秋学期 第3講。
今日は、今年一番良い天気。
商学部の近くにある「新月池」。
関学の中で好きな場所のひとつ。
前回の授業で、3年生の学生(女性)がこんなコメントシートを提出してくれた。
武田先生の授業を春から引き続き授業することができて嬉しいです。先生の授業は、日常的に刷り込まれた当たり前の概念に気付かせてくれる唯一の時間です。毎回の授業で、先生のお話を聞いていると、私自身が知らず知らずのうちに世間体に取り憑かれていると実感します。そのような無意識のうちに当たり前と思っていたことを覆してくれる授業は、新鮮で貴重な機会だと感じています。(以下省略)
2年生の学生(女性)からは、こんなコメントを頂いた。
今日は、教室に着くのがギリギリになってしまったので、1番後ろの席に座りました。いつも前方の席に座るので、今回は見える景色が違いました。
大半の人が顔を上げ、先生の顔をじっと見ながら話を聞く。時折ノートに目線を落として記録する。そんな授業が普通なようで余りないのが現状です。
やっぱり武田先生のお話は学生に響くものばかりだと感じました。(以下省略)
4年生の学生(女性)からは、こんなコメントを頂いた。
今までたくさんの授業を受けてきましたが、こんなにも100分間があっという間に過ぎた授業は初めてでした。(以下省略)
いずれも嬉しいコメント。
沖縄から時間をかけて通っていながら中途半端な授業をするはずもなく、たった100分の中ですべての学生に何らかの気付きとインスピレーションを与えたいと、こちらも汗びっちょりになりながら必死で喋っているのだが、それを誰一人寝ることなく真剣に受け止めてくれていることも嬉しい限り。
多くの学生から質問も頂いた。
前回の授業で「人間関係」について話したので、人間関係に関する質問が多かった。友達がいなかったり、友達にイヤなことをされたり無視されたりイジメられたり、親からガミガミ言われたり、言いたいことが全否定されたり、とにかく人間関係というヤツは面倒くさい。
だからといって、人間関係を遮断すべきではない。「人間関係なんてなくたって生きていける」みたいなことを言ってる大人がいるが、人間関係がどうしようもなく下手糞なだけ。生きていけるなら生きてみろ。人は一人では生きられず、他者との繋がりの中で生きていく。そして、誰かに依存し、誰かに助けられ、誰かに甘えながら生きていく。例外なく。
では、「良好な人間関係」を築くにはどうしたら良いのか。これには、以下の4つのステップが必要となる。
第1ステップ:愛と感謝(自分が心を開く)
第2ステップ:存在承認(相手を承認し、相手からも信頼される)
第3ステップ:傾聴 (相手が心を開く)
第4ステップ:フィードバック(自己主張ではなく、相手の話を受け止める)
第4ステップまでいって初めて「良好な人間関係」を築くことができる。逆に人間関係が下手糞な人は、いずれかのステップ(もしくは全てのステップ)を怠っている。人間関係の悩みを抱えている人は、まずは自分が変わることだ。相手を変えることなんてできない。愛と感謝をもって、相手の存在を承認することから始めなければならない。
それでもすべての人と「良好な人間関係」が築けることはない。合わない人とは合わない。「カフェで2時間話が持たない人は合わない人」と、何かの本で読んだことがあるが、その通りかもしれない。そういう人と無理に付き合う必要もない。大切にすべき人だけを大切にすればいいのだ。
前回の授業でも言ったが、それまで仲良かった友達が急に冷たい態度を取ってきたり、急に連絡がつかなくなったりすることなんて、当然ある。それをいちいち「私に非があるんじゃないか」「何か悪いことしただろうか」なんて悩む必要はない。友達なんて利害関係がないんだし、利害関係がないからこそ友達なんだから、そんな関係性である友達との関係に加害者・被害者意識なんて持つ必要もない。去る者を追うな。葬れ。人間関係なんて川の流れのようなものだ。
自分から少しだけ心を開ければ、新たな出会いは向こうからやってくる。過去に人間関係で傷ついたり、トラウマになったりしている人は多いが、誰しもが人には言えない何らかの事情を抱えながら生きている。私もそうだ。だからといって、人間関係を遮断したり、他人の目を気にしながら生きるべきではない。誰も自分のことなんて見ていない。だから、他者のことを気にしながら生きるより、自分が幸せに生きることにフォーカスすべきじゃないかな。
という前置きから、今日も稲盛和夫氏の『実学』を使って講義をした。授業で学ぶ「理論」と、実務の世界で行われている経理の「実務」との乖離は、多くの学生が驚いていたが、この授業では私の経験をできるだけ伝えながら、経理実務の実態を学んでほしいと思う。
今日もあっという間の100分が終わった。
商学部の出口。ここもめちゃくちゃ好きな光景。
そろそろ紅葉色になるのかな。
何度来ても最高のキャンパスだと思う。
ここで働けることを誇りに思う。