公認会計士武田雄治のブログ

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おすすめの本

思考するということ




先日紹介した舟越美夏著『愛を知ったのは処刑に駆り立てられる日々の後だった』(河出書房新社)を読んだ後に、数年前に読んだ矢野久美子著『ハンナ・アーレント』(中公新書) を読み返したくなった。『愛を知ったのは〜』に「全体主義」の話があったため。

『人間の条件』、『全体主義の起原』の名著でも有名な哲学者・思想家ハンナ・アーレント(Hannah Arendt、1906-1975)。本書は、彼女の凄まじい人生と、思考の変遷がまとまっている。

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彼女の人生は、末尾に記載した略年譜を見てのとおり、ナチス・ドイツの歴史そのものである。14歳の頃から、カント、ヤスパース、キルケゴールを読んでいたという稀有な才能と相まって、全体主義における「けっして起こってはならなかったこと」への理解への欲求が彼女の人生を決定付ける。彼女自身がドイツ生まれのユダヤ人であり、アウシュヴィッツ強制収容所に送り込まれてもおかしくなかった立場であったことも大きいだろう。

ナチによる死体の製造(大量殺戮)、ユダヤ人囚人たちによる死体の処理、ガス室の掃除といった「人間による人間の無用化」、「人間の尊厳の崩壊」など、その事態を直視することは「地獄を見るようなものだった」(P90)というが、アーレントは起こった事態について理解しなければならなかった(P92)。

30代でアメリカに亡命したアーレントは、本格的にモノ書き(評論活動)を開始する(その後、雑誌編集、教授職と渡り歩きながら、著述を続ける)。

本書を通読して痛烈に感じてくるのは、徹底して事態と向き合い、考え抜き、分析し、力強い文章を発しようとするアーレントの姿。あの有名な『イェルサレムのアイヒマン』の論稿など、アイヒマン及びナチの犯罪が狂人やサディストによって行われたというのは事実ではないという彼女の主張が、ユダヤ人を共犯者に仕立るように解釈されたことにより、非難の嵐になったこともあった。非難は刊行後数年経っても続き、その非難や攻撃は世界中に伝播し、文章を読んでない大量の人々からもバッシングを受け、批判運動や非買運動も繰り広げられ、遂には国家レベルの政治にまで巻き込まれることになったらしい。孤高なアーレントも、親しい友人たちからも絶縁されたことは、相当こたえたようだ。

ネットもない時代に、ペンだけでここまで批判に晒され、有名人となるわけだが、これは最近の「炎上」とは訳が違う。アーレントがそれだけ深く「事態」と直視し、思考の営み自分との対話)を妥協しなかった結果が生み出した産物だろう。彼女は、思考し、自由を求め、判断を行使する人びとが生み出す力こそが、世界の存続を支えると考えていた(P224〜)。

14歳から哲学書を読んできたというのもあるかもしれないが、全体主義の中で「普通の人びと」が(無思考に)体制に順応し、犯罪に巻き込まれていく事態と向き合ってきたからこそ、中途半端で抽象的な思考の営みを許さなかったのかもしれない。アーレントは晩年まで思考の営みを続けていたようだ。

カッコよすぎる。

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最近のネットから飛び込んでくる文章の「軽さ」や、それが簡単に「バズる」ことに辟易とさせられている。先日も、日本人の読解力が(世界的にみて)低下しているというニュースが流れていたが、圧倒的な思考の営みの欠如ではないだろうか。本を読まずに、ネット上の短い文章ばかり読んでいたり、自分と対話をせずに、スマホの画面ばかり見ていたり。日本人の読解力が低下していることについて、テレビのコメンテーターが、短い文章でも理解の練習になるのだから、SNSを教材に取り組んだらどうかと話していたらしいが、違うだろ…。

アーレントが思考のモデルとしたのはソクラテスであったらしい(P221)。私はアーレントのような人をモデルにしたい。非難や攻撃は望まないが、思考の営みの結果として生み出されたものを、社会に発信し、足跡を残したい、と常々思う。できれば、死んだ後も残るような書籍として。


【参考】ハンナ・アーレント略年譜
●1906年、ユダヤ人の両親の元、ドイツに生まれる
●8歳の頃から病気がち。この頃から両親の蔵書をひもとく。
14歳で哲学を学ぶことを決意。カント、ヤスパース、キルケゴールを読み始める。
●18歳の時に、17歳年上のハイデガーと不倫
 (しかもハイデガーの『存在と時間』の準備中に)
●20歳の時に、ヤスパースにも師事
●26歳の時(1932)、ナチ党が第一党に
●27歳の時(1933)、ヒトラーが首相に就任
●同年、逮捕されるも、運良く出獄でき、パリに亡命
 (パリでも、逮捕、絶滅収容所行きから運良く脱走する)
●33歳の時(1939)、ドイツ軍がポーランド侵攻、第二次世界大戦へ
●35歳の時(1941)、ニューヨークへ亡命、評論活動を行う
●37歳の時(1943)、ニューヨークでアウシュヴィッツの噂を聞く
●45歳の時(1951)、『全体主義の起源』刊行、アメリカ国籍取得
●52歳の時(1958)、『人間の条件』刊行
●55歳の時(1961)、アイヒマン裁判を膨張
●57歳の時(1963)、『イェルサレムのアイヒマン』刊行
●同年        『革命について』刊行
●66歳の時(1972)、『暴力に付いて』刊行
●69歳の時(1975)、心臓発作で死亡


人間の条件 (ちくま学芸文庫)
ハンナ アレント
筑摩書房
1994-10-01



全体主義の起原 1――反ユダヤ主義 【新版】
ハンナ・アーレント
みすず書房
2017-08-24

アグネス・チャン著『スタンフォード大に三人の息子を合格させた 50の教育法』(朝日新聞出版)




先日(11/11)、なんとなくTVを付けたら、日テレの『人生が変わる1分間の深イイ話』という番組がアグネス・チャンに密着していた。

「お〜、アグネス・チャン! 久しぶりやん!」と思って見ていたら、これが、タイトル通りの「深イイ話」な内容で、最後まで見惚れてしまった。番組では、アグネス・チャンの子育て論、教育論を紹介していた。

この番組を見て初めて知ったのだが、アグネス・チャンには3人の息子がおり、3人とも名門スタンフォード大学に合格させている。そして、アグネス・チャン自身もスタンフォード大学教育学部の博士号(Ph.D)を取得している。

(※ ちなみに、世界の大学ランキングでスタンフォード大は4位、東京大学は36位)

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番組終了後から、本書『スタンフォード大に三人の息子を合格させた 50の教育法』がamazonのベストセラーランキングTOP100にずっとランクインしていた。番組等で話題になり、突然ランクインした本は、1週間もすればランク外に落ちることが多いと思うが、この本は数週間もの間、TOP100に入っていたのではないだろうか。売れ続ける本は、きっと良い本に違いない。興味が惹かれ、ようやく私も本書を読んでみた。

番組同様、感銘を受けた。自分の子どもが生まれる前に出会っておきたいと思った。

子育て・教育に対する確固たる理念・信念を持ち、決して勉強を押し付けることなく、主体性を発揮できるように注意深く観察し、子ども達に寄り添い、子ども達の存在を絶対的に承認尊重し、子ども達の無限の可能性を信じ、言動を肯定し励まし、自信を持たせ、個性や才能を開花させる

コーチングそのものだと思った。

「お説教」に8時間かけたこともあるというし(P51)、寂しい想いをさせた子どもに会うために3時間走った車をUターンして、再びに会いに戻ったこともあるという(P226)。どんな時も、思いやり・献身・自己犠牲をもって子ども達と接する「無条件の愛」を激しく感じる。これほどの愛をもって人と接する人がいるものかと。

以前、工藤勇一著『学校の「当たり前」をやめた。 』(時事通信社)の書評にて、このようなことを書いた。
「愛情」と「教育」、「躾」と「教育」の境目は難しい。これらを履き違えると、子どもの「自律」を育むことと真逆のことに陥ってしまう。過干渉が教育の目的を骨抜きにする。

私は、子育てや教育の最大の課題は、「愛情」と「教育」の履き違えを大人が気付くことだと思っている。

アグネス・チャンのこの本を読んで、最も共感したのは、(子どもに対してこれほどの愛をもっていながらも)「友達のような親子関係は望みませんでした」「親は親。子は子。」(P54)と、はっきりと境界線を付けている点。親に対する暴言や、人を傷付けるようなことは絶対に許さず、親に対する態度や礼儀には厳しい家庭だったという。

最近は、親を自分と対等の関係であるかのように誤解している子どもがいる一方で、必要なときに、きちんと子どもに注意したりすることのできない親が増えています。
(略)
仲がいいのはいいことですが、子どもに勘違いをさせてはいけません。(P55〜)

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苫野一徳の『』という本に、愛は「情念であると同時に理念である」と書かれていたことを思い出した。愛は、湧き上がってくる「情」であるだけでなく、理念的なものであり、意志しうるものなのだ。子どもに限らず、人を愛するということは、恋に落ちたり、あらゆる欲望を充たすことだけではない。意志をもって誰かを愛するという理性の力が必要となる。苫野氏は、「無条件の愛」とは、誰かを愛するのに条件は必要ないという意味ではなく、ひとたび誰かを愛してはじめて、その愛に条件などないと意志しうるものだ、という。

親は子どもに対して「無条件の愛」を注ぐものだと思うが、そこに教育者としての「理性」や「意志」も絶対に必要だと思う。そこがテキトーになっているから、家庭や学校で様々な問題が生じるんじゃないだろうか。

アグネス・チャンの本を読んで感じたのは、(見た目の美しさに反する)自分への厳格さだった。

勤労お疲れさま

紅葉


今日が「勤労感謝の日」だということを先ほど知った。

「勤労感謝の日」は、「新嘗祭」が起源であり、その年の収穫に感謝するという日らしい。

20代・30代の頃は週末もなく、働き続けていたワーカホリックだったが、もうあんな働き方はできない。週末はほぼ自宅にいる。庭に出ることはあっても、外出することはない。というか、外出したくない。これまで色んなものを犠牲にして仕事に打ち込んできたが、自分を犠牲にするよりも、自分が幸せになることの方が人生において大切なことだと思うようになってきた。人生の優先順位が変わってきている。様々なストレスから解放され、自分の幸せを第一優先に生きていこうと、庭を見ながら考えた。


ツイッターのフォロワー88万人というTestosteroneさんの『ストレスゼロの生き方』という本を読んだが、これは良い本だった。色んなものを犠牲にしたり、ストレスを溜めたりしてることが阿呆らしくなってくる。著者のプロフィールを見て、30代前半と知り、驚き桃の木。人生を達観しすぎやろ。






工藤勇一著『学校の「当たり前」をやめた。 』(時事通信社)




知人から「この人すごい!」と薦められた本。

確かに、「この人すごい!」と唸った。

著者 工藤勇一氏は、千代田区立麹町中学校という名門校の校長先生。

宿題の全廃テストの廃止固定担任制廃止・・・と次々と世間の常識を廃止していった。こういう施策がすごいのではない。工藤校長は、教育の「目的」(原点)を最上位に位置づけ、「当たり前」を徹底して実施し、「真の教育」を貫いているからすごいのだ。

そもそも、教育の「目的」(原点)は何なんだろうか?

工藤先生は、教育の「目的」(原点)は子どもたちが「社会の中でよりよく生きていけるようにする」ことであり、子どもたちが「自ら考え、自ら判断し、自ら決定し、自ら行動する資質」、すなわち、「自律」する力を身に付けさせていくことだ、という(P6)。

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しかし、いまの教育の現場は「本来の目的」を見失っている(P5)。

いま、教育の現場で行われていることは「手段の目的化」が多い。テストがあるから授業を受ける、宿題をこなすために机に向かう・・・というように。宿題をこなすことや、テスト勉強を一夜漬けで行うことが、「目的」を達成することになるのだろうか・・・?

こういった「手段の目的化」が、様々な問題を生み出している(第2章)。特に、大人が「問題」を作っているという話は、子どもに関わるすべての方が読んだ方がいいと思う(P88〜)。

この箇所に、こんなエピソードが載っている。根本的問題を示していると思う。
・・・ある日、女の子が家で食事をしているときに、母親が「どうしたの? 食欲ない? 具合悪そうだけど」と聞いてきます。その女の子は、そんなふうに感じていなかったので驚くのですが、その言葉を受けて「ひょっとしたら、いつもより少し食欲がないかも」と返します。すると、母親は、「何かあった? 友達に何か言われた?」と、さらに追求してくる。そのうち、女の子は(略)嫌なことを次々と思い出し、本当に気持ちが悪くなって、トイレに駆け込んでしまう・・・(P89〜)

手取り足取り丁寧に教え、壁に当たればすぐに手を差し伸べる。何か問題が起こればすぐに仲裁に入り、仲介する。子どもの言動に過剰に干渉することにより、自ら考え、判断、決定、行動できず、いつまでも「自律」できない人間になってしまう(P6参照)。

「愛情」と「教育」、「躾」と「教育」の境目は難しい。これらを履き違えると、子どもの「自律」を育むことと真逆のことに陥ってしまう。過干渉が教育の目的を骨抜きにする。

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同校では、子どもの「自律」を育むために、様々な新しい学校教育を創造している(第3章参照)。その中でも私が素晴らしいと思ったのは、ノートの取り方(黒板を写すのではなく、目的や気付きをメモさせる)をキチンと指導していること(P104〜)、スケジュール管理のためにビジネス手帳を全員に持たせ、入学後のオリエンテーション合宿で手帳ガイダンスを行い、手帳の活用法などを指導していること(P108〜)。中学生からこのような指導をしているのは珍しいと思うが、これぞ「自律」を育むための「真の教育」だと思う。

本書で書かれていることは、容易いことにも思えるが、実際に「教育者」として実践することは容易いことではないはずだ。とてつもないリーダーシップも求められる。生徒、教員、PTA、教育委員会などから反発されても、最上位の「目的」を果たすために改革の努力を惜しまぬ姿勢こそ、真の教育者だと思う。色んな意味で得るものが多い一冊だった。

黒川伊保子著『夫のトリセツ』 (講談社+α新書)

夫のトリセツ (講談社+α新書)
黒川 伊保子
講談社
2019-10-19



妻のトリセツ』が面白かったので、『夫のトリセツ』も読んでみた。これも面白かった。

書いてあることが、ほぼ当たってる。

『妻のトリセツ』では、女の「オチのない話」に対して、男は「共感したフリ」をしとけ、というようなことが書かれていた。これには非常に共感した。

では、夫の取扱いはどうしたらいいのか。男は「話も聞かずにぼ〜っとしている」だろうが、女はそれを許してあげろ。(第2章参照)

女は、おしゃべりと共感で生存可能性が上がるので、おしゃべりをすればするほど、ストレスから解放される。

男は、沈黙と問題解決で生存可能性が上がるので、安寧な沈黙でぼうっとしたとき、ストレスから解放される。

ひたすらしゃべる妻と、ぼうっとして話を聞いていない夫。これは、ある意味、最善の方法なのである。互いに、脳の緊張を解いている状態だからだ。妻が、話を聞いていない夫に、腹を立てさえしなければ。そして、夫が、妻の話を聞かなきゃ、と、努力さえしなければ。

男がなぜ「安寧な沈黙」が必要なのか。かつて男が命をかけて狩りに出ていた頃、風や水の音でその先の地形を知り、わずか葉擦れの音から獣の気配を察し、そうやって危険な目に遭いながら生き延び、子孫を増やしてきた。ベラベラおしゃべりをすれば命が危ないし傍らの人がベラベラしゃべると脳が著しく緊張するようになっている。これが「男性脳」の正体だという。

男が女の話も聞かずぼうっとしているのは、誠意がないわけでも、愛がないわけでも、ボケっとしているわけでもない。それどころか、妻を危険から守るための「空間認知能力」を最大限に働かせ始めているのだ。そんな時は、夫は妻の話がモスキート音になる

というわけで、おしゃべりにストレスを感じる男性脳相手に、「頭を浮かんだことを、浮かんだ順にべらべらしゃべり続ける女性」は、気をつけた方がいい。思いのほか、男性の好感度が低い。
(略)
人は、「脳の緊張を解いてくれる相手」を心地よいと感じ、「脳を緊張させる相手」は不快に思うのだ。
(略)
男性にとって、対話ストレスの低い女でいること、それは、最上級の女のテクニックだと思う。恋愛シーンであれ、ビジネスシーンであれ。

笑った笑った。「安寧な沈黙」を邪魔されるとストレスを感じるから、べらべらしゃべりかけないでくださいまし(笑)。

人と群れるほど孤独を感じやすい

雑誌『PRESIDENT』(2019/11/29号)に興味深い記事が載っていた。

「孤独度」に関して、1300人のビジネスパーソンを対象にインターネット調査を行った結果、以下のような結果が出たという。

 ●SNSの利用時間が長い人ほど、孤独を感じやすい
 ●「腹を割って話せる友達」が多い人の方が、孤独を感じやすい
 ●業種別でみると、運送・輸送業の人が、最も孤独を感じていない


孤独を感じるかどうかは、人との「つながり」の数や時間や密度とは関係ない。(弱いつながりであっても)誰かから頼られ、存在を承認され、感謝されるかどうかということが孤独感を左右しているということが分かる。宅急便のおじさんは毎日多くの人から「ありがとう」を頂いているが、スペシャリストといわれる職業の人は他者に頼る訳にいかないため孤独を感じやすい、らしい。

この調査結果を見る前から、「つながり」とか「絆」とかいうコトバには違和感があった。そもそも、あらゆる動物は孤独に生きているものではないのか。

以前も書いたが、最近は「スマホ疲れ」がきており、またスマホに向き合うことによる「時間の浪費」に辟易としている。なので、「デジタルデトックス」をして、「アナログ主義」に戻すようにしている。仕事中もキーボードに向かう時間より、シャーペンを握っている時間の方が増えてきた。ペンだけで生きていければ、とも思うこともある。

相変わらず、LINE上では(仕事上での付き合いを除くと)数名しかやり取りしてないが、かつてメールやMessengerで不特定多数とやり取りしていた時の方が孤独を感じていたように思う。スマホやSNSが登場する前から、人の群れの中にいる時の方が孤独を感じていた。今でも基本的に4人を超える食事会は断るし、懇親会・パーティー的なものにも参加しない。あの空間が嫌いなのだ。誰かと一緒なら孤独を感じなくてすむということではない。

真の友といえる人や、腹を割って話せる人は少くても、傾聴してくれ、承認してくれ、頼り頼られる関係でいてくれる友の存在が私の精神的支柱になってくれている。私の場合、この精神的、情緒的な関係を何よりも大切にしたい。人と群れることよりも、大切な人を大切にすることの方が幸福だと思うので。


孤独
([出処]前掲誌P26)




自分の人生観・仕事観に合ったライフデザインを描く




再びCOREDO室町テラスの「誠品書店」を訪れ、平積みされていた本書を手に取り、目次をペラペラと見て「買い」だと思った。直感はだいたい当たる。

原書のタイトルは "Designing your life"

本書は、スタンフォード大学で12年間かけて開発され、現在は100を超える大学でカリキュラムが導入されているという「ライフデザイン講座」を元に書籍化されたもの。各章の末尾にワークが付いているが、このワークを面倒臭がらずにキチンと向き合って臨めば、ライフデザインが出来上がる。現在地を把握し、人生観・仕事観を定義し、熱中できるものを探し、ライフプランを描き上げていく・・・という内容。

この手の本を久しぶりに買ったし、この手のワークを久しぶりにやったが、面白かった。数時間で読める本だが、読後に数十時間かけてライフデザインをアップデートしていった。

この本を読み、ワークをやって、改めて気付かされたのは、人生のデザインは一通りではないということ。唯一の正解なんてないし、完璧なんてない。いまやっていることがベストな人生とも限らない。公認会計士だから会計を生業にしているが、そもそも公認会計士だからといって会計を生業にすることが正解ではないかもしれないし、ベストな選択とは限らない。こういった固定観念のことを、本書は「行きづまり思考」といってるが、「行きづまり思考」を打破しなければ、自分の人生観・仕事観に合ったライフデザインが描けないかもしれない。

ライフデザインなくして、人生のイノベーションなし。

人生や仕事に対して、不安や不満がある人、満足度や達成感がない人、虚無感や絶望感しかない人、「なんでこんなことやってんだ?」と思っている人などは、「行きづまり思考」になっているだけかもしれない。思考や視点を転換させることができれば、新しい人生のデザインが描けるのではないかと思う。



スタバ



『サブスクリプション2.0  ―衣食住すべてを飲み込む最新ビジネスモデル』(日経BP)




最新のビジネスモデルといわれている『サブスクリプション』(サブスク)について学ぼうと、書店でサブスクリプション関連の本を見た中で、本書が最も分かりやすかったので購入。

『サブスクリプション』とは、「定期購読」「予約販売」を意味し、従来から存在するビジネスモデルではある(「頒布会モデル」などと言われることもあった)が、最近のサブスクモデルはちょっと違う。

最近のサブスクモデルは、従来型とは違う「3つの要素」があり(P2〜参照)、これが、ある種の「革命」を起こしている。私は本書を読むまで、高級バッグが借り放題のサブスクモデルで成功している「ラクサス・テクノロジーズ」という広島の会社を知らなかったのだが、アプリ利用者数25万人、有料会員18,000人(会費月額6800円)、継続率95%という大成功を収めている(先日、ワールドと資本・業務提携を締結し、100億円の資金調達をすると共に、ワールドの連結子会社になったとのリリースを公表した。すごい。)。

ビジネスモデルは、「TTP」(徹底的にパクる)するものであり、オリジナルでは失敗すると思っている。そのため、『サブスク』に飛びつく場合も「TTP」しなければならない。本書が有益だと思うのは、『サブスク』の成功事例の紹介が豊富であるだけでなく、撤退事例まで載っていること。ここから学べることが多い。

ただ、『サブスク』で成功することは難しいとも感じる。なぜなら、本書でも述べられているが、顧客側(ユーザー側)が『サブスク』に支払う毎月の固定費がどんどん増えているからだ。私も、各種の定期購読のみならず、Amazonプライム、Spotify、スタディサプリ、シェアオフィスなどの会員になっているが、これ以上の固定費を増やしたくはないという心理が働いている。

『サブスク』がブームだからと、なんでもかんでもサブスクモデルに飛びついても、会員を獲得できずに投資回収すらできないという結果にもなりかねない。ただ、成功事例の中には、事業を進めながら軌道修正を繰り返していき、成功を手にしたケースも載っているので、そういうところはじっくりと研究すべきだと思う。「固定費が増えても手にしたい!」と顧客に思わせるような価値提供ができるかどうかがキーになるのではないかと思う。

高 史明著『生きることの意味』 (ちくま文庫)




この本は、齋藤孝氏があるサイトで「読んでおくべきベスト本」として紹介していたもの。先日、(似たようなタイトルの)上田紀行著『生きる意味』を読んだところなので、何か関連性があるかと思い、買ってみた。

買ってから知ったのだが、著者の高 史明氏は、コ・サミョンと読む。戦前の1932年生まれの在日朝鮮人二世。本書は1974年に上梓されたものなので、もう45年前の本ということになる。

齋藤孝氏が「感動もの」として薦めるだけのことはある。すごい内容だった。
読了した後、読後感に浸る間もなく、もう一度読み返した、って本は久しぶりかもしれない。

3歳にして母と死別、父と兄の3人で極貧生活を送る。小学校に上がると、自分の貧しさや国籍から自信を失い、乱暴者になる。その矛先は父にも向かう。厳格な父は、息子たちへの厳格さ故に、深い寂しさにとらわれていながら、息子たちと分かち合うことができない。やがて、親子間でも「裂け目」ができる。孤独な父は、なんと、息子たちの前で自殺を図る(未遂に終わるが)。高等小学校(中学)に進学すると戦争が始まり、学徒動員として労働に出させられるが、そこで教師から壮絶な人種差別・暴力を受ける(今なら社会問題になるはず)。そんな辛すぎる人生を歩みながらも、父、兄、先生からの「人のやさしさ」を知り、生きることの意味を学んでいく。

そういう話。

貧困、差別、暴力、戦争・・・そういったものがすべて混ぜこぜになった状態に疲れ、やがて理性の力に見放され、それが暴力に化けていき、他人を傷付け、自分を壊していき、寂しさがにじみ出るような孤独に陥り、その寂しさが一層暴力に向かわせる。そういう「暴力の奴隷」(P144)、「暴力の泥沼」(P193)といえる生活を小学生時代から送っていた著者。

「あぁ、自暴自棄ってこういうことをいうのか〜」と、読んでいて胸が痛くなる。

生きていると、様々な困難に突き当たり、悲しみや絶望でいっぱいになってしまうこともある。それを環境や社会のせいにすることは簡単なこと。著者も、大人になってから、全てを社会のせいにして政治活動に参加することになるが、その行為については「誤りをおかしてしまった」(P242)と自省している。

自分が不安なのも、孤独なのも、環境や社会のせいではないのだ。国境や人種も関係ない。「やさしさ」を持つ人になるかどうか。それだけで見える世界が変わってくる。そして生きることのすばらしさが分かってくる。

本書はそういうことを教えてくれる。
生きづらさを感じている方は、是非手に取って欲しい一冊。

スタンレー・ミルグラム著『服従の心理』 (河出文庫)

服従の心理 (河出文庫)
スタンレー ミルグラム
河出書房新社
2012-01-07



先日紹介したの舟越美夏著『愛を知ったのは処刑に駆り立てられる日々の後だった』の書評を書いた後に、本棚からミルグラム著『服従の心理』 (河出文庫)を取り出し、再読した。

本は、これまで読んだものと関連付けて読むと、理解度が何倍も変わる。


■ 善良な人がなぜ残虐な行為をするのか。

アメリカの心理学者、スタンレー・ミルグラム(Stanley Milgram)が、1962年にある実験を行った。それが、歴史に名を残すことになった『ミルグラム実験』。知ってる人は知っているが、知らない人は知らないと思うので、実験の概要から書いておく。

まず、「記憶に関する実験」を実施すると偽り、新聞広告を通して時給4ドルでバイトを募集した。実験室には、研究者の指示の下、先生役と生徒役に分かれ、一連のテストを行う。生徒が間違えると、先生が罰として電気ショックを与える、というのがこの実験(バイト)の内容。

電気ショックは、最初は45ボルトからスタートするが、一度間違えるごとに15ボルトずつ電気が強くなる。最大450ボルトまで引き上げられる。ちなみに100ボルトでも強い衝撃であり、150ボルトでは絶叫し、300ボルトでは壁を叩いて暴れるくらいになる。330ボルトを超えると無反応になるらしい。もう拷問であり、人殺しである。

ある段階から生徒役は叫び声を上げながら「実験を止めてくれ!」と懇願する。先生役も「これ以上続けたら生徒役は死ぬんじゃないか!?」と心配になる。

しかし、研究者はいう。
「続行してください」「何が起こって責任は私が取ります」と。

とんでもないバイトだ。怒りを覚える人もいるだろう。

この実験の結果はもっと衝撃。300ボルトに達する前に実験を中止した者は一人もいなかったのだ。そして、被験者40人中26人(65%)が450ボルトまでスイッチを入れたのだ。65%もの人間が、権威者が「責任を取るから」のコトバを聞いて、非人道的な行為に及んだと換言できる。

実は、この話には裏がある。バイトで集められた人たちは全員が先生役をやり、生徒役は全員「役者」だったのだ。実際は、電気は通っておらず、叫び声は演技であった。この実験は、「人は権威者の命令にどこまで服従できるか」の実験だったのだ。


そして、実験の結果、ミルグラムは次のように結論付ける。

各個人は、大なり小なり他人への破壊的な衝動の無制限な流れを抑えるための良心を持っている。だがその人が自分自身を組織構造に埋め込むと、自律的な人物にとってかわる新しい生物が生まれ、それは個人の道徳性という制約にはとらわれず、人道的な抑制から解放され、権威からの懲罰しか気にかけなくなる(本書エピローグより)

つまり、自分が理性的で「自律状態」にあったとしても、ある組織に入った途端に権威者の願望・要望に従って行動する「エージェント状態」(=自分とは別の代理人の状態)に移行し、その移行が起こったら、自由に元には戻せるものではなくなってしまうのだ(第10章参照)。

そして、ナチスのアイヒマンがユダヤ人をガス室に送り込んだことも、アメリカ軍がベトナム戦争で非人道的な行為を行ったことも、彼らが悪魔だったわけでもなく、サディストだったわけでもなく、「自分に割り当て割れた任務を実行しているだけ」であり、その日一日を切り抜けて生き延びるだけでも一苦労なのに「道徳について心配している暇などない」、などとミルグラムは主張した。

この実験やミルグラムの主張は、倫理的に問題があると厳しい批判に晒されたらしい。しかし、「人間の残虐性」「服従の心理」というものが、必ずしも人間に備わった攻撃性や破壊的な衝動によるものではなく、こういった「人間の残虐性」「服従の心理」がいまでも地球上から消えず、自分にも、あなたにも、こういった「人間の残虐性」「服従の心理」が起こりうる、ということをこの実験は教えてくれる。

もし、自分が権威者から「責任を取るから」と言われたら、450ボルトの電気を流すだろうか。

ちなみに、この実験は、アイヒマンはじめ多くの戦争犯罪を実行したナチス戦犯たちが、なぜあのような残虐行為を犯したのかという疑問をを検証しようと実施されたため、「アイヒマン実験」とも言われている(この実験は「アイヒマン裁判」の翌年に実施された)。

実際の実験の動画がある。興味ある方はこちらのサイトの動画を見て欲しい。2分程度なので。

このサイトにも書かれているが、「人は誰でもアイヒマンになりうる」のだ。恐ろしいことに。しかもそれは、組織に属さなくても、権威者からの指示がなくても、起こりうることは知っておいた方がいいと思う。本書において、ある被験者(先生役)が、電気ショックを加えたことへの後ろめたさを隠蔽すべく、被害者(生徒役)を見下し、彼らの無能さに責任転嫁することで自分を正当化しようとしたという記述がある。この記述は色々と考えさせられた。差別、暴力、いじめ、ハラスメントや、相手を傷付ける言動の多くが、これに当てはまるのではないだろうか。相手を傷付けた言動を正当化するために、後から理由が捏造される。私も、相手の異常・邪悪な言動により傷付けられ、さらにあることないこと言われ、批判されたことが何度もある。その都度、相手の行為に悩み、恨んだ。しかし、このミルグラム実験は教えてくれる。こういった異常・邪悪な言動が、必ずしも良心の欠如ではないということを。こういった人間の心の動きを知るだけでも、人は穏やかに、幸せに生きていけるのではないだろうか。


(※ これを書くにあたり、本書「訳者あとがき」とwikipediaの記述を参照し、一部引用した。)
セミナー開催情報
【上場企業向けセミナー】

■日本経営協会主催
 12/13(土)大阪
『決算早期化を実現する実務ノウハウとポイント』

■日本経営協会主催
 12/18(水)東京
『決算早期化を実現する「経理・決算の仕組み」の作り方』

■出版記念特別セミナー
 12/23(月)東京
『出版記念特別セミナー』




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