空気を読む脳 (講談社+α新書)
中野 信子
講談社
2020-02-20



芸能人の不倫、政治家の失言、芸能人の不適切な振る舞い、弱者へのいじめ、他人への過干渉・・・、寄ってたかって特定の人物を攻撃する協調性同調性)を、日本人は生得的に(先天的、遺伝的に)持っている。

今般のコロナウイルスの騒動においても、この日本人の特性が顕著に表れたのではないだろうか。御上の人々に対する批判、SNSでの不安と同調の拡散、トイレットペーパーの買い占めなどなど。冷静で知的とは思えない衝動的な行動を起こし、群れを作り、それが既得権益層を生み出し、そのヒエラルキーに入らない者を非国民扱いし、さらに叩きのめす。

Twitterにおいて、ある方が、ドラッグストアにトイレットペーパーを買いに行った知人を見て、「恐怖や不安というよりとても興奮していました」「何というか満たされない承認欲求が満たされている感じ」と書かれていた。こういった衝動的行動に、強い正義感と快感が得られる人がかなりの割合で存在するのだろう。

先日発売された中野信子さんの『空気を読む脳』も、この日本人の生得的な協調性を取り上げている。冒頭から特攻隊を取り上げている所が面白い。日本人の脳には独特の遺伝的な特性があることが分かっている。その遺伝子特性が、日本人を(自分の利益を失っても)不正をした相手に制裁を加えたいという気持ちが世界一強い民族にした可能性があるという。冷静で合理的な選択をするよりも熱狂することを望むのだ(第1章参照)。それが第二次世界大戦の特攻を生み出したという。つまり「カミカゼ遺伝子」なるものが現代の日本人の脳内にも息づいているというのだ。(赤の他人である)有名人が不倫したことや、反社会的勢力と関わっていたことを、これでもかという位に徹底してバッシングする日本人の特異な言動も、この「カミカゼ遺伝子」から説明がつく。

有名な話だが、もともと人類は一夫多妻制であり、乱婚を営み、子孫を残していた。もちろんその遺伝子が今の代にも引き継がれている。人口の約50%が不倫遺伝子を持つらしいが(P73)、人類の歴史を振り返ると特に不思議なことではない。乱婚時代の方が圧倒的に長いのだ。不倫バッシングを行う日本人も、他人のことを言えた義理ではない。中野信子さんは、これを「絶対的自己矛盾」と述べている箇所は少し笑えた(P75)。

この同調圧力、自己犠牲、滅私奉公、他者監視、封建主義、全体主義、絶対的自己矛盾…といった特質を持つ日本人と協調しなければならない空気感に生きづらさや息苦しさを感じる事が多い。「他人の目を気にしすぎ」な他人といることにすら疲れる。

私は、バッシングというエンターテイメントに無駄な時間を割いて、自分の正義感を正当化するような人生は虚しいと思う。もっと自分の幸せを考えた方がいいと思うし、自分が幸せになるための超自己チューな生き方を模索した方がいいと思う。小室哲哉を引退に追い込むよりも、彼がライブに出た方が、どれほど多くの国民を幸せにし、快感を与えただろうか。

Self Control.