知床五湖

朝イチで知床五湖に向かう。

バスで数十分。車窓からヒグマ、シカが何匹も見えたのには驚いた。かけがえのない豊かな大自然と、あまたの動植物が、ありのままに生息しているということが分かる。世界自然遺産に登録されて16年を迎え、たくさんの観光客が来ることとなったが、それは知床の自然や生態系を壊すことにもつながる。そのトレードオフを保つことが現地の課題になっていると思う。

自然を保護するため、観光客が集中するこの時期は、マイカー乗り入れを規制し、無料シャトルバスを運行している。マイカー乗り入れ規制には観光客からの苦情も多いらしいが、マイカーを乗り入れると、ヒグマを観察するために交通渋滞が起こるし、餌やゴミを投棄することによる生態系の乱れも起こる。期間限定で無料シャトルバスを運行させるだけでも大変なことだと思うが、それ以外にも知床の方々の並々ならぬ努力を感じる。




知床五湖

知床五湖に到着すると、10分ほどのレクチャーを受ける。ヒグマに遭遇した場合の対処方法などについて。

レクチャーを受けたら(施設内への)立入認定証なるものをもらい、トレッキング開始。トレッキングコースはキレイに整備されていたので、山ガールのような重装備は不要(大半の人がそういう服装で来ていたけど)。数名、短パン・サンダルの人もいたが、それは浮く。


知床五湖

知床五湖は、その名の通り五つの湖があり、その周りに遊歩道が整備されている。五湖→四湖→三湖・・・と全長約3km(約90分)の散策となる。

まずは五湖。静かな湖面に木々が映る。いきなり美しい光景。

知床五湖


知床五湖


知床五湖



次は四湖。知床連山が望める絶景。

知床五湖


知床五湖


知床五湖


知床五湖


知床五湖




続いて、三湖。

知床五湖


知床五湖


知床五湖


知床五湖


知床五湖


知床五湖


知床五湖



知床五湖の中で最大の二湖。
知床連山がそびえ立つ景色に、歩く足が止まる。ここからの景色が一番良かった。

知床五湖


知床五湖


知床五湖


知床五湖


最後に一湖。
ここからの光景も絶景だった。

知床五湖


知床五湖


知床五湖


知床五湖


一湖まで来ると、トレッキングコースのゴールまでは高架の木道が通っている。ここにある展望台も撮影スポット。

知床五湖


高架木道が800m続く。ヒグマ対策として地上には降りることができないようになっている。

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高架木道からの景色も美しい。

知床五湖


知床五湖


知床五湖


ということで、約90分のトレッキング終了。

地図で見てもらえれば分かるが、知床五湖は知床半島の中のほんの小さな湖に過ぎない。それでも、ここにくると知床の雄大な大自然を満喫することができると思う。ここは来てよかった。超オススメ。


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トレッキングが終わると12時だった。
シャトルバスでホテルの近くに戻り、地元で人気っぽいお店に入る。
刺身定食1950円。観光客向けの値段だけど、ランチでこれだけの魚が食べられるのは満足。

知床_熊の家



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午後、レンタカーでドライブ。

私が泊まっているホテルは知床半島の北側(オホーツク海側)のウトロ(宇登呂)という町で、南側(太平洋側)には羅臼(らうす)という町がある(アイヌ語が語源なので、聞き慣れない地名が多い)。ウトロと羅臼を繋ぐ横断道路は、4月下旬頃から11月中旬頃まで走ることができるワインディングロード。この道のドライブは最高に気持が良かった。

今年の知床は例年より紅葉が早いらしく、既に紅葉している所もあり、ドライブしながら絶景を眺めることもできた(運転中に写真を撮れなかったのは残念…)。

知床峠



知床峠の展望台より。奥に国後島が見える。

知床峠



知床峠の展望台が、羅臼町との境目。

羅臼町



こちらは羅臼町にある「国後展望台」からの知床峠方面の眺め。
雄大な知床半島。

知床峠


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知床食堂

羅臼町の道の駅に「黒ハモ丼」なるものがあり、食べてみた。
ウナギとは違う食感と味で、美味しかった。


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昨日も書いたが、この時期の知床は17時前に日が暮れる。

あっという間に夜になり、ウトロに戻った。

夕方に「黒ハモ丼」を食べたので腹一杯だったが、飲みたかったのでウトロで有名な居酒屋へ行った。

知床_番屋

巨大な居酒屋だったが、客は1組だけだった。
「いまの客が帰ったら、もう閉めようかと思ってた」というところへ滑り込ませて頂いた。


知床_番屋

とりあえずビール。


知床_番屋

今宵も刺身盛り合わせ。
盛り盛りに盛ってもらって、ペロリと食べた。

何を食べても美味しい。
そして、いくらでも食べられる。

最後の客だったので、店の方がホテルまで送迎してくれた。
温かい人達だ。嬉しい。


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ホテルに足湯があるので、浸かりながらアイスクリームを食べた(どんだけ食うねん!)。

同じホテルの宿泊客の方が写真を撮ってくれた(撮ってどないすんねん!)。

とりあえず、ありがとう。


知床_北こぶし



で、部屋に戻って、オホーツク海を眺めながらワインを飲む。

今日は、朝から絶景尽くし、魚尽くしで、一生の想い出に残る1日だった。

私はコンクリートに囲まれた場所にいるより、大自然に囲まれた場所にいる方が好きだが、知床は私が思う「大自然」というレベルではなかった。冬の間に運ばれてくる流氷に含まれる大量のプランクトンが魚たちの餌となり、鳥たちもその恵みを受けているらしい。大量の鮭が遡上し、それを狙うヒグマがそこらにいる。そういう命の循環、大自然の食物連鎖を見て、感じることができる。そんな場所に自分がいることが信じられない。太古の自然を守り、生物の多様性を守りながら、地域の人々が長年活動してきたことが評価され、16年前(2005年)に世界自然遺産に登録された。それからも地域の人々の活動が途絶えることはなく、いまも現在進行形で様々な事業活動が現地で行われている。

何もしないことが「自然」といえるのかもしれないが、例えば、地球温暖化で鮭が減ると、ヒグマは見る見るやせ細っていくという。そのヒグマが食を求めて人間の住む場所まで下りてくると大変なことになる。この巨大な半島の中で、動植物、住民、観光客が共存するためには、終わりなき環境活動が必要なのだ。この活動を維持するために、国、町だけでなく、多くの企業や学者なども動いていることも知った。ガイドブックだけじゃ分からないことは多い。旅をすると、体重も増えるが、生きた知識も増える。それも旅の醍醐味だと思う。