誰が考えたのか分からんが、SNSで「ブックカバーチャレンジ」なるものが流行っている。

「読書文化の普及に貢献するためのチャレンジ」らしく、バトンが回ってきたら、7日連続でオススメの本のブックカバーをアップして、そのバトンを誰かに渡せ、という企画。Stay Homeの間に、色々なことを考える人がいるもんだ。

皆さんがどんな本を薦めているのかを楽しく見ていた。著名人も乗っかってるし、面白い本を紹介してくれる人もいるし、中々面白い企画だと思った。

毎日楽しく見ていたら、私にも思わぬところからバトンが回ってきた。スルーするのは失礼だし、せっかくなので楽しんでやろうと乗っかった。

ただ、オススメの本を7冊に絞ることは難しかった。SNSに難解な本や誰も興味を持たないような本をアップしても誰も嬉しくないし、かといってPOP過ぎる本や他の人が紹介しているような本をアップする気にもなれない。「ブックカバーチャレンジ」という限り、ブックカバーをアップすべきなのでkindleで読んだ本をアップしたくはない。そんなことを考えると、セレクトに意外と時間を取られた。

7冊をセレクトしてから始めたのではなく、1冊をアップしてから、2冊目をセレクトし・・・という進め方をしたので、結局、始める前には候補にも入っていないような本ばかりをアップすることになってしまったが、まぁ、いいとしよう。読書文化の普及に貢献できたかどうか分からないが、未知が既知になってくれる人が一人でもいれば嬉しい。

とりあえず、7冊を備忘のために、ココに残しておく。

【1日目】

深夜特急

私の人生、人生観、考え方を根底から変えた本。
DVD版もオススメ。
【補足】この本との出会いはヴィレッジ・ヴァンガード。私が旅好きになったのは、間違えなくこの本と出会ったから。沢木耕太郎さんの本は小説も含めかなり読んだ。


【2日目】

ぼんやりの時間

これも、私の人生観、考え方を根底から変えた本。

仕事で成果を出すだけでなく、ぼんやり過ごして幸せになることを優先するキッカケとなった。何十回と読み返している本。
【補足】絶版されたが、最近kindleで読めるようになったのが嬉しい。いまでも旅に出る時はこの本をバックパックに入れている。この本で引用・紹介されている本も殆ど読んだ。それらの本も私の人生観、考え方を変えた。例えば、ソロー「森の生活」、リンドバーグ「海からの贈り物」など。東京での生活をやめて、森や海で暮らしたいと思うようになったのは、この2冊の影響が大きい。結局、東京のマンションを引き払い、海が見える山の上に引っ越すことになった。


【3日目】


自己プロデュース力

勝つための方程式=X+Y(P29参照)
【補足】『紳竜の研究』というDVDも必見なのだが、誰かに貸して、戻ってこない。。。


【4日目】

孤独と人生
よく分からないことを言う哲学者もいるが、ショーペンハウアーとニーチェは気が合うわ(^^)
【補足】この本も絶版になったが、kindle版はあるので、是非kindleで読んで欲しい。光文社古典新訳文庫の『幸福について』、新潮文庫の『幸福について』も、中身は同じだが、訳者が違う。白水Uブックスの金森訳が一番読みやすい。新潮文庫の橋本訳はさっぱり読む気になれない。


【5日目】

愛する言葉

人間関係で必要なことが詰まってる。
【補足】この本も出会いはヴィレッジ・ヴァンガード。岡本太郎さんの秘書であり奥様の敏子さんの一つ一つの言葉がヤバい。

以下2つは、すごいと思った。究極の愛。

愛する言葉2



愛する言葉3


【6日目】

わが安売り哲学


学生時代は、中内功、藤田田、ドラッカー等の本を読み倒した。社会人になってからは、松下幸之助、北尾吉孝、稲盛和夫等の本を読み倒した。

商売の原点は、こういった本から学んだ。

特に中内功は商売人というより、スーパースターであり、エンターテイナーだった。

中内功は、1995年1月17日午前5時46分の阪神大震災発生から約1時間後の午前7時に、ダイエーに災害対策本部を設置し、360名の応援部隊を東京と福岡から神戸入りさせることを決定した。そして、午前8時にはヘリコプター、フェリー、タンクローリー、トラックなど陸海空の輸送手段の確保に入り、午前中には新木場のヘリポートから神戸に向かって大量の物資を運んだ。ちなみに、村山内閣が閣議で非常災害対策本部の設置を決定したのが震災から4時間後の午前10時のこと。中内は、その時間に物資の輸送の準備に入っていたのだ

しかも、ダイエーは、震災発生当日の17日と翌18日は、正月の休日振替日で全店休業予定だった。しかし中内は、17日の午前7時半の時点で、開けることができる店はすべて開けるように指示を出す。ダイエーやローソンの店舗自体も大きな被害を受けたので開店できない店も多くあったにも関わらず、それでも電気が通っている店は終夜明かりを灯すように指示を出したのだ。

この明かりが、どれほど神戸の人々の不安をやわらげ、勇気を与えたことか・・・。

いまだこんな経営者を見たことがない。

最終的に多角化経営が失敗し、ダイエーはイオングループとなってしまったが、私にとっては憧れの経営者である。学生時代に図書館にある中内功関連本を全て読んだことは、私の商売の礎になっている。
【補足】私の通っていた高校(関西学院高等部)は「卒論」を課せられたのだが、私の卒論テーマは「日本マクドナルドはなぜ2000億円企業になりえたのか」だった。95点の高評価を得て、学年トップだったと思う。当時から商売に興味があった。ダイエーは既にテーマに相応しい企業ではなかった。


【7日目】

多読術

変態・変人が好き♡

西田幾多郎、鈴木大拙、安岡正篤、森信三などの本を紹介しようかとも思ったが、最終日は現存する変態、松岡正剛先生の本で締め括りたい。

松岡正剛の壮大なる世界観、壮絶な編集力、超絶なアウトプットは一生努力しても追いつけないと思うが、私が目標とする人物である。

会計メインの日常から、編集メインの日常に変えたいと思ったのも、セイゴウ先生との出会いがキッカケだ。

いい本は、いい人生を作る。
これからも、いい本を探す旅に出よう。
【補足】松岡正剛の恐るべし書評「千夜千冊」は、定価99,750円で書籍化された初版1000部を完売し出版界の「事件」となった。この伝説の書が、文庫化されて角川ソフィア文庫から出版されている。「知」が出版を通して驚くほど安く手に入ることは本当に有り難いこと。松岡正剛の壮大なる世界観を知りたい方は、「国家と私の行方」(西巻・東巻)がオススメ。


ちなみに、「ブックカバーチャレンジ」を始める前は、サマセット・モーム「サミングアップ」、森信三「終身教授録」、安岡正篤「一日一言」、飲茶「史上最強の哲学入門」などが候補に挙がったが、面白い本ではないので差し替えた。じゃ、中内功の本が面白いのかというと、そうとも言えないけど。。。


以上。

良い本で、良い人生を!
No Fun,No Life !!