腎臓が寿命を決める 老化加速物質リンを最速で排出する (幻冬舎新書)


本の書評を書くことって、本を読むことよりも時間と労力がかかる。
執筆中も何十冊か本を読み漁っていたが、書評を書く余裕がなかった。書評を楽しみにブログを読んでくれている方もいるのだが、「評する」というのはなかなか時間がかかることであり、(私の場合は)おいそれとできることではない。

とりあえず、執筆が一段落したので、これまで読んできた本の書評も書いていこうかなと思う。

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ということで、今日は『腎臓が寿命を決める』という本を。

長生きしたい方にはオススメの一冊。

著者は、老化の仕組みを解明する研究を続けている方で、老化抑制遺伝子である「クロトー遺伝子」というものを発見されたという、この道の最前線をいく方。医学的な説明は省略するが(本書第1章〜第3章参照)、結論を言えば、「リンこそが老化を加速させる物質」ということ。リンは人体に欠かすことができない物質だが、過剰摂取すると腎臓をの機能を低下させ、血管や細胞にゲメージを与え、老化を加速させるという。

ただし、厄介なのは、リンは無味無臭であり、塩分、糖分、脂質のように、「これだけは控えよう」という食行動が取りにくく、知らず知らずのうちに口に入れてしまっている。そのため、リンが多く含まれるであろう食品の過剰摂取を控えなければならない。

リンが多く含まれるのが食品添加物であるため、日頃から加工食品、ファーストフード、カップラーメン、スナック菓子、スーパー・コンビニのお惣菜、スイーツ、清涼飲料水などは控えた方が良い。

また、食品表示に、リン酸塩Na、メタリン酸Na、ポリリン酸Na、ピロリン酸Na、かんすい、酸味料、香料、乳化剤、pH調整剤、強化剤、結着剤などの表示があるものも控えた方が良い。「◯◯料」「◯◯剤」といった表示が多いものは買わない方が良い。

食品添加物が多そうなものだけでなく、とんでもなく日持ちがするもの、いかにも着色料を使ってそうなもの、値段が安すぎるものなども買わない方が良い。

こういったものは(発がん性があるだけでなく)リンの過剰摂取からくる「老化」の原因になるという訳だ。

さらに著者は運動すること(体を動かすこと)も重要だという。われわれの祖先は、陸に上がって生活をするようになり、リンとカルシウムを骨に貯めるシステムを進化させ、硬い骨を身につけるようになった。しかし、最近の人は座りっぱなしの生活をしており(特に日本人は世界の中でも座位時間が長いといわれている)、運動量・活動量が極端に減っている。そうなると、骨の中のリンが「役目は終わった」と判断し、骨の中のリンやカルシウムが流出し、体内のリンが増え、骨と腎臓が衰え、老化が加速することになる。

つまり、長生きするためには「食事」と「運動」が大切というシンプルであり分かり切った結論になる訳であるが、そのカギとなるのがリンと腎臓という、これまであまり目立つことのない”地味な存在”(P188)だったという話。

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執筆中は異常な位に座りっぱなしの生活を続けていたので、ちょっと運動量を増やさないとなぁ。