ベストセラー『生物と無生物のあいだ』 (講談社現代新書)の著者でもある 科学者・福岡伸一ハカセの『動的均衡』が新書化されました。本作も、嫉妬する程の面白さ。なんでこんな文章がうまいのか。。。
生命とは機械ではない。そこには、機械とはまったく違うダイナミズムがある。生命の持つ柔らかさ、可変性、そして全体としてのバランスを保つ機能――それを、私は「動的均衡」と呼びたいのである。(P176)
全体を通して痛烈に感じるのは、「生命のダイナミズム」。もう驚きであり、美しくもある。絶え間なく何かを壊し、新しいものを作り出し、そうやって精妙なバランスを取りながら、私たちの生命がある。
冒頭に「なぜ、バイオテクノロジーはうまくいかないのか」という話がありますが、生命はテクノロジーを超えているからでしょう。
個人的には、第4章の『その食品を食べますか?』は多くの人に読んで欲しい章。生命が「動的平衡」をとっている中、生物の構成分子以外の食品添加物が身体に入ってくるとどうなるのか。人類の長い歴史の中で、添加物の使用が始まって長い時間が経っているわけではありません。福岡ハカセは「私たちは壮大な人体実験を受けているようなものだ」(P133)といいます。遺伝子組み換え食品についても本章で触れてますが、ここも読んで欲しい。
来月、こんな本が出るようです。福岡伸一による西田幾多郎。予約済。