人新世の「資本論」 (集英社新書)
斎藤幸平
集英社
2020-10-16



エコバッグを持つことや、ペットボトル飲料を買わないことや、SDGsも大切だが、この本からもっと大切なことが学べる。

人新世(ひとしんせい)とは、人類が地球の地質や生態系に重大な影響を与える発端を起点として提案された、完新世に続く想定上の地質時代である。(wikipediaより)

ここでいう、地球の地質や生態系に重大な影響として、気候変動地球温暖化)が挙げられる。そして、その原因となったのが、経済成長であり、資本主義である。20世紀に入ってから、人口もGDPも劇的に増加したが、それに伴って、大気中の二酸化炭素濃度も劇的に増加し、気温が上昇し、熱帯雨林が消失していった

人新世
出処

資本主義は、一部の先進国社会や、1%の超富裕層に「豊かさ」をもたらしたが、廉価な労働力を搾取し、資源、エネルギー、食料といった地球環境も収奪していった。資本主義が発展すればするほど残り99%の人は貧しくなっていき、地球環境は危機的状況に陥っていった。さらなる経済成長により気候変動を食い止めることができると主張する経済学者もいるようだが、むしろ、地球環境はさらに危機的状況に陥り、格差は拡大するのではないか。

では、どうしたらいいのか?

経済成長を諦めるしかない。

キーワードは『脱成長』

無限の経済成長を目指す資本主義に終止符を打ち、大量生産・大量消費から脱却すれば、経済は減速するが、これ以外の方法で地球環境を守れない。資本主義のせいで疲弊した人間と自然が修復するには『脱成長』を目指さなければならない、と本書は主張する。既に資本主義に抵抗する運動が世界各地で起きており、本書はそのような事例も紹介している。

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今後、あらゆるところで『脱成長』というコトバを聞くことになるような気がする。本書を読んで、なんとなく、コロナが『脱成長』への転換点になるんじゃないかと思った。これまで現代人は、消費と労働を繰り返し、なにかに追い立てられていたが、そんな生活をしていても「豊かさ」は感じられない。無限の成長を追い求めるのではなく、持続可能な社会、持続可能な生き方を本来は求めるべきではないだろうか。地球レベルでも、個人レベルでも、「幸せ」になるために、あらゆるものをスローダウンすべきだな、と思った。

それは「困難な『闘い』」(P361)になるかもしれないが。


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