タケダ


了解。


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金曜日は大学授業の日。

どうやって会計や監査に関心を持ってもらおうかと、毎回苦労しながらやってきたけど、苦労を14回も繰り返して来たら、授業はあと2回となった。広島市内にマンボウが適用されたことに伴い、最終授業(1月29日)もオンライン授業となったため、結局、学生達とは一度も会えぬまま授業を終えることになる寂しさは大きいが、オンラインでも伝えるべきことは伝えておきたい。

今日の授業は、近時の上場企業の粉飾決算の中で、グレイステクノロジー社とEduLab社の事例を取り上た。過去数年分のB/S、P/L、C/Fを並べると、どう考えても数字の動きがおかしいことが分かる。簿記を学んだばかりの大学生でも気付く。不正の端緒に気付かないはずがないのに、どうして両社の監査法人はそれを見逃したのか。そして、この両社が行った粉飾決算は(会社の規模が大きくないからあまり騒がれていないようだが)悪質度が極めて高い。グ社はまだ調査委員会が調査継続中だが、売上高の半分が架空売上だったことが明らかになっている。E社は上場前から粉飾決算を行って上場し、上場後も粉飾決算を行って公募増資をしている。犯罪ではないのか。なのに少しの課徴金納付命令が出ただけで上場を維持している。上場してていいんだね、逮捕されないんだね……という謎が残る。

公認会計士の恥晒しのような事例を学生達に紹介したのは、会計監査がすべての不正を発見することはできないし、経理部で勤務することになっても不正の端緒には気付くことができる(気付くべきである)ということを伝えたかった。私の授業の受講生は、全員が事業会社で働くと思う。経理部を志望している人もいる。自分の会社で不正・誤謬が起きないなんてことはない。グ社・E社のような粉飾が行われたとしても、それに気付くような経理部員にならんとアカンぞと、いうことを伝えたかった。ついでに「経理の本分」が何かという話も伝えた。

いつも、授業の最後に、今日の学び・気付きをシェアしてもらっている。「経理部がとても重要な部署であることが、今日はじめて分かりました」と言ってくれた学生がいた。

そうなんやで。経理部は経営の中枢部門なんやで。こんなやりがいのある仕事はないんやで。

インスピレーションをつかんでくれただろうか。

いよいよ次回は最後の授業。
何を伝えようか。また1週間、考えよう。