公認会計士武田雄治のブログ

公認会計士武田雄治のもう1つのブログです。

起業のはなし

起業相談

今日は起業を控えている方と打ち合わせ。

いきなり「私、短距離打者ですから!」と言われ、何をおっしゃっているのか、頭の中がクエスチョンマークで一杯になったのですが、「武田さんのブログの記事は読んでますから!」と。なるほど。「真似できるものは真似します!」と本の読み方まで真似している。こういう意識が高い方はきっと成功します。

ただ、起業家の方に注意して欲しいことがあります。とりあえず、2つ書いておきます。

まず、起業時には特に長距離打者を目指すのか、短距離打者を目指すのか、はっきりさせた方が絶対に良いということ。研究開発系のビジネスや、特殊機器を製造するようなビジネスを除いて、殆どの起業家は短距離打者を目指した方が良いと思います。最初から固定費を上げないこと。そして、永続的に固定費削減に努めること。それを守れたら死ぬことはないはずです。

もう一つは、人脈を広げすぎないということ。起業家を取りまく人たちの中には、「変な人」が多すぎます。それについては、こちらの記事とかこちらの記事にも書きました。私が「ハイエナ」と呼んでいる輩が皆様に近づいてきます。善意のコトバを投げかけ、孤独な起業家に救いの手を差し伸べますが、彼らもビジネスですからね。どう見ても短距離打者という選手を長距離打者に変えさせ、会社をデカくさせ、最後にはカネをむしり取る。こういう人がたくさんいますから気を付けてください。

どこで仕事をするか

シンガポールにいた時に、先輩会計士から、「シンガポールにも事務所を構えたら?」と言われたコトバが、帰国後もずっと引っかかっています。

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日本公認会計士協会で登壇させて頂いた『独立会計士のためのマーケティング&ブランディング研修』の最後、質疑応答の時間を設け幾つかの質問にお答えしたのですが、その中で、

会計士として独立開業する際に、開業する場所にこだわった方が良いでしょか?
という質問がありました。

これ、非常に良い質問だと思いました。

結論からいえば、『全くこだわる必要がない』と考えてます。

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私が独立した時は、「個人名(武田雄治)では仕事が取れないんじゃないか」と思い、株式会社を設立しました。「資本金が少なかったら信用が得られないんじゃないか」と思い、資本金1000万円を集めました。「地元(兵庫県)が所在地では受注できないんじゃないか」と思い、独立直後に東京でバーチャルオフィスを借りました。HPにも名刺にも東京のバーチャルオフィスの住所を上におき、あたかも東京にある会社という見せ方をしました。

今となっては、ホントにバカなことをやったもんだと思ってます。事務所を契約するのに何百万も払い、会社を作るの何十万も支払い、人を雇い、備品を揃え、バーチャルオフィスを借り・・・・・・と、一体組織を維持するためにどれだけのカネを捨ててきたのかと。新車でフェラーリが買える位のカネを「ハコ」に使った。原資は親と銀行からの借り入れ。

以前も書いたことがありますが、私が組織を離れ、個人で活動することにした際に、それまでのクライアントさんに挨拶回りに行ったのです。すると、多くのクライアントさんが、『武田さんが組織を離れるなら、契約も武田さん個人に巻き直す』と言ってくれたのです。『我々は、武田雄治という個人と契約しているつもりです。武田雄治という個人の能力や技術を求めているのです。』と。

なんで最初から個人名で戦わなかったのかと悔やみましたね。人生をやり直せるものなら、もう一度やり直したいくらいに悔やんでます。

日本一のマーケッターと称されている神田昌典さんは、『ブランドとはロゴのことではなく、(略)どれだけのファンがいるかである』といってます(出処)。私のような独立会計士レベルでは、「会社名」や「ロゴ」はブランドには成り得ないわけです。「個人名」できちんとブランディング(=ファンを作ること)をやれば、事務所の場所が港区であろうが、千代田区であろうが、そんなの全く関係ありません。

私の名刺には、「武田雄治」の名前とメールアドレスしか書いてません。そこに港区の住所を書けば受注が増えるのかといえば、そんなことは全くない。格好良い横文字の社名を書けば受注が増えるかといえば、そんなことは全くない。ブランディングに加え、マーケティングをやれば、どこにいたって依頼はくるはずです。実際、私は住所を公開してませんし、完全に一人でやってますが、組織に属していたとき以上に仕事の依頼があります。

神田昌典さんは、『マーケティングとは、「あなたの商品がぜひ欲しい」というお客を営業マンの前に並ばせること』だとも言っています(前掲書より)。つまり、マーケティングとは、マスに訴えかけることではなく、見込客に「売ってくれ」と言ってもらうことだというのです(このマーケティング手法を、ダイレクト・レスポンス・マーケティング(DRM)といいます)。つまり、事務所維持費にフェラーリを買えるくらいのカネを使うくらいなら、「あなたの商品がぜひ欲しい」というお客を増やすための自己投資(と仕組み作り)にカネを使うべきなのです。

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ですから、話を戻しますと、会計士として独立開業する際に、開業する場所には『全くこだわる必要がない』と考えますが、これには2つ条件が付きます。一つは、人を雇わないのであれば。もう一つは、マーケティングとブランディングと自己投資をきちんとやるのであれば。

そうすれば、西宮にいたって、シンガポールにいたって、スターバックスにいたって、お客様に価値提供することはできると思います。


【関連記事】
2016/7/13 やがて哀しき起業家たち
2013/7/9 独立について

新しく事業をはじめる人が考えるべきこと

相変わらず、独立・起業の相談が多い。

先日、『やがて哀しき起業家たち』というエントリーをしましたが、ここでも書いたとおり、私は「起業なんて安易にするもんじゃない」と思っています。だから、独立・起業ができないと思う人に対して、根性論で背中を押すというような無責任なことはできない。

私は声がデカイ人とか、うるさい人が苦手なので、厚切りジェーソンって方が苦手なのですが、彼が某誌において「自分の価値が相手にどれほど貢献できているかで決まるから、勉強して自分の価値を高めないと、給料も増えない。それがすべてですよね。」と言っていたのには激しく同意しております。私は、自分のバリューと年収は収束していく、と考えてます。

だから、こんなこと言っちゃナンですけど、独立・起業後に生きていけるのかどうかという心配はするだけ無駄で、厚切りジェーソン氏が言っているように、自分の価値が相手に貢献できるかどかで決まっているわけです。



独立・起業する人が本当に悩むべきことは、(1)「事業ドメイン」(=何をすべきか)と、(2)「ビジネスモデル」(=どうやって儲けるか)ですが、多くの起業家はこの2点を考えてない。

拙著『社長のための 1年で売上が急上昇する「黒字シート」』という本に、以下のような図(ワークシート)を載せています(P102)。

▼事業ドメインの決定
ビジネスシナリオ事業ドメインの決定


この図は、「事業ドメイン」(=何をすべきか)を決定するためには、「求められること」、「したいこと」、「できること」の3つの輪が重なっているところを見なければならない、ということを示しています。「したいこと」だけをやってもダメだし、「できること」だけをやってもダメ。しかし、多くの独立・起業志望の方の話を聞いていると、「・・・がしたい!」、「・・・ができる!」ということはハッキリとしていますが、「それって社会から求められていますかねぇ・・・・・・???」となることが多い。独りよがりなプランニングでは、おそらく失敗すると思います。


和式の便器はどんなに頑張っても売れません。


そのため、「事業ドメイン」を決定するにあたっては、「したいこと」、「できること」といった内部環境考察よりも、「求められること」という外部環境考察が重要です。

「内部環境考察」→「事業ドメイン」の決定、ではなく、
「外部環境考察」→「内部環境考察」→「事業ドメイン」の決定、というモノの見方・考え方が必要です。

私が黒字社長塾をはじめたのも、バックオフィスサービスをはじめたのも、事業をはじめた時にそういったサービスが求められていたからであり、私の方から社会に適応して行ったわけです。



「事業ドメイン」を決めたら、「ビジネスモデル」を決める。

「ビジネスモデル」を決めたら、あとはやるだけ。弾を撃ちまくるだけ。大量行動です。

「ビジネスモデル」を構築せずに大量行動を起こすと、失敗します。

「ビジネスモデル」を構築しても、世の中、そんなにうまくいかないものです。
成果を上げるには「しつこさと 切なさと 心強さ」も必要です。



【関連記事】
2014/7/4 起業して学んだ20個のこと

10年先から逆算して働き方を考える (2)

続き

どういうわけだか、高校生の頃から経営者の本を読み漁っていました。
色んな経営者の本の中でも特に面白いと思ったのは、藤田田、中内功について書かれた本です。
高校の図書館にあった藤田田、中内功、マクドナルド、ダイエーについて書かれた本はすべて読みました。

藤田田は、日本の食の「文化」を変えた。
中内功は、「流通革命」を起こし、一代で日本最大の小売業を作った。

藤田田から「勝てば官軍」ということを、中内功からは「商売人のモノの見方・考え方」を学びました。

正確な表現ではないかもしれませんが、中内功の本に、「時代の二歩、三歩先を見据えることは重要であるが、二歩、三歩先を先取りすると儲からない(=失敗する)。時代の半歩先、消費者の半歩先を行かなければならない。」というようなことが書いていたのを記憶しています。

その後、時代の変化を読み誤ったことによりダイエー帝国は崩壊してしまったのは皮肉ですが、「敗軍の将」からまた経営の難しさを学ぶことになりました。

自分の働き方を考える時、(前回書いたとおり)10年先から逆算して考えるという思考は必要だと思っていますが、ビジネスは半歩先を行かなければならないというのが、これまで膨大なビジネス書を読んだ中でも大きな学びの一つです。



勝てば官軍―成功の法則
藤田 田
ベストセラーズ
1996-10




10年先から逆算して働き方を考える

昨日も書いたとおり、私が独立したのは2005年です。
その時から、情報は1冊のノート(B5サイズのノート)に集約しており、既に数十冊になりました。
(その後、さらに重要な情報はモレスキンに集約するようになった。)

当時のノートを見返すと、「未来予想図」のようなものが書かれています。


10年後の会計業界、コンサル業界がどうなるのだろうかと。


当時、「ウェブ2.0」というコトバが流行した時期だったので、私は「コンサル2.0」というコトバを造り、将来のコンサル業界がどうなるかという予測を立てていたのです。
アルビン・トフラーの影響を大いに受けているのは以前書いたとおりです。)

従来の対面型オフラインコンサルティング(コンサル1.0)のビジネスモデルはいずれ終焉し、ネット上での双方向コミュニケーションによるコンサルティングである「コンサル2.0」の時代が必ずくると予測したのです。

「コンサル2.0」の時代が到来すれば、コンサルタントがクライアント先に訪問するという価値は無くなり、ネット上での「情報価値」が収入と直結するようになる。そうなれば、コンサル業界は二極化することになる。マッキンゼーやボスコンのような「超大手コンサルファーム」と、「その他の大勢の個人」というように。

「超大手コンサルファーム」は、「コンサル2.0」への移行がスムーズに出来ない。他方、「その他の大勢の個人」は、従来型コンサル(コンサル1.0)に固執すると世の中から必要とされなくなり消えていく運命に合う。「コンサル2.0」時代になると、「その他の大勢の個人」にとっては、「組織(会社)」というものが必要なくなり、「個人」のバリューで勝負せざるを得ない時代になる。「組織(会社)」というものが必要なくなれば、「正社員」というものが必要なくなり、「アウトソーシング」を活用するようになる。

このように、会計士の働き方も、将来は劇的に変わるだろう。

しかし、2005年の独立開業時は、まだ「コンサル2.0」は、時代の二歩、三歩先をいくビジネスモデルでしたので、従来型コンサル(コンサル1.0)をやりながら、「コンサル2.0」の準備(種まき)を進めました。公認会計士で「ダイレクト・レスポンス・マーケティング(DRM)」を実践して結果を出したのは、私が初めてではないかと思います。

あれから10年。
「コンサル2.0」なんてコトバは定着しませんでしたが、私が予測した方向にある程度向かっているのではないでしょうか。
少なくとも、私の中は、従来の対面型オフラインコンサルティング(コンサル1.0)は終焉し、PC1台あればクライアントの依頼を解決させることはできるようになった。「組織(会社)」というものが必要なくなり、「個人」のバリューで勝負する時代になった。作業工数で請求することはなく、「情報価値」で請求するようになった。

かつて、松井証券の松井道夫社長が、対面営業を廃止し、ネット販売に特化した時に、社内外から猛烈なバッシングを受けたといいます。しかし、10年後、個人投資家の大半は株式をネットで売買するようになり、ネット進出への対応に遅れた「その他の大勢」は淘汰された。

環境の変化に対応できない動物は滅びる運命にある。
会計士でも同じです。

さらに10年先を考えると、もっと環境は変化するはずです。AI化、ロボット化、IoTといった技術が業界を劇的に変化させる(=従来型のビジネスモデルを破壊する)と思います。もちろん、既に種まきはしています。


やがて哀しき起業家たち

2005年7月4日に私は独立開業しましたので、気が付いたら独立して11年が経ち、12年目に突入しました。

いまだにコンサルティング業という単発契約のビジネスが中心であるにも関わらず、これまで一度も月次売上がゼロになったことがないことが奇跡だと思っていますし、11年増収を続けていることも奇跡だと思っています。単発契約中心のフロー型ビジネスではあるものの、ビジネスモデルはストック型になるようにやっているのですが、その話は置いときます。とにかく、依頼が途切れず、今でも多くのクライアント様に信頼頂いているのは「感謝」しかありません。

順風満帆といわれることもありますが、それは全力で否定しています。「ざけんな!」と。

いろんなものを失い、心に傷を負い、傷口に塩を塗りこまれ、辛酸を舐めさせられ、感情をエグり取られ、そうやって転んでは立ち上がり、這いつくばっては前進し、って不器用ながらもやってきたという感じです。

苦悩や不条理が人間を少しは成長させるのかと思えば、若いうちに色んな経験をしたことは良かったのかもしれません(・・・と思うしかやってられません)。

しかし、

そう思ったとしても、大した慰めにも癒やしにもなりません。傷や怒りというのは消えることなんてないからです。時間だけが、それを和らげてくれるだけです。

香山リカさんの『気にしない技術』という本に、『人生は災難続き、平凡になんとか生き延びるだけでも奇跡』というようなことを書かれていたのには、だいぶ救われました。

ジェラルド・G. ジャンポルスキーという人の『ゆるすということ ―もう過去にはとらわれない』という本が名著だというので読んでみました。言っていることはよく分かるのですが、3回読んでもピンときませんでした。それよりも、伊集院静さんの『許す力―大人の流儀4』という本に書かれていた、『私は許せないものを抱えたら、その大半は許さなくていいと思っている。許してあげられない自分を嫌いになる必要もない。』というコトバに大きく頷いてしまいます。なお、この文章には続きがあります。『ただひとつ私は”許せない”という考えに付帯条件を付けている。”許せない人”に関しては、それを口にしないことだ。』

伊集院静さんの別の本には、『昔からまともな大人というものはごくわずかしかいないのが世の中なのだ』とも書かれていましたが、よわいを重ねると、つくづくそう思います。

以前、『起業して学んだ20個のこと』というエントリーをしました。ここにも書いたとおり、私が起業して学んだことは、「人を信頼してはならない」「ネガティブな人間との関係を遮断する」「最悪な事態が起こるものだと想定しておく」ということです。「お前がネガティブなだけじゃねーのか?」と思われる方がいるかもしれませんが、そう思われるのであれば、契約書を交わさずにビジネスをやってみればいいと思います。普段信頼している人ほど、あっさりと裏切っていくものです。最悪な事態を回避するために、あらゆる手段・労力・時間・カネを惜しむべきではない、というのが私の考えです。

ゴーリキの『どん底』には、『仕事が楽しみなら人生は楽園だ。仕事が義務ならば人生は地獄だ』という一節があります。その通りだと思います。最悪なのは「楽園という思い込み」をしている人です。私も起業してしばらくの間は「楽園という思い込み」に浸っていたと思います。これが正に『どん底』を経験することになるのです。

こういう経験をしてきたから、「起業なんて安易にするもんじゃない」と言っているのですが、相も変わらずに、起業の経験もない大人たちが起業家を育成しようとしているのを見ると吐き気がします。「あんたに何が分かるんだ」。

起業をするということは、(労働力ではなくて)「価値」を提供するということ。顧客が求めている価値を提供できない人を、なぜ起業させようとするのか。明らかに間違えたことを一生懸命やらせている。まともな大人がやることじゃない。

起業することの素晴らしさなんて言われなくても分かっている。その陰にどれだけの人が『どん底』を味わっているのかということを知っているのか?

起業するということを目的にすべきではなく、自分が楽しいと思うことをやるべきで、その手段の一つに起業というものがあり、その先に上場というものがあるのではないですか。手段と目的を履き違えている人から、「起業したいんですけど!」とか、「上場したいんですけど!」とか言われても、「やめとけ」としか言えません。

「楽園という思い込み」から目が覚めたら、全身ガチガチに力を入れて生きてきた自分に気付くかもしれません。すべての重荷を下ろしたとき、人生は楽園だと感じるかもしれません。

私がそう思うのに、7〜8年もかかりました。

思い込みかもしれませんが・・・。



人間を別にすれば、あらゆる動物たちは

生きていることの主たる仕事が、

生を楽しむことだということを知っている。


   ―サミュエル・バトラー(イギリスの作家、1835-1902)



自分らしく、あるがままに生きろ。
No Fun,No Life !!

吐き気がする

私が起業したのは10年前のこと。

それまでの東京で生活していた私が、地元関西に戻ってコンサル会社を立ち上げた。
しかし、周りに知り合いはいない。
目標にするような同業者もいない。
そもそも、経営ってものをしたこともない。

きちんとしたビジネスモデルがあるわけでもない。
戦略があるわけでもない。
事業計画があるわけでもない。
プレゼン資料もない。
それ以前に、営業ってものをした経験が一度もない。

それなりの想いがあって起業したわけだが、
地元に戻ってきても、
『何もない』。

会計士だからといって、起業したら成功するなんて甘いもんじゃない。
資格を持っていたって、お客様がいなければ飯は食えない。
収入ゼロ。

周りに聞ける人がいなければ、本を読むしかない。



起業してから3年間で買った本は(数えたことないけど)1000冊は超える。
そのうち、今でも残っている本は20〜30冊程度だが、当時は「すぐに役に立たなくなる情報」であっても、とにかく吸収した。それしか自分を助けてくれるものはなかったから。

最も熟読したのはマーケティングの本。
神田昌典さんの本には随分と助けられた。

経営者の本もよく読んだ。
北尾吉孝さんの本からは、経営をする上で大切なことを教わった。
北尾さんのセミナー・講演があると、遠くても、高くても、足を運んだ。
市販されている北尾さんの音声はすべて買って、iPhoneに入れている。
今でも聴き返す。
私の、経営と精神の支柱を築いてくれたのは北尾さんだ。

北尾さんは、大切なことは「不易」(=変わらない)ということも教えてくれた。
「利の元は義」「顧客中心主義」「仕組みの差別化」ということも教えてくれた。
経営者は倫理的価値観を持つことが最も重要であるということも教えてくれた。
東洋思想を勉強するきっかけとなったのも北尾さんだ。

起業して3年間、北尾さんの本にかかれているように「顧客中心主義」による「仕組み」を作っていき、差別化を図り、経営する上での自分なりの「原理原則」を作った。これは、「不易」であり、今でも活かされている。そして、神田昌典さんの本に書かれているマーケティング手法をなぞるように実践した。
自分でいうのもナンだが、業界の中で圧倒的な差別化を図ったと思う。
上辺だけマネされることはあるが、本質をパクられることはない。



この3年間は、人生の中の本当に泥臭い期間だった。

起業なんて、美しいものでもない。
世界を、社会を、変えたい、という想いをカタチにするという地道な作業だ。

起業なんて、中途半端な気持ちでやるもんじゃないし、仲間とやるもんでもない。
覚悟を決めて、自分の人生を賭けてやるもんだと思う。

起業したら、公私は必ず混同する。色んなものを犠牲にする。そして失う。
それに躊躇するなら、もしくは安定を望むのなら、起業すべきではない。

起業してしばらくの間は、ワーク・ライフ・バランスなんてない。
仕事と人生の使命感の同一化が必要だ。

こんなことは、起業の経験をし、地をはうような努力をした人間にしか分かるまい。

もう一度言う。

こんなことは、起業の経験をし、地をはうような努力をした人間にしか分かるまい。



サルトルではないが、最近、吐き気がする。
起業支援という名のオレオレ詐欺が横行しているが、誰も詐欺だと言わない。

先日、ある起業支援者(お役所の外輪団体?)主催のイベントに参加した。
興味なかったが、諸事情により。

登壇者の一人が、「起業のエコシステムを作らなければ・・・」など意味不明なことを曰わっていた。
別の登壇者は、シンガポールに在住していたことを自慢気に話している。
また別の登壇者は、VCを組成したとか何とか言っている。

「だから何なの?」
というような中身の無い話を、イベントに参加している起業家たちはフムフムと頷いていて聴いている。
質疑応答が長時間に及び、名刺交換に長蛇の列が出来る。
なんだこの世界。
目眩と吐き気がした。



起業したい人たちは、そんなハイエナを相手にする時間があれば、会社を作ればいい。
そして、まずは一人、お客様を見付けるべきだ。
お客様の期待を超える商品を作り、サービスを提供するべきだ。

「顧客中心主義」を貫き、顧客の意見を聞きながら改良を重ねること。
その繰り返しの中から、「仕組みの差別化」を図ること。
そのためには、自分とひたすら格闘するしかない。
地をはうような努力をするしかない。

そこをすっ飛ばして、世界を、社会を、変えるなんてことはできない。


【関連記事】
2014/7/4 起業して学んだ20個のこと

転職・独立・起業を考えている方へ

転職・独立・起業の相談は相変わらず多いのですが、
私が彼らに言うことはいつも同じなのです。

「今やっている仕事で、もう得られるものはないのか? 成長はないのか?」

「ある」ならば、それをやれ。
「ない」ならば、直ぐに辞めろ。

以上。



先日、ある方と久しぶりに食事しました。5年間勤めた職場を来月退職し、独立するとの報告でした。

この方、3、4年前に転職の相談を受けたことがあるのです。
その時にも、上と同じことを言って、
「ある」ならば、それをやれ
と答えたんです。

すると、「分かりました」と、転職を白紙撤回されました。

それから数年、目の前の仕事に没頭し、成果を出してきたようで、自分の中で「プロ」といえる領域まで行ったようです。

「あの時、武田さんに相談できたから、今の仕事をここまで続けてこれました。」と御礼を言ってもらえました。



何度か書いているように、プロフェッショナルとは、「私は◯◯で日本一」といえるものを持っていることだと思っています。

ジェネラリストとして生きていくのであれば、隣の芝を見ながら、年収の高いところにホッピングしていけばいいと思いますけど、プロフェッショナルを目指すのであれば、日本一といえる技量や知識やノウハウを身に付けなければなりません。

それは資格の学校に通うことではなく、MBAを取得することでもなく、目の前の仕事を極めることです。「1万時間の法則」です。「そのことだけに集中し専念したたゆまぬ努力」を1万時間やった人間は、転職しても、独立しても、結果を出せるのではないでしょうか。



公認会計士の資格を持っていても、何年も勉強しておらず、ジェネラリストに成り下がった人間はゴロゴロいます。顧客から見たら一発で分かりますよ。誰がそんな人に仕事を頼みますか。



天才! 成功する人々の法則
マルコム・グラッドウェル
講談社
2014-01-29




プロフェッショナルとは何か

独立10周年の7月4日は、なんだか日頃の疲れが溜まっていた上に、天気も良くない土曜日といこともあり、自宅で休養していました。

10年経ったからといって何か特別な感情があるわけでもなく、普通に時が流れた感じです。



過去のブログ記事を見ていると、去年の7月4日はこんなことを書いていました。

起業して学んだ20個のこと



また別の日には、こんなことを書いていました。

これから公認会計士になる人に伝えたい20個のこと



今でも同じことを書くと思いますね。



プロフェッショナルとは何かと問われたら、「私は◯◯で日本一」といえるものを持っていること、と答えます。資格やMBAを持っているからプロというわけではないと思います。「自称日本一」でもいいんです。他の人が持っていないモノをもっている人がプロだと思います。

私の場合は、日本一といえるものが複数あります。そのベースになっているものは、下積み時代の1万時間と、独立後の1万時間です。1万時間の法則のとおりです。

10年も会計士業を継続してきたことは我ながらすごいと思いますが(色んな意味で)、継続する努力以上に、若い時に「そのことだけに集中し専念したたゆまぬ努力」をしてきたかということの方が大事だと思います。

「日本の教育システムは腐っている!」

ノーベル賞を受賞された中村修二さんが、日本に帰国され、母校などで講演をされていたようで。


今から8年以上前のことですが、大阪国際会議場で開催された『ベンチャー2006KANSAI 』というシンポジウムに中村修二さんが登壇・講演されたことがあります。

この講演を聞いた時のメモがまだ私の手元に残っています。

『既成概念への挑戦が生む新技術』という講演で、青色発光ダイオードの発明に至るまでの話などもされていたのですが、私が特に印象に残っているのは、中村修二氏が渡米し、日米の学生の違いを見て、日本の教育に絶望したという話。

ざっくり要約すると、次のような内容でした。

--------
日本でも米国でも、小学生までは違いがない。しかし、中学生、高校生になったら違いが生まれる。米国の場合、中学生になっても、高校生になっても、小学生と同じような好奇心をもって大きくなるが、日本の場合、そのような好奇心はない。米国ではサイエンスの雑誌などが学生に売れるが、日本では売れない。日本の場合、サイエンスに対する好奇心より、東大に入ることを目的にするような学生が生まれてしまうからだ。その結果、大学生になると、日米の研究に対するやる気が全然違う。
--------

そして、中村修二氏は、日本の教育システムの改善を訴えていました。

 「その原因は、大学入試制度にある!」
 「大学入試は、超難関ウルトラクイズにすぎない!」
 「日本は大学入試制度を廃止せよ!」
 「日本の教育システムは腐っている!」
 と。

このあたりの話は、相当怒り口調でした。

で、このような教育システムの”不備”により、大学生のやる気に差が生じた結果どうなったかというと、米国の学生はベンチャー志向・起業志向であるのに対して、日本の学生は大企業志向・永遠のサラリーマン志向になってしまった。

中村修二氏は、「日本でベンチャーが育たない最大の癌は、大学入試制度である!」 とも言っていました。



8年前の講演内容を何で今でもはっきりと覚えているかというと、メモを取っていたからというのもあるのですが、中村氏の講演内容にことごとく同感だからです。

私は、大学までエスカレーターで進学できる高校に行きましたが、同時、めちゃくちゃ数学が好きだったことから、数学が先行できる学部がない上の大学には進学せずに別の国立大学に行きたかったんです。で、高校入学直後から同級生には内緒で駿台予備校にも通っていました。しかし、やってるうちにだんだんとバカバカしくなってきて、数ヶ月で駿台を辞めました。

余程のことがない限り、99%の生徒が上の大学に進学できるという高校で、おそらく日本一自由ではないかと思う校風の中、やりたいことをトコトン打ち込めるという環境が与えられていました。周りの友達は皆人生を味わい尽くしている中で、自分だけ学校が終わったら1時間かけて予備校に通い、大して面白くない授業を聞いていることに疑問を感じてきたのです。予備校で面白くない知識を詰め込むよりも、やりたいことにトコトン打ち込んで、いろんなことに没頭して、遊び倒した方が長い人生にとってきっとプラスになるに違いないと思ったのです。

そう思った瞬間、数学者になる夢も、国立大学に行くという目標も消えました。一瞬の決断だったと思います。それから3年間、やりたいことに没頭したように思います。クラブ活動を掛け持ちしたり、早朝からアルバイトをやったり、海外の高校に語学研修に行ったり、ホームステイしたり、アメリカ一人旅に行ったりした経験により、人生の骨格を築くことができたと言ってもいいくらいです。私にとって高校3年間というのは、「かけがえのない3年間」でした。結局、大学受験はしませんでしたが、全く後悔してませんし、しなくて良かったと思っています。

大学はエスカレーターでそのまま上に上がりましたが、大学に入ってからは、教育する側も教育を受ける側も、あまりのやる気のなさに失望し、ほとんど通っていません。親には申し訳ないですが、通う時間が無駄だと思いました。日本の教育システムというのは、若者の好奇心を奪い取り、再び火がつくことがない暖炉の底の燃えカスのようなものを量産しているだけだと思います。中村氏のいうように、大学入試制度も根本的な原因の一つだと思います。

だからといって、私が政治家になって日本の教育システムを変えてやろうなんて微塵も思いませんし、教員免許を取って教育者になろうとも思いません。だいたい、教員免許がなければ教壇に立てないという文科省の考えが腐ってると思っています。私のたくさんある夢の一つは、「今の若い人たちに、自分が思っている以上に可能性があり、未来は変えることができる」という気付きを与えられるような、学校教育とは違う何らかの「教育」をビジネスとして行うことです。天の時が来たら直ぐにやれるよう、その準備をしています。


【関連記事】
2014/10/9 ノーベル賞 中村修二氏 「地道な努力をコツコツこなしていれば、必然的に職人的な技能も可能になる。」
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プロフィール
武田雄治



公認会計士 武田雄治


●武田公認会計士事務所 代表
●中小企業支援の「黒字社長塾」代表
●中小企業のコスト削減・業務効率化支援の「バックオフィスサービス株式会社」取締役
●海外展開・クロスボーダーM&Aの「OneAsia」アライアンスメンバー
●起業支援の「一般社団法人スタートアップエンジン」理事



■武田雄治本人によるコンサルティング、セミナー、執筆、取材等のご依頼は、武田公認会計士事務所のホームページよりお願いします。
■業者様からの営業はお断りしております
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