ピノ・ノワール


2年前の今頃、平成最後の夜だった。

この日、私は台場のホテルに泊まっていた。1つの窓からレインボーブリッジ、東京タワー、スカイツリー、自由の女神が見えるところで、ピノ・ノワールを飲みながら、平成最後の夜を過ごしていた。

1日が終わろうかという真夜中に、ホテル周辺に停泊していた船が一斉に汽笛をならした。ビックリして時計を見たら0時ちょうどだった。「あぁ、令和に変わったのか」。

もう何年も前の出来事のよう。

-----

この日、世間は明らかにお祝いムードだったが、私は令和という新しい時代に希望を持てなかった。平成より良い時代になるとは思えない。超絶なる高齢化と人口減少、財政難、地球温暖化はこの国を破滅させるかもしれないし、多様性重視の流れは良いことかもしれないが、その反面で個人を破滅させるかもしれない。”Change or Die” の時代になると思うので、あらゆる備えをしなければ…と令和の初日のノートに記している。

その翌年に、緊急事態宣言が発令され、海外渡航が制限されるとは。

ボーダレスに向かっていた社会は、境界線を引くことになった。
そして、私の人生も、環境も、仕事も、人間関係も、すべてが変わった。
というか、変えた。
死なないために。

-----

ぷらっと入った広島のワインバーは、客は私ひとりだった。
無意識にオーダーしたのは、2年前と同じピノ・ノワールだった。
あらゆるものを変えても、嗜好と思考は変わらんもんだ。

こだわりも執着も我慢も過去もぜんぶ捨てて、
自分の嗜好や思考は大切にしたい。

社会も環境も、劇的に変わっていくだろうが、
自分の将来は、いまの自分の頭の中にある。

楽しむことに躊躇せず、弾を撃ちまくる人生であれ!
No Fun,No Life !!