先日買い付けた札幌の不動産の決済のため、朝イチで某銀行へ。
銀行の融資担当者、売主の仲介人、買主の仲介人、司法書士、買主(私)が銀行の会議室に集まり、大押印大会。何十枚という書類に押印していく。この世界から紙・ハンコがなくなる日は来るのだろうか。不動産を売買する度に何度も法務局に手数料を払わなければならないという制度もいい加減にやめてほしい。手間がかかる制度を放置しておいて、利用の都度手数料を徴収するって、一種の悪徳商法やん。オンライン申請したら手数料が安くなるって、そういう問題じゃない。ハ・ン・コ・を・な・く・せ。
1時間に及ぶ「儀式」が終わり、億単位のカネが右(銀行)から左(売主)に流れていく履歴が通帳に記録される。私の手元には1円のカネも残らないが、バランスシートには同額以上の資産が計上される。20年位前にロバート・キヨサキ氏の本を読んでからコツコツとやってきたら、ある程度の資産が積み上がってきたが、1年や2年でこうはならない。いま話題のインデックス投資やつみたてNISAなどの投資も、20年スパンでやればある程度の資産が積み上がるかもしれないが、20年やり続ける忍耐力、それを上回る興味がなければ成果はでないと思う。
銀行を後にして、司法書士さんとお茶をした。司法書士さんは、長年の友達でもあり、旅や本やグルメの情報を交換し合う仲でもある。1日平均3時間働き、残りは旅、読書、グルメ、思考の時間にあてているらしい。今回の私の仕事が終わったら、南国に行くと言っていた。根っからの自由思考。
彼女に会う度に言われることを、今日も言われた。
「武田さん、そろそろ収入以上に支出しないと、カネを溜め込んで死ぬことになりますよ」と。
言われる度に、グサっとくる。
『DIE WITH ZERO』という本に、「人生で大切なのは富の最大化ではなく、経験の最大化だ」というようなことが書かれており、これは100%同意する。仕事に熱中する時期も必要だし、ある程度の富を蓄えてるために努力することも大切だと思うが、その何百倍も大切なことは「経験の最大化」だと思う。死ぬ時にはバランスシートの借方も貸方もZEROにして、足跡だけ残して死にたいと思う。
今回の不動産取得に伴う所有権移転や抵当権設定の手続きにあたり、その司法書士の友達からあがってきた見積書は二度見、三度見するほど破格の報酬だった。ほぼ無償だったので、銀行融資担当者や仲介業者も驚いていた。長年の友達だからディスカウントしてくれたのだろうけど、これは彼女から私への痛烈なメッセージだったのだろう。「ホントに大切なものは何か、私は分かってますよ」と。