午後の便で沖縄へ。
今日も飛行機はガラガラだったので、席を通路側から窓側へ変更した。整備士が最後まで手を振りながらお辞儀をしてくれていた。こういうのは気持ちがいい。見習うべきだ。ビジネスでもプライベートでも、うまくいかないのは愛と感謝の欠如。相手を思いやる気持ちの有無。愛と感謝の気持ちが言葉や態度に込められていたら、たいていのことはうまくいく。
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私の授業を受けてくれていた学生の中に、スタバでバイトをしている人が4人いる(全員違う店舗だが)。スタバでは、ベテランバイトが新人バイトをトレーニングする「バリスタトレーナー」という制度がある(ちなみに、スタバでは従業員を「PTR」(partner)と呼ぶ)。
初めて「バリスタトレーナー」の役割を得た学生は、「スターバックスとは何か」という経営理念から、日々のオペレーションまで教えているのだが、キチンと伝わっているかどうか不安だという。
その学生から、以下のような質問を頂いた。
「武田先生は、授業や講演を行う際に、人に伝えるうえで工夫していることや、人の気持ちや疑問を引き出すコツがあれば教えて頂きたいです」(商学部3年)
少し話は反れるが、7月6日は「公認会計士の日」(公認会計士制度が制定された日)で、毎年7月6日の前後に日本公認会計士協会東京会が、すごいゲストを読んで「公認会計士の日 記念特別講演会」というのを開催する。今年は齋藤孝教授が登壇された。さすが、コミュニケーションを専門とする学者だけあり、冒頭から笑わせてくれた。
この講演は「コミュニケーション力」をテーマにしたものであり、齋藤孝教授は、コミュニケーションとは「意味」と「感情」を伝えることだと述べていた。「意味」というのは伝えたい内容であり、言語レベルのものであるが、「感情」とは身体レベルのものである。コミュニケーションを取るためには、身体表現を身に付けるべきなのだ。
私は冒頭で「愛と感謝の気持ちが言葉や態度に込められていたら、たいていのことはうまくいく」と書いたが、愛と感謝の気持ちを「あ・り・が・と・う」と5文字の「言葉」だけ発しても、そこに身体レベルの「感情」「態度」が乗っかっていなければ、相手には伝わらない。伝わらないということは、言っていないことと同じなのだ。
私が会計の授業で、無感情・無表情に「左を借方、右を貸方といいます。覚えておいてください。」なーんて言ったら、どう思うよ? 実は、私が大学で初めて受けた授業が「簿記基礎」という授業で、某講師が授業の一番最初に無感情・無表情に発した言葉がこれだったんだよ。初めて簿記を学ぶ学生にいきなりそんなことを言って、誰が簿記に興味を持つかね? 「このオッサン、教育者として終わってる」と思い、2回目から出席するのを止めたんだよね。コミュニケーションって「言葉」だけ発しても、相手には伝わらんよ。
私は、授業や講演を行う際に、言葉(意味)よりも情熱(感情)を全身で伝えるようにしている。学生からのコメントシートに「武田先生の情熱に圧倒されっぱなしだった」と書いてくれていた人もいたけど、私の授業なんて情熱だけ。教育を変えたいという情熱のみ。けど、言葉(意味)だけ伝える下らない授業や講演より100倍以上記憶に残るはず。記憶にすら残らない授業や講演って、何なんだろうと思う。
ということで、スタバで働く学生に「同じPTR(partner)として働いていることに愛と感謝の気持ちを忘れず、スタバで働くことの意味などを全身で『情熱』をもって表現してみたらどうだ?」と伝えた。スタバで働く人は、みんなコミュニケーションのプロなので、逆に私が教わりたいくらいだよ。
ちなみに、齋藤孝教授は、双方向のコミュニケーションをする際に必要なものは「リアクション」だとも述べていた。「リアクション」なくしてコミュニケーションは成り立たない。しかし、日本人(特に男性)はリアクション能力がどんどん低下している。「少し多めに驚き、少し多めに笑え!」、「上機嫌は作法なの!」とも述べていた。こっちが一生懸命喋っても、冷めたピザのような不機嫌な顔したつまらん人間が多いが、自分がそうならないように気を付けないとね。
(※ 画像はネットより拝借した)