続きです


これまで、「1日1食」「半断食」「3日断食」について書かれた本を紹介してきましたが、今回は「◯◯制限」系の本をご紹介します。

噂のジョコビッチの本です。


ジョコビッチの生まれ変わる食事
ノバク・ジョコビッチ
三五館
2015-03-21



ピーク・ヒューマン・パフォーマンス(人類が行いうる最高のパフォーマンス)を出すにはどうしたら良いのか?

かつてジョコビッチは、フェデラーとナダルというテニス界の世界最高といわれる2人には追いつかず、「第二集団」でもがいていた時期がありました。世界ランク3位で伸び悩んでいたとき、ある簡単な検査で「あるもの」に過敏な体質を持っていることを知ります。

そこで彼は、「食事」から「あるもの」を取り除くことにしました。すると、ジョコビッチは「まったくの別人に」なり(P29)、人生が一変することになります。



その「あるもの」とは、グルテン

グルテンとは、小麦・ライ麦・大麦など穀物に含まれているタンパク質の一種で、パンやうどんのもちもち感や弾力の素になる働きをするもの。グルテンは、パン、ホットケーキ、パスタ、ピザ、シリアル、ケーキ、クッキー、ビール、多くの加工・人口食品などに含まれています。

グルテンがパフォーマンスを下げる(肉体をむしばむ)理由は第4章に詳述されていますが、簡単にいえば、血糖値が上がり、インシュリンが分泌され、脂肪が増える(太る)ため。

以前、「低インシュリンダイエット」というものがブームになりましたが、「グルテンフリーダイエット」というのもあるようです。

ジョコビッチは、このように書いています。

私の人生が大きく変わったのは、体に合った正しい食事を始め、体が求めるとおりに従ったからだ。
(中略)
体のキレがよくなり、神経はさらに研ぎ澄まされ、かつてないほど活力がみなぎるようになっていた。

さらに動きが早くなり、柔軟性も増し、他の選手ならラケットが届かないボールにも届くようになり、かつ強さも増し、精神面の集中力も今までになくしっかりしてきた。疲れを感じることも、息切れすることもなくなった。アレルギー症状も消えた。喘息も出なくなった。今まであった恐怖や疑念はすべて自信と置き換えられた。もう3年近くひどい風邪やインフルエンザにかかったこともない。

一部のスポーツライターは私の2011年シーズンを「プロテニス史上最高の一年」と呼んだ。タイトルを10個獲得し、グランドスラムで3勝、そして43連勝だ。そのために変えたのはただ一つ、食事だけだったのだ

私が一番驚かされたのは、わずかな変化なのに、もたらす結果があまりにも劇的だったということだった
(P30〜)


第4章では、グルテンが含まれている食物が列挙されていますし、ジョコビッチがどういう食物を選んでいるのかも列挙されています。第5章では、「食べ方のルール」も書かれています。

これだけでもかなりのバリューがありますが、本書はまだ続きます。

第6章では、圧倒的成果を出す思考のトレーニングとして、話題の「マインドフルネス」(認知療法)や、「睡眠」についても、第7章ではジョコビッチが行っているトレーニングとして、「ダイナミック・ストレッチ(動的なストレッチ)」や「ヨガ」などについて触れられていますが、ここだけでも相当な内容です。

本書のタイトルに『食事』とついてますが、単に『食事』のことだけが書かれた本ではありません。
世界の頂点まで登りつめた人が、どのような習慣を形成しているのかを垣間見ることができる内容であり、個人的には最近読んだ本の中で最も良かったと思う一冊です。

(続く)


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夏井 睦著 『炭水化物が人類を滅ぼす』(光文社新書)