ぜんぶ、すてれば
中野善壽
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2020-04-17



寺田倉庫の元社長、中野善壽さんの初の著書。

昨年出演された「カンブリア宮殿」を見た時は、「上場企業にこんな変わったな社長がいるのか…」と思ったが、本書を読んでも「変わった社長だなぁ」と思った。しかし、隅から隅まで共感した。

特に、何事にも執着せず、精神的自由を優先する生き様には共感する。家も車も時計も服も、スマホも、読み終えた本も、思い出も、予定も、人付き合いも、何もかも捨てるという。貯金も必要最低限だけ残し、あとは寄付をするという。社会人になった時から給与の3分の1を寄付してきたらしい。究極のミニマリストだ。


ぜんぶ、すてれば



何事も迷いなくやるという直感力・行動力も共感する。著者の生活拠点は台湾らしいが、そのキッカケは25年前にシンガポールに行く際に、トランジットの台北で「ここでもいいや」と思い、そのまま入国したことによるという。ホンマかいな…。「信じてくれない人が結構いますが、本当です」(P134)。その時、「台湾総統府」と書かれた建物があり、アポなしで突撃訪問すると仕事を紹介してくれ、そこで仕事をしているうちに台湾の財閥から声がかかって、そこのCOOに就任したという。

面白い人がいるという話を聞いたら、その人にアポもなしにフラリと会いにいくこともあるという。そのうちの一人が寺田倉庫の社長であり、その数十年後に著者は寺田倉庫の社長に就任する。なんという人生か。


ぜんぶ、すてれば


行動なくして変化なし。

こだわりを捨て、執着を捨て、人生を精一杯楽しまないと、と改めて思わせてくれる一冊だった。


ぜんぶ、すてれば


「準備万端の日」は一生やって来ないと思ったほうがいい。上には上がいるんだから。
僕はいつも行き当たりばったりで、それなりに失敗もしたけれど、今こうやって楽しく生きている。

何かを気にするよりも大事にすべきなのは、自分に嘘をついていないか。
できることは精一杯やってきたよな? と自分に問いかけて、嘘がなければ、思いきればいい。

大丈夫。また打席はやって来る。
(P17)



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