期末試験

春学期の授業全14講の最終講。早いもので半期のカリキュラムが今日で終わる。

14講目は期末試験(授業内試験)。授業開始のチャイムと同時に、45分の期末試験開始。試験問題は、知識を問うような問題は出題していない。思考力を問う問題を出題した。授業を聴いてたら満点が採れる内容なので、授業に出てた学生はちゃんと書けていたと思う。「時間が余ったら裏面に授業の感想を書いといて」と伝えておいたのだが、大半の学生が裏面にもぎっちりと何かを書き込んでくれていた。

後で読むのが楽しみだ。


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試験終了後は、少し時間があったので、学生達に最後のメッセージを送った(この最後のメッセージが聴きたいからと、未履修の聴講生も試験終了後に入室に来てくれた)。

まずは、私から学生の皆様へ、1回目の授業から最後まで履修を続けてくれたことに心からの感謝を述べた。履修登録はしたけど、単位を充たしたり、就活が忙しかったりで、消えていった学生が約3割いる。そんな中、たくさんの授業がある中で、私の授業を選択してくれ、最後まで履修してくれたことは、心から感謝している。そして、前回までの13回目の授業において、合計540枚のコメントシートを提出してくれたことにも感謝している。全てのコメントシートを複数回熟読し、できる限りのフィードバックをしてきた。この学生との「対話」を通して、私も思想・哲学をしてきたし、成長させてもらったと思う。

1回目の授業で「ノートが人生を変える」「毎日ノートを持ち歩け」という話をし、2回目の授業で私が使っているモレスキンを学生に見せたところ、ある学生がモレスキンを購入し、毎日ノートに向き合うことが習慣になったらしい。学生にとってモレスキンは高額な投資だったと思うが、自分と向き合うために書き続け、もう1冊目を使い切るという。たった3ヶ月であるがノートを通して自分と向き合ったことによって、自分を深く知ることができたという。自分のしたいことが明確になっただけでなく、自分の夢がより大きなものになったらしい。以前から起業家になることが夢であったが、今は「世界一の経営者になる」「武田先生に出資して頂く事業を創る」という大きな夢をノートに追記したらしい。多くのコメントシートの中でも、特に嬉しいコメントだった。

別の学生は、13回目の授業後に提出してくれたコメントシートに、これまでの13回の授業の中で「私がものすごく心を動かされた武田先生の言葉」というのを幾つか列挙してくれていた。その1つが(9講目で述べた「一隅を照らす」という言葉だった。私がこの教室の「一隅」(=部屋の隅っこ)でロウソクを照らしても、教室全体が明るくなることはない。しかし、私がある学生が持っているロウソクに火を灯すと、その学生が別の学生の持っているロウソクに火を灯してくれるかもしれない。それが続いていけば、たった1本のロウソクの火が部屋全体を明るくするかもしれない。人の心を動かすこと、社会を動かすことって、「一隅を照らす」ことから始まるのだ。だから最初に火を灯すこと。その情熱を途切れないよう、相手に伝えていくこと。そんな話が彼女の心に火を灯すことができたことは、私としても嬉しいことだ。

良くも悪くも、1人の教育者との出会いが人生を変える。教育者の端くれとして母校に登壇することなったが、どうせ登壇するのであれば、「良い影響を与える1人」になりたいと思っていた。だから、教科書を1ページ目から読むだけという下らない授業をする気にはなれない。100分という限られた時間の中で、どうやったら「良い影響を与える1人」になれるのかについては、毎週毎週授業時間の3倍も4倍もの時間をかけて考え続けてきた。私も昨年春学期に「一隅を照らす」ということから始めた。1年経って、その火が徐々に商学部全体に広がっていることは素直に嬉しい。

人生って映画のようなものだと思う。人生はエンターテイメントだと思う。世の中には80億もの映画が上映中であり、「わたし」という人間はその1つの映画の主人公なのだ。面白い映画って、どんな映画だろうか。何の苦労もせず成功や富を手にした人の映画って面白いかな? 何の行動もせず、何の挑戦もせず、言い訳ばかりしてる人の映画って面白いかな? 起承転結もなく、喜怒哀楽もなく、時間だけが過ぎていく映画って面白いかな? 様々な失敗や苦労や逆境を乗り越え、挑戦を諦めず、最後の最後に夢や栄光を掴むという波乱の人生の方が人を惹きつけるよね。大きな波があるからこそ、最高のエンディングが迎えられる。そこに人は感動するのだ。

ここにいる皆さんは、どのような映画の主人公を演じたい? どういうエンディングにしたい? それをもう一度、ノートに向き合って、書き出しいてほしい。人の目なんて気にしなくていい。どんな演技をしてもいい。「一度きりの人生という映画」を演じるのであれば、皆さんがホントにしたいことを、思いっきり演じるべきではないかな。

これまで皆さんは20年前後生きてきて、多くの人から影響を受けてきたと思う。特に影響を受けているのは母親と教育者ではないだろうか。それらの人々を通して、多くの無知や偏見、思い込みや呪縛を感じたり受けたりしてきたと思う。「人と同じことをやらないとダメだ」とか、「人と違うことをするのは恥ずかしい」とか、挑戦者をバカにするとか、成功者を妬むとかね。けど、そんな呪縛を解くことができる人は一人しかいない。自分だよ。「私の呪いを解けるのは私だけ」。これは、このクラスのMさん(2年女子)から教えてもらった『本屋さんのダイアナ』っていう小説に書かれていた一節。いい本なので、興味あったら読んでみて。

これまで「他人の映画」を演じてきた人も多いと思うが、これからは「自分の映画」を演じてほしい。それは親が願う人生ではなかったかもしれないが、自分のやりたいことをトコトンやればいい。

「自分の映画」を思いっきり演じる方法、それを伝えてこの授業は終わりとする。

それは、決断と行動。以上。

決断とは、いま決めること。行動とは、いま一歩踏み出すこと。
それができない人間は一生何も分からない。いつまでも言い訳をして、「他人の映画」を演じることになるだろうね。私は「人生は劇的にしか変わらない」と思っているが、決断も行動もできない人は劇的にすら変わらない。誰にも感動を与えない下らなん映画の主人公で終わる。

人に感動を与えることができる映画の主人公は、みんな決断と行動を繰り返してきた人ばかり。真面目に勉強ばかりしなくていいから、人生を楽しみ尽くすと決めて、圧倒的な行動をしてほしい。全力で自分の人生を演じてほしい。

今日で講師と生徒という関係が終わるかもしれないけど、関学の先輩と後輩という関係はどちらかが死ぬまで続く。是非面白い映画ができたら連絡してほしい。



このようなメッセージを伝え、最後のコマを終えた。
やり切った。

今日も多くの拍手を頂いた。

授業後、何人かの学生が挨拶に来てくれた。目を見て感謝の言葉を伝えてくれた。一緒に写真を撮って、名刺を渡して、再会を約束して、教室を後にした。

14回の授業で全ての履修者の顔と名前をなんとか覚えた。皆の真剣な眼差しや笑顔は生涯忘れないだろう。楽しい3ヶ月だった。出会いに感謝。I'm Proud.


期末試験


ある学生が、「授業が終わることは悲しい」と言ってくれた。私も同じ気持ちだ。


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夜、第2回食事会。今回も聖地『ふじや』にて。

fujiya

先週開催した第1回食事会は、授業中に1対1で喋ったことがある学生ばかりだったが、今回は1対1では喋ったことがない学生も何名かいた。そういう学生が参加してくれたことは嬉しかった。授業中に積極的に発言する勇気はないが、私と喋りたかったという学生が、授業の感想を伝えてくれたり、感謝を伝えてくれたりしたのはホントに嬉しい。

授業以上にたくさんの対話をしたが、書き出したらキリがないので、また気が向いたらどこかで書くとする。


fujiya2

最後に記念撮影。
ホントに楽しい1日だった。



nishikita

飲み足りない者だけで2次会。
終電まで付き合った。3年生から7年生(!)までいたが、もう歳なんて関係ない。楽しかった。お前ら、なんでそんなおもろいねん。
また行こうぜ。




kwanseigakuin

ホテルに帰ると日付が変わっていた。
2次会に参加した学生からも「無事帰りました!」とLINEが届いて、ひと安心。

今学期の御礼と、少し早い私の誕生日にと、学生からプレゼントを頂いた。ゴディバのクッキー(これはめちゃくちゃ美味しかったぞ!)と、ブランドもののハンカチ。こんなことしてくれる学生いる?? というか、こんなことしてもらえる教員いる??

今日は相当飲んだんだけど、いろんなことが嬉しくて、興奮して、寝れなかった。明日は何の予定もないから寝なくてもええわと、テストの答案用紙の裏面に書かれた学生からの長いメッセージを読みながら、泣いた。これまで頑張ってきて良かった。

またこれからも「自分の映画」を精一杯演じていこうと思う。
母校に貢献できることを誇りに思うし、とても幸せに思う。
Mastery for Service.