こんな国があったようです。

29歳という若さで教育大臣に任命され、財政赤字で国家の危機という状況でありながら、国をあげて教育に投資をすることにした結果、研究開発が活発になり、新たな産業が育ち、たくさんの雇用が生まれ、良き納税者が増え、経済が劇的によみがえった・・・

どこの国だと思いますか?


一方、日本はどうか。

■公立高校の授業料は完全無償化ではない →OECD加盟国34カ国のうち31カ国は無料
■教育機関への公的支出がGDPに占める割合は3.6% →比較可能な30カ国中、最下位
■15歳の生徒の75%が塾通い →OECD加盟国34カ国のうち、韓国に次いで2番目
■日本の幼児教育・保育への私費負担割合が54.8% →OECD加盟国で一番高い

という有様。

つまり、日本という国は、教育に対する公的支出がめちゃくちゃ少なく、教育は家庭に支えられているのです。

その結果どうなるか?

我が国に「教育格差」が社会問題化しているといいます。

本来、どの子供にも均等な教育の機会を与えられるべきなのに、収入の高い家の子は十分な教育くを受けられ、収入の低い家の子は十分な教育を受けられない。

消費税増税等により、今後ますます生活が苦しくなることが予想される中、このまま格差が続いたらどうなるのか? 

貧困から抜け出すために必要な教育が、貧困であるが故に受けられないという家庭が出てくるかもしれない。

池上彰氏は、「その先に見えるのは衰退した国家の姿なのではないでしょうか」と述べられてます。

とてもショッキングな話です。


ちなみに、冒頭の教育に力を入れた国とは、フィンランド。
フィンランドでは、一人暮らしの大学生に月5〜7万円を援助する制度があったり、文房具代・給食代・交通費なども国が面倒をみたり、国をあげて教育に力を入れているようです。

日本もフィンランドを見習うべきだと思いますが、高校の完全無償化も頓挫したくらいですから期待できません。



安倍政権は「教育再生」を議論していますが、教育の専門家でもない人が審議会等のメンバーとなり、「事実」とは異なる印象思い込みで、ああでもない、こうでもないと議論し、教育改革案が決まっているようです。この国の将来は真っ暗かもしれません。

なお、ここでいう「事実」とは、例えば、以下のようなこと。

■「ゆとり教育によって学力が低下する」と騒がれたのは、ゆとり教育の「導入前」のこと。
■「ゆとり教育」により子供の学力は低下していない。
■「いじめが急増した」と言われているが、急増していない。
■道徳教育により道徳心が高まるわけではない


などなど。報道もいい加減なものです。


最後に、「おいおい、大丈夫か!?」とツッコミを入れた話をご紹介。

池上彰氏のもとに、「世界史をわかりやすく学べる教科書を作りたい」という依頼がきて、叩き台を作ったようです。それを他の先生に見てもらったところ、「わかりやすすぎる」と言われ、敬遠されたとか。わかりやすい教科書を使って解説すると、先生の存在価値が薄れるから、というのが理由だそうです。
一体、誰のために教科書を作ってるんでしょうね。
世界史なんて山川の教科書を読むより、池上彰さんの「学校では教えない『社会人のための現代史」』」 を読むほうが100倍面白いですけどね。

教科書が出来上がるまでに6年もかかるというのも如何なものか。今使っている教科書は数年前に決定した教育方針のもの、ということです。



本書を読んで感じたこと

●色々な面で、教育する側(文部科学省、教育委員会、学校、教師、保護者)こそ教育が必要。
●日本の学校は、「教科書で教える」場所でなく、所詮「教科書を教える」場所に過ぎない。
●自分の子供が橋本武先生森信三先生みたいな教育者に出会えることはないだろうから、子供の教育は家庭でやるべき(学校に頼ってはならない)。
●早いうちに海外に留学させなければならない。