shinagawa

JR品川駅の港南口へ向かうコンコースに、某社が「今日の仕事は、楽しみですか。」といった動画広告を配信したら、多くの批判を受け、「当駅利用者の方々への配慮に欠く表現」と謝罪した上で、翌朝に広告を取り下げることになった。

というのを知床にいる時にネットニュースで知った。

この場所の広告費は1週間100万円らしい。1日だけの配信となってしまったが、たった100万円でここまで炎上すれば、マーケティング的には成功なのかもしれない。けど、何とも後味が悪いニュースだと思った。この会社は自社のサービスをPRしたかったのであろうが、動画広告の一部を切り取られ、そこをネット民が叩きのめすといういつものパターン。まぁ、通勤時間にこんな広告を見せられたらイラっとする人はいるだろうが、長い動画のホンのひとコマに過ぎず、コンコースを歩いていたビジネスパーソンの大半は視界にも入っていないだろうし、見たとしても何とも思ってないんじゃないか。

それにしても、なぜこの場所に、この広告を出稿したのか…の方が気になる。

私が独立した16年前、初めて東京にオフィスを借りたのが、JR品川駅の港南口のリージャスだった。しかし、直ぐに解約した。どうもあの場所が肌に合わない。それ以降、JR品川駅の高輪口に行くことはあっても、港南口に行くことはない(何かのアポがない限り)。そもそも、「通勤」というものが非人間的、非生産的であり、楽しいはずがない。というか苦痛でしかない。駅から下りて、何千人、何万人が同じ方向に向かっていくコンコースを歩くことが苦痛だった。いまでも何万人というビジネスパーソンがそこで働いているのだと思うが、コロナで働き方・価値観が変わった人は多いと思う。人が変われば、会社も変わらなければならない。同じ屋根の下で、同じ釜の飯を食うという同質性、協調性を求めるという「古い価値観」から脱却しなければ、会社のサステナビリティすらも危うくなるという時代になったと思う。上の広告主がそこまで考えて、このコンコースに広告を出したのかは不明であるが、会社も個人も変革(transformation)すべきだろう。CX(Corprate transformation)とPX(Personal transformation)が必要だと思う。

いま大企業は、リモートワークOK、時短OK、フレックスOK、週休3日OK、地方移住OK、兼業・副業OKと、従業員を囲い込みながら、従業員のエンゲージメント(会社に対する愛着、貢献度)を高める施策を次々と打ち出している。日本の人口(特に生産年齢人口)が激減していく中で、会社側も「人」の確保と、従業員エンゲージメントの向上は重要な経営課題とならざるを得ない。かつては組織が人を選ぶ時代であったが、いまは完全に逆転している。最近の優秀な若者は「古い価値観」の昭和のおっさんが経営する会社を選ぶことはない。同じ釜の飯を食うという発想もない。死ぬまで同じ場所に骨を埋めるという発想もない。優秀な若者は、いま巷で話題の「FIRE」(Financial Independence, Retire Early)を目指すよりも、「Well-Being」(幸福度)を激的に上げるような生き方・働き方の変革(PX)をしていると思うし、企業も従業員のエンゲージメントを考えた変革(CX)をしていかねば生き残れないのではないかと思う。