稲盛和夫、かく語りき
稲盛和夫
日経BP
2021-07-22



1970年以降の50年間に、「日経ビジネス」「日経トップリーダー」に掲載されたインタビューを一冊にしたもの。インタビューは時系列に掲載されており、1970代から一貫して「経営の中心は人」「社員との人間関係が大切」(P22)だと発言されている。自身に社員をひきつけるような人間性がなくて悩んだときに「基準にしたのは(松下)幸之助」(P60)と言っていたのは印象に残る(ただし、会社に長く籍を置き、世襲をやったことは反面教師としたらしい)。

個人的には2000年以降のインタビューがめちゃめちゃ参考になり、ほぼ全ページ赤線を引いた。経営者に必要なものは、理念・哲学・思想であり、圧倒的な闘争心である、ということが激しく伝わってくる。経営者が明確な哲学を持ち、社員全員で共有し、全員のベクトルがそろっていることを最も重視しており、そうでなければ社員のやりがい・充足感・幸福度は上がらない。経営者が哲学や理念を社内で共有するという努力もしないで、安易に成果主義に飛びつくのは「一番、タチが悪い」(P137)し、理念の共有なくして、ルールも規則も、内部統制も機能しない(P138)と発言されている。ぐうの音も出ない。

経営理念を掲げている会社はたくさんあるが、人が付いてこない会社が多いのは、経営者が「お金儲けをしたい」とか「有名になりたい」といった邪心にまみれた個人的な欲望で経営しているからである。経営者はそのような欲望を振り払い、「無私の人」にならねばならない。そういった経営者のあるべき姿について教えてくれる一冊。経営者の方には強くオススメします。