WOLFGANG PUCK PIZZA

しばらくアポもないので沖縄へ行くことにした。
監査をしている公認会計士は4月〜5月が繁忙期だが、上場企業を顧客にもつコンサル屋は4月〜5月が閑散期となる。この間はセミナーもない。執筆も終わったので、ちょっとゆっくりしようかと。

伊丹空港(大阪国際空港)は旅行客で賑わっていた。春休みなので、女子大生や家族連れも多かった。沖縄便はほぼ満席だった。

ずっと閉店していた空港内のハンバーガー屋も、昨日から営業を再開したらしい。出発前に腹ごしらえ。

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機内で、橘玲さんの『裏道を行け』という本を読んだ。副題は『ディストピア世界をHACKする』。副題が重要な意味を持つ。

これまでの橘玲さんの本を寄せ集めたような内容であり、『無理ゲー社会』の続編のような内容であるが、「攻略不可能な理不尽なゲーム」(無理ゲー、P231)の社会、かつ、「正直者が馬鹿を見る」(P268)という社会において、HACKされる側ではなく、HACKする側に回り、自分らしく、幸せに生きるヒントを教えてくれる。

ベストセラー『スマホ脳』にも書かれているが、大半の人が平均で1日4時間、若者の2割は7時間もスマホを見ている。1日4時間ということは、1日の16.6%ということであり、人生100年に換算すれば16.6年ということになる。このスマホの時間を、何か違うことに当てれば、どれだけ人生が変わるだろうか

本書で、カル・ニューポートという方の『デジタル・ミニマリスト』(ハヤカワ文庫)という本を紹介している(P244〜)。「オンラインで過ごす時間を容赦なく削り、ごく少数の価値ある活動に集中する」ことを提唱し、これを「デジタル・ミニマリズム」と名付けているらしい(P245参照)。テクノロジーの最先端にいる西海岸の若者が、最近、テクノロジーから距離を置いているようだが、それは「SNSなどの現代のテクノロジーによって、日常的に脳をハックされていることに(最近の若者が)気づいているからではないだろうか」(P248)と橘氏は述べている。スマホに依存せず、デジタル・ミニマリストの生活をすれば、HACKされる側ではなく、HACKする側に回ることができるはずである。上述のカル・ニューポートは、これを、「疲れ果てたマキシマリスト」から「主体的に行動するミニマリスト」に生まれ変わることができる、と表現している(P245、良い言葉なので、ノートに書き写しておいた)。

かつての「顕示的消費」に若者が興味を持たなくなり、SNSの「評判」に価値を重んじるようになった流れは「巨大なパラダイム転換」(P262)であり、この流れはコロナにより加速した。そうすると我々の働き方も転換していかざるを得なくなる。橘氏は、やがていくつかのプラットフォーマーと、そのインフラを利用してビジネスを行う個人(フリーエージェント)や小企業(マイクロ法人)だけになっていくのではないか(P261)と述べている。この主張は『黄金の羽根の拾い方』の初版が出た20年前から何も変わっていないと思う。つまり、このような働き方は「裏道」ではなく「王道」であり、「黄金の羽根」だと思うのだが、ロングテールの世界において大多数の人がそれに気付かずに、スマホ中毒者の如く、人生をHACKされていく。

本書の最後で、橘氏は、バラバラの個人が協働するという働き方が近代の価値観の完成形だと述べてて締めくくっている(P261)。沖縄にいても、海外にいても、フリーエージェント同士がチャットするだけで仕事ができる時代になった。富の獲得を目指さなくても、FIRE(早期退職)しなくても、ミニマリストにならなくても、やりたいことをやれば生きていける。

没頭して読んでいたら、あっという間に那覇空港に着いた。


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美浜アメリカンビレッジ


レンタカーを借りて、北谷に着いたら、日が暮れた。
アメリカンビレッジも、観光客が多かった。

沖縄は既に海開きをしており、もうTシャツで過ごすことができる。夜は涼しくて気持ちよかった。

何が良いって、スギやヒノキの花粉がないこと。来年から沖縄に移住する予定だが、もう花粉症の苦しみから解放されるのかと思うと、EDMをかけて飛び跳ねたいくらいに嬉しい。


北谷ビール


マンションに帰り、冷蔵庫にあった地元の北谷ビール(Chatan Beer)を飲む。
こっちのスーパーで売っていたミミガージャーキーをツマミに。

今日は「デジタル・ミニマリズム」な1日だった。
これからもできるだけデジタル・デトックスをしていこうと思う。
人生をHACKするために。

スマホを捨て、町に出よう!
No Fun,No Life!!