世界の性習俗 (角川新書)
杉岡 幸徳
KADOKAWA
2020-04-10



口直し的に、ちょっと変わった本を読んでみようと書店で手に取った本であるが、これはすごい本だった。

タイトルの通り、世界の性の習俗を紹介した本。改めて、地球はデカく、世界は広いと感じる。未知なる習俗があるわあるわ。

妻を貸し出す民族もあれば、交換する民族もある。処女しか結婚できない民族もあれば、非処女しか結婚できない民族もある。結婚初夜にセックスしてはならないという風習もあれば、結婚初夜は結婚式に来てくれた全ての男性を相手に花嫁がベッドを共にしなければならないという風習もある。裸で接することが礼儀という民族もあれば、妻の全裸を一生みたことがないという民族もいる。死体とセックスする地域もあれば、死者との結婚が合法な国もある。離婚のない国もあれば、結婚のない国もあれば、不倫が合法な地域もある。女性割礼(クリトリス等の割礼)を受け入れなければならない女性もいれば(全世界に2億人!?)、精液を飲まされ続けて男らしさを証明しなければならない男児もいれば、成人式で男性がフェラチオを強要される儀式もある。

読んでいて、顔をしかめたくなる箇所が他にもたくさんある。

ただ、これらがひどい習俗・文化なのかといえば、そうとも言えない。

それぞれの民族、部族等が、自分たちの習俗こそ至高だと考えており、ほかの民族等の習俗を気持ち悪いと思っている。そうやって日本の習俗、慣習、文化なども気持ち悪いと思われているに違いない。

本書の「あとがき」にも書かれているが、日本人だって、一度も会ったこともない、何の関係のない芸能人の不倫を徹底的にバッシングし、テレビ局に抗議の電話を入れないと気が済まない人々もいる。一夫多妻制の国や、不倫が合法化されている民族の人たちから、日本人の行動は笑われているだろう(日本人の私も失笑してるけど)。

著者は旅行が好きで、世界中いろいろな国を訪ねてきたという。旅の面白さは「常識を揺さぶられること」にあると著者がいうように、日本の常識が全く通じない国が幾つもあり、それが面白さでもある。

本書は、そんな常識を揺さぶられるものが詰まっている。世界を旅するように楽しませて頂いた。