なぜ私だけが苦しむのか―現代のヨブ記 (岩波現代文庫)なぜ私だけが苦しむのか―現代のヨブ記 (岩波現代文庫)
著者:H.S. クシュナー
岩波書店(2008-03-14)
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天災、事故、病気・・・我々の苦しみは、天罰なのか? 神の怒りなのか?
この苦しみは、我々の悪いところを正すようにと神が与えた戒めなのか?

仮にそうだとすると、
自らの子供の命を引き換えにするには、あまりにも取るに足りない教訓ではないか。

本書の著者、H.S. クシュナーの娘アーロンは「早老症(プロゲリア)」という病気になり、生後8ヶ月で体重の増加がとまり、1歳になったころから髪が抜けおち、苦しみをかかえながら14歳という若さで亡くなった。

あらゆる苦しみの中でも最愛の子供を亡くすということほど辛いものはないかもしれない。

この耐えられない辛さ、痛みに、クリスチャンの著者は
「神がいるのに、どうして善良な人に災いがおそうのか?」
と問いかける。

宗教は安らぎを与えてくれるのか?
むしろ、宗教は我々の気持ちをことさらみじめにしているのではないか?

そんな疑問を持ちながら、旧約聖書を学び直す。

そこで神は完全ではないことを知る。
自分の子供をどれだけ愛していても、自分は完全ではないように、
神が我々をどれだけ愛していても、神は我々の苦しみや不条理を防ぐことはできない。

そんな不完全な世界で、神は何を与えてくれたのか、我々はどう生きるべきか。

短い人生の中で一度は読むべき本。