上高地帝国ホテル


旅をしている間、早朝から活動を開始し、夕方までに宿に入り、温泉に浸かり、夕食を食べ、地ビールかワインを飲み、20時には部屋で寛いでいた。そこから1日を振り返り、モレスキンに向かい、ブログを書き、翌日のプランニングを立てると、あっという間に夜中になる。そんな日が連日続き、本を読む時間が取れなかった。

私と違う場所を当てもなく旅をしている旅友Tさんとは、連日LINEで情報交換をしていた。そのTさんに「当てもない旅って忙しいな」と打つと、「そうなん?」と驚かれた。

その後のやり取りで、私とTさんは全く旅の進め方が違うことが分かった。Tさんは前日に行き先と移動手段しか決めないという。あとは現地に行ってから考える。だから準備に30分もかからない。私は、行き先で何をするかまで考える。することがなさそうなら別の行き先まで調べる。そして現地で一番良さそうな宿まで調べる。検索だけで軽く1時間以上はかかる。Tさんから、「そこまでプランニングしたら、『当てもない旅』とは言わんぞ」と言われたが、確かにそうかもしれん…。

ただ、限られた日程で、失敗せずに、効率的に楽しみ尽くしたいと思うと、事前準備に時間をかけてしまう。性格なのか慣れなのか。ホントは、沢木耕太郎の『深夜特急』に書かれているように、急がずに、道中での様々な出来事や人との出会いを楽しみながら『行き当たりばったりの旅』をしたいと思っているが、まだ実現できていない。

Tさんは(事前準備をしないから)失敗することも多いらしい。「今日も失敗して、することなくなったから本がかなり読めた(笑)」と。旅の間もやたらと本を読んでいるのは、そういうことなのか…。

人生いろいろ、旅もいろいろ。型にハメる必要もあるまいが、次はもうちょっとゆっくり進もうと思った。8日で800キロはちょっと移動しすぎたかな…。

『・・・旅を気軽にできるようになった若者たちに対して、私が微かに危惧を抱く点があるとすれば、旅の目的が単に「行く」ことだけになってしまっているのではないかということです。大事なのは「行く」過程で、何を「感じ」られたかということであるはずだからです。目的地に着くことよりも、そこに吹いている風を、流れている水を、降りそそいでいる光を、そして行き交う人をどう感受できるかということの方がはるかに大切なのです。』
(沢木耕太郎『旅する力―深夜特急ノート』 (新潮文庫) P343より)



(※ 上の写真は上高地で撮ったもの。本文とは関係ない。)