夙川_桜

自宅の近くの桜の名所も、今年は花見禁止。散策のみOKということで、必要火急の用事で通りかかった際にスマホで撮ってみた。我ながら上手く撮れた。

陸上ハンマー投げの室伏広治さん(2004年アテネ五輪 金メダリスト)は、ハンマー投げ選手の父の指導により、3歳の頃から発泡スチロール製のハンマーに触れていた。高校生で日本選手権に出場し、大学3年の時に初優勝。以後、前人未到の20連覇(20年連続優勝)を達成する。20歳頃〜40歳頃まで勝ち続けたということになる。

これだけの偉業を成し遂げた室伏広治さんだが、30歳の時に身体が悲鳴を上げる(それでも日本選手権に出場して優勝するのだが)。いわゆる「バーンアウトシンドローム」(燃え尽き症候群)を体験する。室伏さんは、このまま頑張っても十分納得する結果が得られないと判断し、(国内に敵無しの状況であったにも関わらず)1シーズンを休養に充てるという決断をする。

「休む」という決断は、非常につらく、不安なものだったという。最前列から離れたら、自分の居場所がなくなるかもしれない。しかし、「休む」からこそ、疲れから解放され、新しい自分の力を見出す突破口になる。室伏さんは、思い切って休んだことによって、これまでの常識・固定概念・強迫観念からは考えられなかったトレーニング法を編み出す。これまで16ポンド(7.26kg)の金属製ハンマーを遠くに投げるために、負荷をかけたトレーニングをしていたが、なんと、紙飛行機を投げるトレーニングまで取り入れる。そうやって、身体・筋肉・神経・感覚を、これまでとは全く違う使い方をしていった。眠っている可能性を呼び覚ましたのだ。そして、上述の通り、40歳頃まで勝ち続ける。

室伏さんは、疲れを「悪」と捉えてはならないと言う。疲れたら「休む」。イヤな状況から、物理的、時間的な距離を取ること。忘れること。逃げること。捨てること。こだわらないこと。心の病を抱える人は、「強いこだわり」を満ち続けてしまうことが多いらしい。

経済の流れが変わってしまった今、何をしていいか分からないという人の声を聞くが、抗っても仕方ないことは抗わない方がいいと思う。月末の支払いも出来ないという状況なら知恵を絞るしかない。そうでないなら、高く飛び立つために、いったんしゃがむのもいいかもしれない。昨日も書いたが、ネットなどの情報に惑わされず、冷静に、知的に、自分の頭で考えることが必要だと思う。



室伏式 世界最高の疲労回復
室伏 広治
KADOKAWA
2019-12-20