chatan


沖縄に春はないけど、桜ドーナツで春を感じる。


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森永卓郎著『森永卓郎流「生き抜く技術」 31のラストメッセージ』 読了


森永卓郎さんは獨協大学で約20年にわたり正教員として働き、ゼミを受け持っていた。ゼミ生には、「幸福な人生を送るためのコツ」をエピソードトークとして伝えていたらしい(私の大学の授業と同じだね)。本書は、その学生向けエピソードトークをまとめたもの。

経済アナリストなので、「お金」の話も多い。お金が、自分の自由を守るための武器になる。逆にお金がないと、お金を稼ぐために自分の信条を曲げざるを得ない事態に追い込まれる(つまり自由を失う)。ある程度の貯蓄があれば、やりたくない仕事や、ブルシットジョブ(クソどうでもいい仕事)を断ることもできる。(第2章・第6章参照)

自分の自由を守るためには、若い時に体力の限界まで働いて技術や技能を身につけるべきだ。「働き方改革」というのは亡国の政策であり、したい仕事や楽しい仕事を労働時間が気にならないくらいやるべきなのだ(森永氏が若い頃、残業時間が月間250時間を超えるのは日常茶飯事だったらしい)。森永氏は政府のリスキリングに批判的。「本当の職業能力は生死をかけた試練の中でしか育たない」(P94)というのは激しく同意。

他にも、「幸福な人生を送るためのコツ」が満載。私の学生にも薦めたいと思う一冊。

なお、森永卓郎さんは2025年1月に亡くなられたが、本書はその3週間前まで、若い人、そして今後の日本のためを思って、執筆されていたらしい。2024年8月には13冊もの執筆依頼が来たが、徹夜での執筆を続けて、すべての書籍を書き上げたらしい。頭が下がる思いだ。

御冥福をお祈り致します。


試練