被害者にも加害者にもしないために、大人たちに何ができるのか。被害者や加害者が勇気をもって語ってくれたことをかみしめながら、考えなければならない。

本書は、この世から消えてはならない本(絶版にしてはならない本)だと思う。