兵庫県立甲山森林公園


先日、古巣の大原簿記専門学校(大阪校)へ行って、公認会計士試験受験生と話をしていた際に、受験生から質問が多かったのが「独立」に関するものだった。「独立を決意したのはどういう時ですか?」、「独立はいつ頃すべきですか?」、「独立したら年収が増えるんですよね?」・・・と。受験生時代から「独立」を考えている人が多いことは意外だった。

この時に限らず、「独立」に関する質問は多い。私は一貫して「独立なんて安易にするもんじゃない」と言い続けているし、以前もそれを「やがて哀しき起業家たち」というタイトルで書いたことがある。

ここでも書いたとおり、独立をするということは、「価値」(Value)を提供するということである。その分野で日本一といえる「価値」を提供できるのであれば独立すべきだろうし、逆に、何の「価値」も提供できないのであれば独立しないほうがいい。独立したら儲かるなんて因果関係は全くない。独立ほど大変なことはないと思う。

今朝の読売新聞のコラム「編集手帳」が、志村けんさんの『志村流』(三笠書房)を引用していた。志村さんは、独立するかどうかを迷っている人に、3つの問いを立てている。
(1)何がしたのか、すぐ答えられるか
(2)これだけは自信がある、という特技はあるか
(3)他人から『ちょっと変わっているね』と、よく言われるか

(1)したいこと、(2)できること、(3)独自性、と言い換えることができるだろう。志村さんは、このうち1つでもNOがあれば独立しない方がいいと語っている。これは私も同意である。

私の場合、3つともYESになった時点で独立したが、それでも独立してから今に至るまでを振り返ると、辛いことが8割だ。クライアントから「ありがとう」といわれることは最高に幸せなことであったが、その裏でどれほどの不条理と理不尽に泣かされてきたことか。3つのうち1つでもNOであれば、とっくに心が折れ、潰されていただろう。

まずは自分の「価値」を高めること。日本一といえる「価値」を生み出すこと。自分の「価値」を高めたら、クライアントの期待を超える結果を出し、感動を与え、ありがとうを集め、信頼を高め、社会に足跡を残すために、どうすべきなのか自分に問えばいい。「ホントはどうしたいのか?」と。その「手段」のひとつが独立であり、それを「目的」にすべきではない。ビジネスは「だいじょうぶだぁ〜」でスタートすべきではないと私は思う。


(※ 写真は自宅近所の公園。本文とは何ら関係ない。)