読売新聞のコラム『編集手帳』を担当されていた竹内政明さんの文章が読みたくて、読売新聞を定期購読していた時期があったが、同氏が引退されてから購読を止めた。竹内政明さんの担当された『編集手帳』は書籍化もされており、いまでも時々読み返すが、唸るような文章が多い。
その読売新聞の中で、もう一つ、欠かさずに目を通していたのが、100年以上前から連載が続いている名コーナー『人生案内』。読者からの質問に何名かの回答者が順番に答えていくというコーナーだが、最相葉月さん、出口治明さんの回答がずば抜けて良かった。その幾つかはモレスキンに貼り付けて、これも時々読み返している。
その最相葉月さんの回答を集めたものがミシマ社から発売された(2015年に第1弾が発売されており、今回が第2弾)。超辛口な回答が痛快すぎる。マジおもろい。
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本書は、これまで『人生案内』に掲載された86本を編集したもの。全てに目を通すと、人の悩みのほとんどが「人間関係」の悩みであることが分かる。それも、身近な人への「過干渉」か「無関心」が原因であることが多い。他人の言動に首を突っ込みたくなることも人間の性であれば、他人の大切なことを心で見てあげられないのも人間の性なのだろうか。他人の領域に土足で踏み込むが、結局は自分のことしか考えていない。それが親しき仲をも苦しめる。夫の不満をいう妻(P10)、成人になった息子を支援したがる母(P16)、成人になった娘の行動をGPSで監視する母(P134)などなど、身近にいる自立できない人が、自分の人生を狂わせる。サイショーさんは、加害者側には「自立しろ」、被害者側には「一刻も早く家を出ろ」と助言するが、私も1000%同意する(P63、P135参照)。自分の人生を歩むべし。
もう一つ、「私はこんなに悲しい想いをしている」「私はこんなにつらい想いをしている」といった質問者が多いと感じる。同情して欲しいのか、解決して欲しいのか。おそらく前者だろう。我慢、我慢、我慢を何十年としてきたら、もういい歳になってしまった。これからどうやって生きていけばいいのでしょうか……みたいな。我慢を美徳と勘違いしている人が多いなぁ〜と感じるし、変えられる運命を変えられない宿命と勘違いしている人も多いなぁ〜と感じる。人生はいくらでも変えられるし、挽回できるのに。
人生は後悔と自責の連続です。みんなことさら話題にしないだけ。自己憐憫の涙は拭いて、あなたはあなたの道を歩むことです。(P155)
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なお、私がモレスキンに貼り付けているのは、P150、P154、P156の3つ。回答が辛辣だが素晴らしいので全文を掲載したいくらいだが、著作権がどうのこうのと言われそうなので、本書でチェックして頂ければと。
甘口もあるでよ。
最相葉月は母校(関西学院大学)の先輩でもあるでよ。