沖縄北谷の「和さびや」が開店して3週間が経った。
来店客数ゼロいう日が何日かあるのではないか……、そういう日があればシェフやスタッフと宴会でもやろう……、なんて思っていたのだが、有り難いことにランチもディナーも連日多くの方に利用して頂いており、宴会は出来ていない。
今日は、会計士の先輩であり、「和さびや」に出資もして頂いたWさんが、「和さびや」で食事をするためだけに東京から来てくれた。
7月に増資をした際に、私とシェフ以外に9名の方が出資してくれ、うち4名が既に食事をしに来てくれ、3名が年内に予約を入れてくれている。これも有り難いことだ。
今日も「舟盛り」から始まり、シェフのオススメコースを振る舞ってもらった。
「和さびや」の1号店(三宮店)は吹けば飛ぶような小さな居酒屋である。しかし料理が美味しく、シェフも女将さんもスタッフも好きなので、「2号店を沖縄に出さないか?」と何度か打診し、何度か沖縄に来てもらったら、沖縄を気に入ってくれ、シェフの家族が沖縄に移住してきてくれた。これまでの投資経験から小さな飲食店はリスクが高いのに儲からないことを悟ったので、今回は50坪の店を出すことにしたが、近隣に類似和食店がないことなどを理由に銀行融資を得ることはできなかった(類似店がないからやるんだけど……)。開店資金を全額自己資金でやることもできたが、「和さびや」(三宮店)や私・シェフと御縁のある数名に「出資しない?」とLINEを送ってみたら、30分以内に1500万円を調達できた。これには胸が熱くなった。人生は人の縁が9割、ビジネスも人の縁が9割、と何度も書いてきたが、人の縁が9割9分だと思う。
とはいえ、実質的にシェフの1人会社である。朝から夜中まで厨房で闘う職人であり、休みなんてあったもんじゃない。株主総会も取締役会もやる訳ないし、中長期計画なんてある訳ないし、ガバナンスなんてある訳ない。吹けば飛ぶような飲食店が配当なんて出せる訳がない。株主優待は当然にするが上場企業みたいに出資割合に応じた「株主優待制度」みたいなものをたった9名の株主のために明文化できる訳がない。上場企業と零細企業は全く別モノなのだ。上場企業の論理、株主の論理をこんな会社に持ち込まれたらやっていけない。株主こと考える時間があるなら、顧客を喜ばせることを考えるべきなのだ。
なので、永遠に配当はなく(=金銭的リターンはない)、経営にも口出しできない無議決権株式を発行することにした。シェフを料理と経営に集中してもらうためである。事前にこのような話を出資予定者に説明したにも関わらず金銭的リターンを求めてくる人もいた。そういう「正論」を述べてくる出資予定者には出資を辞退して頂いた。短期的な金銭的リターンを求めるなら、こんな町の飲食店ではなく、配当利回りの高い上場株にでも投資をすればいい。確実に利回り3〜6%の配当が得られる。
それでも、「ワッシーを応援したい」「北谷を盛り上げたい」と9名の方が出資に応じてくれたのは嬉しいことで、ワッシー(シェフ)も女将さんも私も泣いた(マジで)。ワッシーは沖縄や海外で3号店、4号店と展開していきたいという夢・野心を持っている。沖縄北谷店を開店すると、色んな情報も入ってくるので、実現できそうな気がする。まずは沖縄北谷店を成功させ、さらにワッシーの夢を叶えたい。
3号店、4号店と展開するにはあと5年、10年かかるかもしれないし、失敗するかもしれないが、出資者の皆様には、そっと支えてあげてほしいと思う。5年先になるか10年先になるか分からないが、出資して良かったといってもらえるような店・会社に発展させたい。社会に足跡を残す会社を創ることが、出資者や地域社会に対する最大のリターンだと思う。コツコツやるのみ。
開店祝いでお高いワインをたくさん開けて頂いた。「美味しい」なんて単純な言葉で表現するのは失礼なくらい美味しい。こういうワインが北谷で飲めることが幸せだ。私の夢も叶った。美味しい料理・お酒と共に、大切な人と大切な時間を過ごしたいというお客様が、日本全国からやってきてくれるお店にしていきたいと思う。
Wさん、今日もありがとうございました。末永くよろしくお願い致します。
(※ 写真は許可を得て掲載している)