バーニャカウダ


「黒字社長塾」を永久更新してくれた社長さんの会社を訪問した後、一緒に食事に行った。私より若い社長さん、いつも熱心に色んなことを吸収しようという意欲がすごい。

いまは「部下を育てる」ということに悩んでいるらしい。社内で勉強会をしたり、他社のセミナーに参加させたりしながら、部下に「経営者マインド」を持ってもらいたいと思っている。

私が社長業をやっていた頃も同じように思い、同じようなことをやっていた。しかし、その時の経験からいえるが、部下は育てようと思っても育たない。上に立つ者として必要なことは、チームを「育てる」ことであり、人は「伸ばす」ものだと思う。

個々人については、「育てる」のではなく、ひとりひとりの強みと弱みを見出し、強みを伸ばし弱みを補うことが重要だと思う。勉強会やセミナーを否定するものではないが、予め用意された人材育成プログラムのようなものを与えても、ジェネラリストが必要とするような知識やスキルが身に付くかもしれないけど、(一般的には)従業員の持つ強みや個性や才能を尊重したものではないし、それらを伸ばすものではない。「経営者マインド」が高まる、なんてこともない。

昭和時代から続いた日本的経営やメンバーシップ型雇用に古臭さを感じる中で、そもそも社員が「経営者マインド」を持って、人の上に立って働きたいと思っているのだろうか。それよりも、彼らが求めているのは、いまの「充足感」ではないか。仕事から得られる喜びがあるか、自己の強みや個性や才能が発揮できるか、個人のWell-Beingを感じることができるか…、そういった「充足感」ことが大事であり、そうでなければ社員から見捨てられる時代になっている。

会社という経済主体の中に従業員という構成要素がいるという時代(組織中心の時代)は終わり、会社というバーチャルな空間に個人という経済主体が存在するという時代(個人中心の時代)に移行している。社員を「育てる」というのは組織中心時代の考えではないか、は注意が必要だと思う。マネジメント層こそがコペルニクス的発想の転換をしなければならないのかもしれない。

社員を「伸ばす」ためは、(以前も書いたが)社長自らが「現場」に行き、社員とコミュニケーション(対話)をし、彼らをインボルブしていくべきだと思う。メールを一斉送信したり、LINEグループにメッセージを送ったりしても、インボルブできることはできないし、相手のことを理解することもできない。

片想いの人に、メールやLINEを送っただけじゃ声は届かないだろうし、相手のことを理解することもできないよね…。

今日は飲みながらそんな話をした。