麻婆豆腐


これまで上場企業・上場準備企業40社位の決算早期化プロジェクトを支援させて頂いた。この分野では日本一の成果を出していると思うが、すべてのクライアントで成果を出せた訳ではない。以前も書いたが、依頼主が主体性を発揮しなければどんな腕のある医者が手術をしても完治しない。大きなプロジェクトをやるのに、全く主体性がなく、「カネを払ってるんだから治せ」という態度の依頼主もいた。メールをしても返事がない、納品したものを見ない、提案したものを無視する、そんな依頼主もいた。メールの返事すらない人に、こちらから手を差し伸べるほどお人好しにはなれない。契約期間満了まで月日が流れ、「はい、さようなら」というクライアントも数社あった。当然、そういうクライアントとは、契約期間満了後も会わない。

他方、私が驚くほどに主体的に取り組んでくれ、すごい成果を出してくれるクライアントもいる。そういうクライアントとは、契約満了後もやり取りをしているし、飲みにも行く。そういう方は「同志」だと思うので、話をすれば盛り上がるし、有意義な時間を過ごすことができる。

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数週間前のこと、私が決算早期化コンサルティングで一緒にプロジェクトをやった上場企業の経理部トップから、「不躾なお願いで恐縮ですが、武田先生のクライアントで、決算早期化に成功した企業の経理部のメンバーの方々と一度交流・意見交換ができないでしょうか」という依頼が来た。

このクライアントは、決算早期化プロジェクトを管理部門全体を巻き込んで主体的に取り組んで、社内で表彰されたほどに成果を出した。しかし、上場企業と言えども、他社との交流はほどんどないため、他社の決算がどのように行われているかを知る機会がない。そこで、上のような依頼が来たのだ。

そして今日、私のクライアントの経理部トップ同士が会しての食事会が開催された。話の内容はここでは省くが、とても有益な意見交換・情報交換が行われ、私もかなり勉強になった。

改めて思うのは、私が書籍で書いた「経理の本分」を経理部員が深く理解し、実務の中で実戦することが、経理部員を変え経営者を変え会社を変えるということだ。

経理部は金庫番ではないし、仕訳屋でもない。経営者に対する「情報サービス業」でなければならない。そこを目指して、経理部と経理部員を進化させることが、経理部トップの大きな責務だと思う。その過程で、他社の経理部トップとの交流というスパイスを投入すれば、進化が加速するかもしれない。今日はそういう会食の場を設けることができて、私も嬉しく思った。

経理部の方々は、なかなか経理部を出て他部門を見ることもなければ、社外に出て他企業と交流することもないという人が多い。けど、我流での進化には限界があると思う。企業秘密だとか、情報漏洩だとか、そんなことを恐れて、他社との交流にネガティブな経理部トップがめちゃくちゃ多いことは実に残念。経理部トップが率先して外に出ていくべきだと私は思う。


「経理」の本分
武田 雄治
中央経済社
2019-12-06