知床_北こぶし

ホテルの部屋からオホーツク海が一望できる。

もうすぐ、ここに流氷がやってくる。流氷に含まれる大量のプランクトンが魚たちの餌となり、多くの魚がここで育つため、この辺り(斜里町)の鮭やマスの漁獲量は日本一を誇る。地球温暖化により流氷が減ると、漁獲量にも影響を及ぼすのではないだろうか。実際に、十勝や釧路では海水温の上昇が原因とみられる赤潮が過去最大規模で発生し、鮭やウニが大量死している(北海道新聞 2021/9/30より)。

この世に生を授かった者として、地球を守り、生まれた時よりも良い状態にして、お返ししなければと思う。ひとりのチカラじゃどうにもならないけど、皆がそういう思いで地球を守らなければ、鮭もヒグマも人間も生きていくことはできない。


▼鮭 漁獲量ランキング(2019年)出処
鮭_漁獲量


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知床半島の先に知床岬がある。私が泊まっているウトロは、知床岬から25km位手前にある。島や半島に来ると、その果ての場所(岬)に行きたくなるのだが、知床岬は国立公園内の特別保護地区として管理されており、クルマで行くことができない。数日かけて徒歩で行く人もいるが、過去にヒグマの被害にあった人もいる。そのため、一般の観光客は事実上立入りできないことになっている。よって、知床岬を見ようと思うと、クルーズ船に乗って、海から眺めるしかない。

今日は、クルーズ船に乗って、知床半島を海から眺めたかったのだが、朝から雨がひどく、船は欠航。残念ではあるが、事前に天気予報は見ていたので、織り込み済み。「また流氷の季節に知床に来い!」というお告げだ。

主要な観光スポットは昨日・一昨日で回ったので、今日は「知床自然センター」というところへ行ってきた。知床の自然について知ったり、学んだりできる場所。社会見学のような一日も又良し。


知床自然センター



知床自然センターに着くと、いきなりすごい掲示。
センターのすぐ裏の遊歩道にヒグマが出たと。
これが知床。しっとこ。

知床自然センター


知床自然センターでは、そこそこ大きなシアター(映画館)まであり、知床に関するオリジナルムービーを上映している。これはなかなか良かった。

ちょうど今の時期は「Sustainable week」と題して、イベント、ツアー、展示、トークショーなどを連日開催していた。今日はアーティストの方のトークショーがあったので、これも拝聴。


知床自然センター


石垣島や与那国島もそうだったが、多くの方がその地に魅了され、本州から移住してくる。知床自然センターで少し話しをした職員の方も横浜から移住してきた人だった(この方は、横浜に婚約者がいたが、知床に魅了され、婚約を破棄して移り住んで来たらしい)。全てを投げ捨ててやってくるだけの魅力があるのだ。そして、写真家、画家、彫刻家といわれる人たちも同様に、この地に何かのインスピレーションを感じ、この地に作品を残す。分からなくもない。私は知床に来て3日で、まだ何も分からないが、この雄大な自然から得られる何ともいえない感覚は、初めて西表島に行った時か、それ以上のものかもしれない。自分が魅了された場所に移り住み、何か足跡を残すということは、ステキなことだと思う。したいと思っても、できない(しない)人の方が多い。ここにいる人は、それをした人ばかり。想いを実現し、やりたいことを精一杯やっている人は、生き甲斐が表情に表れる。その表情もまたステキだと思った。

私が知床自然センターを去る時、(上の職員とは別の方だが)ある女性職員の方の全身を使って手を振って見送ってくれたのだが、その笑顔は生涯忘れることはない。ある意味、ショックだった。人間、どうやったら、あんな笑顔で人と向き合うことができるのだろうかと、しばらく呆然と佇んでしまった。

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そんなこんなで、今日も17時前に日が暮れた。

一度くらいホテルで食事しようかと、ホテルのレストランへ行ったのだが、驚いたことにKENZOさんのワイン「asatsuyu」が置いていた。こんな北の果てで、こんなワインが飲めるとは思わなかった。しかも、値段順に並んでいるワインリストの中で「asatsuyu」は中位の商品であり、1本10万円位するワインもストックされていた。びっくり。

知床は、この自然を守るために、国、周辺自治体、企業、個人、学者などの多くのサポートや寄付があり、多くの環境保全活動が行われている。そのため、日本中から人が集まる。当然に知床のホテルに泊まり、ここで食事をする。環境省の偉いさんや、大企業の役員なんかもやってくる。そりゃ、相手は何億円もの事業予算を付けてくれた方であり、何億円もの寄付をしてくれた方である。レッドカーペットでお出迎えして、10万円のワインもあけてもらわないといけないだろう(レッドカーペットは敷かれてなかったけど)。

高級ワインはそういう方に置いておき、私は海の幸と「asatsuyu」で酔いしれた。なんとも満足度の高い最終日の夜であった。


asatsuyu