これまで何度か書いてきたが、コロナを機に仕事も手放した2020年、初めてクライアントがゼロになった(当然売上もゼロになった)。まぁいいやぁ〜、もう仕事やめよう〜、と思って2年くらい放浪していた。
しかし、一昨年からちょこちょことコンサルの問い合わせを頂くようになった。しかも、結構大きな規模のものを。相見積りを取るところは全て断り、私を指名してくれるところとのみ契約させて頂いた。
コロナ前と違うのは、非対面(オンライン)でプロジェクトができることだ。契約してから一度もお会いしたことがない方もいる。なので、沖縄に住んでいて何ら不自由をしたことはない。
先日、上場支援をしている東京都内のクライアントの経理部長から連絡があった。「一度来社して、経理部の現状を見て頂き、改善のアドバイスをもらえませんか」と。経理部長は公認会計士有資格者でもある。「現場に問題あり」とおっしゃりたいのだろう。断る理由もないし、上京する予定もあったので、今日ご訪問させて頂き、ワークスペースを初めて入らせて頂いた。いつもZoomの画面越しでしか見たことがなかった経理部員の皆様とようやくお会いすることができた。
ワークスペースに入って2〜3分で問題点が分かった。管理部門の人数が異常に多い。紙が異常に多い。上場前のベンチャー企業としては異常な数。大量に積み上がった書類も見せてもらったが、昭和時代の中小企業の如く、全ての紙に複数名の担当者のハンコが押されている。こんなの、久しぶりに見た。システムに入力した伝票を、わざわざ紙で出力し、紙にハンコを押し、紙で保存するのはなぜなのか? システム上で承認すればいいじゃないか?
たまたま社長がいたので、初めて挨拶させてもらった。そして、オブラートに包まず伝えた。「紙とハンコが業務の効率化を阻害してます。やってることが細かすぎです。上場前でやることは山ほどあると思いますが、決算早期化とか、内部統制構築とか、システム入れ替えとか、色んなプロジェクトをやる前に、社内から紙とハンコを無くしたらどうですか?」と。社長の反応は鈍かった。「こんな状況でシステム投資をしたら現場がますます混乱しますよ」とも伝えたが、多分伝わってない。
上場企業においても、経理部門から紙とハンコが全くないというところもある。コピー機すらないというところもある。フリーアドレスを採用し、固定席すらないところもある。それでも有報・短信は作れるし、監査対応もできる。固定席に膨大な書類が積み上がっている時点で古めかしさを感じる。
今日訪問したクライアントも、紙をなくせば、管理コストは大幅に削減できるのではないだろうか。それが結果として、業務効率化にも繋がり、決算早期化にも繋がるはず。このクライアントに限らず、あらゆる管理部門から紙とハンコを全廃すべきだ。もう21世紀だ。令和だ。紙を置くのはトイレだけでいい。
ちなみに、私の自宅(兼オフィス)も、数年前から紙もコピー機もFAXもない。スマホでスキャンできるのでScanSpapも捨てた。完全ペーパレスでやっているが、困ったことは一度もない。そんなこんなで、アスクルのIDを持っているが、この数年注文をしたことがない。必要なものが何もない。
拙著『社長の本分』や、その他の論稿でも述べてきたが、これからの企業経営に必要なのは、DXだけでなく、CX(Corporate Transformation、会社を根こそぎ変えること)や、BX(Back-Office Transformation、バックオフィスを根こそぎ変えること)、PX(Personal Transformation、人の価値観・多様性に変革を起こすこと)であると思う。経営者自らが変化の原動力とならなければ、優秀な人材から抜けていくことになるのではないだろうか。
-----
東京都内のクライアントを後にして、横浜へ移動した。
週末は横浜でセミナーがあるため、みなとみらいで前泊。
沖縄→東京→横浜と、今日も激しい移動距離だったが、充実した1日だった。