依存、ウツ、不安、ひきこもり、トラウマ、発達障害、統合失調症、自殺願望……、大なり小なり、人は何らかの「心の病気」を持っているのではないか。
本書は、そのような「心の病気」を治癒していくにはどうしたらいいのかについて、元新聞記者の著者が、各界の名医・専門家への取材・インタビューを交えながらまとめてくれたもの。
精神科に限ったことではないと思うが、「5分で診察し、薬を出すからまた来てね」というのが、経営的には最も「効率」がいい。しかし、「心の病気」がそれで治るのか。
「心の病気」を抱えることになった根本的な事象が幼少期などにきっとあり、そこにネガティブ感情・思い込み・被害妄想が交じったりすることによって、心が病んでいくのだろう。本書は、この根本的なところと向き合う認知療法やオープンダイアローグについても紹介してくれているが、これは医学に素人の私でも非常に参考になった(私生活でも活かせる)。
スマホやアルコールに依存したり、不登校になったり、ひきこもったりという「困った人」は「困っている人」なのだ(P25)。そういう人を投薬や入院によって更生させるのは限界があるだろう。
「人は人とのつながりの中で癒やされ、力をもらい、生きていける」(P39)というのは真理だと思う。「人と人とのつながり」が希薄である人が、孤立という苦痛を回避するために「困った人」になる。
そのような「困った人」「困っている人」にこそ、真のつながり、対話、共感というものが必要であり、つまるところ、「人間関係」を取り戻すことが必要なのだ。
本書は、精神医学の本ではあるが、非常に読みやすく、「いかに生きるべきか」をも教えてくれる本でもある。自分が「困っている人」になった時、または、周りに「困っている人」がいる時に、どう対処すべきか。先端の医学から学ぶことは多い。
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先日の黒字社長塾の打ち上げにおいて、スタッフの方から、このブログの書評だけを別アカウントとしてまとめてはどうか、という提案を頂いたので、Instagramにて書評だけのアカウントも作りました。
ブログ読者の方から「書評を楽しみにしています!」「ブログで紹介して頂いた本を読みました!」と言われることは多いのだが、書評を投稿した時はアクセス数が(確実に)減るんじゃよ(だから、最近は書評と分からないようなタイトルを付けてるんだけどね)。
あまり書評は読まれないのかなぁ〜なんて思い、読んだけど紹介してない本は山程ある。
しばらく両方に投稿しますけど、本が好きな方はインスタもフォローして頂ければ幸いです。
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