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大阪某所
超有名企業で経理部長をする旧友と食事。

拙著『「経理」の本分』は何度も読んでくれており、部下にも読ませているらしい。今日も、経理はどう在るべきかという「経理の本分」について意見を交わし合った。人の上に立つ者として仕事の中心は(経理業務や決算業務をそつなくこなすことよりも)「マネジメント」であり、15人の部下を理解することに努めているが、「理解できないことばかり」だという。悩みも尽きないようなので、『「社長」の本分』も渡しておいた。本書に答えが載っている訳ではないが、何かマネジメントの参考になればと。

いまは、一億総ジェネラリストを育成するような昭和レトロの時代ではないし、従業員に会社への忠誠心・協調性・同質性を求める時代でもない。老若男女、健常者・障害者その他、色んな絵具を使いながら多種多様な色を出していくダイバーシティが強く求められながら、彼らのエンゲージメントを高めていくことも求められる。『「社長」の本分』の「マネジメント」の章(第3章)に、従業員との対話インボルブ(involve、巻き込む力)が必要だと書いた。「リーダーシップ」の章(第7章)では、リーダーのエクゼキュージョン(execution、遂行力)が必要だとも書いた。しかし、彼の会社でも、コンプラが厳しくなり、部下と飲みに行くことはNG、残業をさせることもNGとなり、業務時間以外に対話することが出来なくなっている。デスクの前にいる部下(さらには画面の向こうにいる部下)を観察するだけで、彼らのことを理解し、インボルブしていくことは難しい。チームメンバーを鼓舞するために、リーダーがエクゼキュージョンしているが、それでも部下の心に火を付けるのは難しいようだ。人を用いて事を成すためには、永遠にマネジメントから逃れられない。

彼の会社も、ご多分に漏れず、経理部門に公認会計士有資格者を採用したらしいが、「全く役に立たない」と嘆いていた。知識はあるのだろうが、会社が何を期待しているのかを考えてもいなければ、行動もしないと。もうこんな話は100人位から聞いてきた。東大・京大を出たからといって仕事ができる訳ではないのと同じことだ。『「社長」の本分』にも書いたが、人を採用する時は、才よりも徳、徳よりも経験を優先すべきなのだ(P84参照)。経験よりも才を優先するのでチームメンバーに相応しくない人が増え、マネジメントが大変になる。

まぁ、そんな硬い話は数十分で終えて、後は店が閉まるまでウダウダ飲んでいた。楽しかった。また次の四半期決算が終わった頃にでも飲みに行こう。

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