秋学期 第4講。
先週に続き、今週も最高の天気。
授業は11:00〜12:40(1時間40分)だが、いつも10:00頃にはキャンパスに入っている。絶対に遅刻する訳にはいかないからという理由もあるが、授業前にキャンパスを散歩し、その後、珈琲を1杯飲みたいから。
この日本庭園も好きな場所のひとつ。秋が近づいていることを感じる。
商学部の近くにある「新月池」も好きな場所のひとつ。
つくづく、いいキャンパスだ。
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さて、授業。今日も学生との対話から開始。
前回の授業に続き、「人間関係」の質問が多かった。前回の授業で「良好な人間関係を築くため4つのステップ」という話をした。この4ステップを抜きに良好な人間関係は築けないと思う。ファーストステップは「自分が心を開く」ことであるが、多くの日本人はここができない。他人の目を気にしすぎるから、善良な行為(例えば、電車で席を譲る等)ですら恥ずかしいと感じるし、ある本によると今の若者は「個性的だね」と言われることが最もイヤであり、「個性的であること」を忌避する(『日本の死角』P88〜)。私のクラスでも、積極的に手を挙げて発言する学生は2割ほど。一度も手を挙げない学生の方が多い。
他人の目を気にして発言できない、行動できないというのは、「他人軸」で生きているということなのだ。「他人軸」で生きている限り、絶対に幸せにはなれない。「自分軸」で生きるべきだ。
「恥ずかしい」「自信がない」と思っている時は、他人の目を気にしている証拠。仮に「他人」がいなければ、恥じらいもないはずだし、他者と比較することもないはず。今すぐに「他人の目を気にしない」ということができなくても、徐々に自分らしく振る舞っていけばいい。自分という人生の主人公は自分なんだから、思い切り振る舞うべきだし、そういう人の方がカッコイイ。
裸で生きろ。
4年生の女性から、「先生は周りの人と比較して自信を失くしてしまったという経験はありますか?」という質問を頂いた。ないことはないが、ほとんどない。他人のことなんて、どーでもいいし、比較することもない。比較するのは、昨日までの自分だけ。昨日までの自分と比較して、成長していないことに不甲斐なさを感じたり、自信をなくしたりすることはあるが、それは成長のプロセスで必ず起こり得ることだと思う。
就活の話にもなった。4年生の多くは就活を終えているが、3年生は就活中だったり、2年生はインターンシップに参加したりで、授業を欠席する人が多い(特に月曜日は就活・インターンシップが忙しいらしい)。今日の第4講で初めての授業に出たという3年生もいた。私が学生の頃よりも就活が前倒ししている。
学生達の話を聞く限り、就活の前倒しは、大手企業の危機感からきていると思われる。企業の人不足に加え、大学生の人口も減少傾向にある中で、会社側はあの手この手を使って学生を囲い込んでいる。
つい先日、某メガバンクも副業を認めるという発表をし、某ホテルチェーンは大学1年生から内定を出すと発表した。学生達も「違和感しかない」と発言していた。そこまでしなければ、人の確保ができないのだ。
内定が出てからも、研修という名目で学生を会社行事に参加させるのも、学生を囲い込み、内定を辞退させないためである。内定を出しても返事がない学生には、役員が内定者と個別に食事に行くこともあるという。そうやって大人達が「職業選択の自由」を学生から奪おうとしていることは、私は卑怯なやり方だと思う。学生達は、そうやって囲い込まれ、足枷を付けられているということを認識すべきである。
私は思うのだ。大学生活という貴重な4年間に、就活に時間とパワーを注ぎ過ぎではないかと。学生時代に「天職」なんて分からないし、分かったとて、数年で辞めるに違いない就職先を、そこまで必死に探す必要があるのか。
そもそも、新卒で名の知れた有名企業・巨大企業に就職しなければならないのか。そうしなければ負け組なのか。新卒採用だけが選択肢なのか。有名企業だけが選択肢なのか。その絞られた選択肢のために、2年生や3年生から授業を休み、クラブを休み、バイトも休み、インターンシップに出なければならないものなのか。「違和感しかない」という君たちの感覚を、もっと大切にしてはどうか。
就職先というのは「雇用契約」を結んだ契約先に過ぎない。昭和時代と異なり、あらゆるものを犠牲にしてサラリーマン共同体の中で定年までジェネラリストとして働く必要はない。会社は、自分が成長するための「手段」であり「ツール」である。会社のツールになってはいけない。いま一度、自分がホントは何がしたいのか、じっくりと向き合ってほしい。1年や2年、社会人になるのが遅れても構わない(私が社会人になったのは25歳だ)。それよりも、自分らしく思い切り振る舞えるステージを探すべきだと思う。
他にも色々な話を学生としていたら、授業時間が終わってしまった。本題は翌週に持ち越し。まぁいいよね。
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授業後、西宮北口のパスタ屋さん『RYU-RYU』で学生とランチ。私が学生時代にも通っていた『RYU-RYU』は、今でも学生に大人気らしい。ガーリックバターライスが美味い。
今日一緒にランチをした学生は、昨年の春学期も秋学期も私の講義を履修してくれ、今年も春学期・秋学期共に受講してくれている。同じ講義の重複履修はできないので、今年は単位が付かない「聴講生」としての受講になるのだが、それでも毎週月曜日に自宅から上ケ原まで往復3時間かけて通って来てくれている。有り難い話だ。そういう聴講生が何人かいて、再履修にも関わらず、必死にノートを取ってくれている姿をみると、講義にも(雑談にも)熱が入る。
1人の教育者の存在が、良くも悪くも人生を変えることになる。
人生を振り返った時に、「武田に出会って人生が(良い方に)変わった」と言ってもらえるような「伝説の講義」をこれからも続けていきたいと思う。