「何回やる」「何キロ上げる」というところにフォーカスを当てていると、多くの人は回数やキロ数を稼ぐためにフォームを崩し、自分にとってラクなフォームでトレーニングを行うようになっていく。これが非常に問題なのだ。(P31)

「30回以上できるトレーニング」は、それ以上やっても負荷として成立しないとされている。(略)あまり意味がないのだ。(P32)


私は、なんやかんやで、ジム通いが28年目になる。が、パーソナルトレーナーを付けていないので、私のトレーニング方法が正しいかどうか分からない。なので、この類の本は何冊も読んできてきたが、本書は類書の中でも有益だった。

著者の清水忍さんは、トレーニングジムを運営されているトレーナーで、プロ野球選手のパーソナルトレーナーも努めているらしい(本書には、メジャーリーガー菊池雄星投手の推薦文が数ページにわたって書かれている)。


本書で一貫して述べられているのは、【なぜやるのか?】という目的根拠に立ち返えれ! という話。プロアスリートでさえも「筋トレ自体が目的」となってしまい、ベンチプレスの回数やキロ数にこだわり、特定の筋肉「だけ」を鍛えるという「ざんねんな結果」につながっている人が少なくない(そういう「ざんねんな身体」をしている人は、私のジムにも多い)。

本書は、ジムでよく見る「自己流筋トレ」(ざんねんな筋トレ)と、目的に会った「正しい筋トレ」(=ロジカル筋トレ)を図解してくれている。この図を見るだけでもかなり参考になる。

ロジカル筋トレ

ロジカル筋トレ


ちなみに、ダイエットのために毎日腹筋をしている人は少なくないと思うが、「腹筋トレはいくらやったとしても腹筋をタテ割りさせることにはつながらない」(P84)という。腹筋(筋トレ)をしても体脂肪は1gも燃焼しない。腹筋をタテ割りさせたいなら、筋トレじゃなく、食事制限か有酸素運動をして体脂肪を落とせ、と。

「食事コントロール80%、有酸素運動20%、筋トレはプラスαという感じ」(P90)で体脂肪は落ちていき、自然と筋肉が割れたように浮き出てくる(P85)。某ラ○ザップがやってることも、きっとそうですよね。

じゃ、筋トレは意味がないのかといえば、そういう訳ではない。ロジカルな筋トレをすれば、体型が変わるし、それだけでなく自信、たくましさ、アイデンティティも得られるし、マネジメント力も鍛えられる(最終章参照)。そう、筋トレは人を変える! 目的をもって、ロジカルにやれば。