osaka


授業翌日、朝イチで伊丹空港へ。
対面での打ち合わせを希望されている顧問先の社長が伊丹空港まで来てくれた。関西3空港(伊丹、関空、神戸)は打ち合わせできるカフェやワークスペースが少な過ぎるし狭すぎる。いつも困る。とりあえず空いてるカフェで打ち合わせして、別の店で一緒にランチをした。パンケーキを頼んだら、すごいのが来た(上の写真)。満腹。

今日の顧問先とは4〜5年のお付き合いになる。会計力はバツクンに向上し、財務も安定してきた。ランチの時に社長が「武田先生から見て、私に足りないものや優先すべきものは何だと感じますか?」と聞かれたので、「マーケティング力だと思います」と即答した。

「マーケティングに力を注ぐ時間がないのであれば、他の仕事をちょっと手放して、マーケティングをすべきです。そこは社長しかできませんから」と、付け足した。

中小企業がいつまでも中小企業であるのは、マーケティングを「やらなさすぎ」だからだと思う(詳細は、拙著『社長の本分』のマーケティングの章を参照されたし)。ドラッカーは「マーケティングはセールスを不要にする」という名言を残したが、ホントその通りなのだ。中小企業こそセールスよりもマーケティングに力を注ぐべきだと思う。見込客が買いたくなるような、足を運びたくなるような、ポチっとしたくなるような、そんな「仕掛け」や「導線」を作らなければならない。

マーケティングの本なんて山ほどあるし、マーケティングのセミナーもたくさんあるのに、なんでマーケティングをやらないのだろうか。セールスが不要になるというのに。



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今日も飛行機はガラガラだったので、窓側へ移動した。が、羽の上だったので眼下は見えず。たっぷり読書した。


あっという間に9月が終わり、10月になった。色々と変わっていく時期。

私が独立開業した2005年に顧問契約をし、そこから10年以上お付き合いをしてきた中小企業の社長がこの9月末で退任された。SNSを拝見すると、会社で「退任式」が行われ、全役職員からお祝いをもらい、大きな花束ももらっている写真がアップされていた。私もお祝いのメールを送ったら、すぐに返事を頂いた。ホントおつかれさまでした。

私が独立開業した直後、知り合いの紹介でこの社長を紹介してもらった。「利益が出てるのに、なんでキャッシュが増えないのか分からない」、「借金が増え続けて、一向に減らない」、「理由が分からないので見てほしい」と言われたのだ。イヤな予感しかないが、顧問契約を結んだ。それまで税理士が年に1度決算を締めるだけで、月次決算をしていなかったので、すぐに月次決算をするように指導した。財務分析をする間でもなく、おかしなところが次々と見えてきた。キャッシュが増えない理由も、借入金が減らない理由も分かった。独立開業する前は上場企業の財務諸表しか分析したことがなかったが、我が国の99%以上を占める中小企業の決算書は異次元の実態であることを目の当たりにして絶句したことを昨日の事のように覚えている。しかし、これはいい経験になった。会計監査を受けていない会社の決算書の信頼性は極めて乏しいということだ。そんな会社に銀行は湯水の如く融資をしていた。ある意味、神対応。そうやって中小企業は維持存続しているのかという世界観を知った。

財務の立て直しには数年を要したが、その直後にリーマン・ショック、東日本大震災が起こり、倒産の危機に直面した。月末の支払いのキャッシュが足りないという状況で月末の最終営業日まで数字を凝視し続けるという経験もした。「すべての支払を止めてー!」と経理に指示したこともあった。上場企業のコンサルだけをやっていたら、こんな経験はできん。

震災後も大変だった。何度も何度も倒産の危機にあい、コスト削減にも限界がきたところで、月額30万円を頂いていた私の顧問契約が重荷となってきたため、身を引いた。社長には大変感謝をして頂いた。「武田先生がいなかったらとっくに倒産していた」「私がどんなに努力をしても今の財務状況はつくれない」と何度も言って頂いた。

顧問契約が終わってからもちょくちょく連絡をしていたが、マーケティングもうまくいき、財務面も安定し、後継者も決まり、危機は乗り越えたようだった。そして、満を持しての退任。社長と出会った時は40代前半だったと思うが、もう63歳ですか。会社を潰すことなく、いいカタチで後継者にバトンを渡せたことはホントに良かった。

この社長との10年以上にわたるやり取り、会社の再生・復活などの経験が「黒字社長塾」を立ち上げるキッカケにもなったし、拙著『社長の本分』の原稿にもなった。人の縁とは不思議なものだ。私もこの社長と向き合って、多くのことを学ばせて頂いた。


ちなみに、「黒字社長塾」は来年から大幅リニューアルする。これまで対面受講のみで開催していたけど、オンライン受講ができるようにシステム構築中。年明けに新規塾生を募り、2025年4月より「新第1期生」の黒字社長塾が開講する予定。会計もファイナンスもマーケティングも学べる真の経営塾をやろうと思う。

黒字社長塾 in 沖縄(2024/10/19開催)は残席1席。詳細はこちら


社長の本分