CBSソニーの新卒社員が、ソニーグループのトップまで登りつめ、4年連続赤字だったソニーをターンアラウンドさせたという話が役に立たないはずがない。

めっちゃくちゃ勉強になった。


本書の中で、リーダーに不可欠な素養として、「異見(異なる意見)を求めること」「EQが高い人間になること」が何度も何度も強調されている。

「異見をどう発見するか、どうやって経営戦略に昇華させて実行させるかは、私の経営哲学の根幹をなす思考法の一つだ」(P33)というほどに、「異見」を大切にしているらしい(最終的にはリーダー自身が方向性を決めなければならない、とも書かれている(P212〜))。

平井一夫氏が社長になった時も「異見」を求めた。社長に遠慮することなく「異見」をぶつけてくれる人として、平井一夫氏のひとつ年上で、当時、子会社のソネット社長だった吉田憲一郎氏をスカウトし、ソニー再建の相棒に割り当てる(吉田憲一郎氏は後にソニーグループのCFOとなる)。

赤字続きだったエレクトロニクス事業を黒字転換させ、VAIOを売却し、次に映画事業をターンアラウンドさせなければならない時は、経営トップの平井一夫氏が東京を不在にし、数ヶ月間アメリカに乗り込むという大胆な行動に出る。吉田憲一郎氏に絶対の信頼を置き、東京を任せたという(P227〜)。

EQを高め、「異見」を聞き、最後はトップが決断し、決めたことは言い訳をせずに実行をし、結果を出す。「それが私に与えれた役目なのだ」(P219)という。社長かくありき。

2018年3月期に20年ぶりに最高益を更新し、平井氏は社長を吉田憲一郎氏へ譲る。その後も、ソニーグループは売上、利益、株価を上げ続けている(末尾図表参照)。行動派平井氏の撒いた種が、頭脳派吉田氏によって理詰めで枝を伸ばしていった、という印象がある。

ソニーグループの元社長が本を書くということ自体がすごいことだが、本書は、そのソニーグループの元社長が、会社や事業をどうやって成長・再生させ、経営トップがどのように経営し、マネジメントをするのかということを教えてくれるすごい一冊。単なる経営本ではなく、平井氏の半生を振り返りながら、巨大企業グループのトップに登り詰めるまでの軌跡を追えるのも面白い。

最近読んだビジネス書でNO.1。超オススメです。


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