地球に住めなくなる日 「気候崩壊」の避けられない真実
デイビッド・ウォレス・ウェルズ
NHK出版
2020-03-14


感染症も恐ろしいけど、気候変動はもっと恐ろしいかもしれない。

2100年までに平均気温が4℃以上上昇する。そうなると、アメリカ、アフリカ、オーストラリア、シベリアから南のアジアには住めなくなるという予測もある。もちろん、日本も住めない国に含まれている

技術の進歩で何とかなるんじゃないかと思っている人もいるだろう(私もそう思っていた)。しかし、著者は「思い込み」だと否定する。なぜなら、二酸化炭素放出量はさらに増え続けるから。

人類誕生からの歴史の中で、いま生きている人の時間(人口×生きた時間)は全体の15%にもなる。いまの地球温暖化の原因は、(18世紀の産業革命が原因ではなく)この30年に大気中に放出された二酸化炭素が原因なのだ。つまり、地球温暖化はこの30年で激化し、これから人口100億人に向かう中でさらなる激化が予想される。

では、今後、気温が上昇したらどうなるのか?

本書に書かれていることをざっと列挙すると、
 ●いたるところで旱魃(かんばつ)が起きる
 ●海面上昇により多くの都市が浸水・水没する
 ●大気汚染が悪化する
 ●アメリカ西部での森林火災が16倍になる
 ●人口の4分の3が熱波の影響を受ける
 ●感染者が増加する
 ●農作物に影響し、地球規模の食料不足・食糧危機が起きる
 ●海洋生物が死滅する
 ●10億人が貧困にあえぐ
 ●4億人が水不足に見舞われる
 ●経済の生産性が悪化する(大不況が起きる)

読んでいて恐ろしいと思ったのは「熱波」だ。人間の生存能力を超える殺人熱波が吹き荒れ、恐ろしい数の死者が出る可能性があるという。

気温が上昇すると、戦争・紛争も増え、それによる死者も増えるという予測もある。「歴史のなかで起きた戦争の大部分は、資源をめぐる争いであり、資源の欠乏が戦いのきっかけだった」から(第16章より)。

こういった最悪の未来図は避けられるのか。本書に明確な回答は載っていないが、個人でレジ袋の使用を控えるといったレベルの話ではどうにもならない。「二酸化炭素排出量で世界の上位10%の企業がEU平均まで削減すれば、それだけで排出量は35%落ちる」らしい。つまり、気温変動を食い止めるには、「政策から変えなくてはならない」のであり、「投票行動のほうがはるかに重要」だという(第21章より)。政策や税制により、化石燃料を廃止し、農業のあり方を変え、食生活を変え、クリーンエネルギーへの投資を増やすなど、「やれることはたくさんある」(第24章より)。

では、個人レベルでは投票行動以外にできることはないのか。そんなことはない。

本書の末尾にある国立環境研究所の江守正多さんという方の「解説」がとてもいい。コンビニでレジ袋を断るといった行動は(CO2削減の観点からは)「とても効率の悪いこと」であるが、個々人のこういった取り組みが社会を動かすメッセージになり、「自分の行動にレバレッジが効く」ことができるだろうという(グレタさんが飛行機に乗らないと言っているように)。

ちなみに、我が国の新型コロナウイルスによる死者数は935名(2020/6/19時点)だが、2010年や2018年の猛暑では日本で年間1500人以上が熱中症で死んでいる。温暖化が進めば、国内で年間5000人を超える死者が出ると予測されている。そして、本書で書かれている通りに平均気温が4℃以上上昇すれば、東京や大阪は浸水する。冒頭にも書いたが、気候変動は感染症より恐ろしい。

地球を救うことができるのは、私達の行動と意見の発信。

Heal the World.
Make it a better place.