会社のアカスリで利益10倍! 本当は儲かる環境経営 (朝日新書)会社のアカスリで利益10倍! 本当は儲かる環境経営 (朝日新書)
著者:酒巻 久
販売元:朝日新聞出版
発売日:2009-01-13
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キャノン子会社のキャノン電子の酒巻久社長による新刊書。

キャノンの取締役から、赤字だったキャノン電子の社長に就任し、徹底したコスト削減により、7年間で売上高1.3倍、経常利益は12.8倍、利益率は9.5倍にした凄腕社長による高収益体質への改善策集ともいうべき『椅子とパソコンをなくせば会社は伸びる!』 (祥伝社黄金文庫)の続編的内容。



『椅子とパソコンをなくせば会社は伸びる!』は、多くのデータに基づき合理的に社内のムダを排除していき、結果として高収益体質を実現させることを提案する素晴らしい本です。

たとえば、
・会議室から椅子をなくして「立ち会議」にしたら、会議時間が75%短縮できた、とか
・工場を立ち作業に変えたら、一人当たり生産性が3.9倍になった、とか
・キャノン電子で一番優秀と評判の社員が勤務時間の9割をパソコンで遊んでいた、とか
・平均するとパソコンに向かっている時間の3〜4割は仕事をしていない、とか
・30代がもっともパソコンで遊んでいる、とか…

売上が伸び悩む中、コスト削減が急務の会社は、この『椅子とパソコンをなくせば会社は伸びる!』を読んでみてください。



で、今回の『会社のアカスリで利益10倍! 本当は儲かる環境経営』は、徹底したムダの削減により高収益化だけでなく、環境負荷の低減社員のモラル向上、といった一石三鳥の効果があるんだ! というところまで踏み込んで書かれています。

オフィスで発生するゴミの多くは紙類ですが、オフィスから回収されるオフィス古紙の量は1人あたり年48キロにもなるようですね。
では、これだけの紙を作るのには立木がどれだけ必要なのか。

答えは1.4本

従業員が1000人いる会社であれば、年間1400本分を消費していることになるのです!


そこで、キャノン電子では、不要な印刷・コピーを厳禁し、両面コピー・集約コピー、使用済みコピー用紙の裏面使用を徹底。会議の際は、プロジェクターを使い紙の文書や資料の持ち込みを禁止し、文書保存は電子化。
これにより、ムダに木を伐採しなくて済んだだけでなく、事務用品費が89%も削減できたと。額にして数千万円ですから、バカになりません。


これはほんの一部の施策ですが、このようなムダの削減により社員のモラルも高まってくるんですね。
印象的なのが、会社の工場の食堂で食中毒が発生した時の話。
食堂が1週間閉鎖になってしまい、仕方がないので1日3食分の弁当を社員にタダで提供したようです。その時に、ある女性社員が全部の弁当の輪ゴムを回収しに回ったそうです。結果、工場において1年間で消費する輪ゴム7000本を1週間で回収したそうです。
7000本の輪ゴムなんて買っても1万円もしないもの。でも「捨てたらもったいない。使える」と思い、労を厭わず回収したというから、何とも尊いことではないですか。



環境経営と企業利益はトレード・オフの関係にあるように思われていますが、これについて酒巻社長は真っ向から否定し、一石三鳥の効果を数字で見せてくれています。
コスト削減、コスト削減といいながら、なかなか本気で取り組めないもの。そんな経営者の方は特に『椅子とパソコン〜』と共に一読の価値ありです!




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発売日:2007-12-12
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余談ですが、同じ朝日新書から以前こういう本が出てましたね。
コピー用紙の裏は使うな!―コスト削減の真実 (朝日新書 37) (朝日新書)コピー用紙の裏は使うな!―コスト削減の真実 (朝日新書 37) (朝日新書)
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販売元:朝日新聞社
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