子育て中の母親 必読。


生物学的に、人に幸福を与える仕組み3つしかないらしい(P98)。
(この3つがないと、つらいことばかりなのだ(P100) )

 \戸的な満足、快感エンドルフィン系
  (ex) お腹いっぱい食べる、性的な興奮
◆|成感、報酬系の満足ドーパミン系
  (ex) テスト問題が解けた、マラソンに完走した等の「やった!」という快感
 精神的充足感オキシトシン系
  (ex) 愛、愛着

ここで、「愛着」の仕組みがうまく機能しない時(=による幸福が得られれない時)、人は以下の2つの行動により(代替的に)幸福を得ようとする。(P100〜)
 如短絡的にエンドルフィンを放出をさせることにのめり込む
  (ex) 過食、セックス依存
◆如短絡的にドーパミンの放出をさせることにのめり込む
  (ex) 薬物、ギャンブル、アルコール、買い物、ゲーム等への依存


はしょって書いたが、これで、精神病とも神経症ともつかない現代の奇病の「原因と結果」がハッキリと分かるだろう。

あらゆる依存症、過食嘔吐、摂食障害、ADHD(注意欠如/多動性障害)、うつ、躁うつ、境界性パーソナリティ障害、解離性障害、気分変調症、発達障害・・・といった現代社会で異様に増加し続けるこれらの症状は、「愛着障害」が関わっていることが明らかになっている。


私が、冒頭で「子育て中の母親 必読」と書いたのはなぜかといえば、これらの症状が、中高年ではなく、子どもに急増しているからである。その理由は、書き始めると長くなるので省略するが、先日紹介した上田紀行著『生きる意味』に書かれている戦後の「生きる意味」の喪失感に通じるものがある。戦後の利益主義、効率主義が無機的社会を生み、親子の絆さえもバラバラに粉砕したケースが増えてしまった(P156)。

私が「怖いなぁ〜」と思ったのは、子どもが「愛着障害」にあることの原因が、親との関係に問題があるということを、親の方が気づいていないケースが少なくないということ(P196〜)。一部の親は、親が子どもよりも賢明な方法や正しいことを知っているのだから、子どもにそれを求めることは当然のことだと思い、親が抱いた基準や期待に沿って子どもを動かそうとしている子どもはそれに内心反発し、心がつぶれそうになっているのに、我が子の心の声に気づかない子どもも自分と同じことを望んでいると勘違いしていることも珍しくない

子どもは、母親という「安全基地」(=頼れる場所)を求めている。しかし、母親の愛着が機能していないため、子どもにとって「安全基地」になれない子どもは、ありのままを愛されず、無条件の愛を与えてもらていないと感じる(=オキシトシン系の精神的充足感がない)。すると、上述した「愛着」の仕組みがうまく機能しない時の  のような異常な行動(ゲーム依存等)を取る。母親の方は、何が起きているのか、自分でもどうしていいのか分からないまま、自分の「常識」が通じない子どもに手を焼き、怒り、嘆き、叱り続ける(P198〜)。

このような子ども対して、親がしなければならないことは、子どもの「病気」を治すことではない(P188)。自分自身(=母親)が子どもの「安全基地」になれるようにサポートすることである(P189)。このような母親に共通することは「安全基地」になる能力に欠陥が見られることであり(P204)、「共感性」が乏しい(P206〜)。「安全基地」とは、あくまで最終的に本人を自立させることであるため、「ほどよい世話」「ほどよい関わり」ができなければならない(P204)。本人が求めてもないのに、口出し・手出しをすることは、危険が迫っているような時以外は控え、本人の主体性を尊重した対応を優先しなければならない(P206)。

母親がそういうことをせずに、子どもが依存しているものを取り上げるようなことをしたら、子どもにとっては生きながらえるのに必要なものを失うことになる。

するとどうなるか。

最悪の場合、「死に至る」
何をしても喜びが感じられない人間は死を選ぶ。

「死に至る病」からの回復は、愛着の安定と、安全基地を提供することである。



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最後に、最近流行りの(?)「自己肯定感」というコトバについて、とても共感したので備忘のために抜粋。

自己肯定感を持ちなさい、などと、いい年になった人たちに臆面もなく言う専門家がいる。が、それは、育ち盛りのときに栄養が足りずに大きくなれなかった人に、背を伸ばしなさいと言っているようなものだ。自己肯定感は、これまでの人生の結果であり、原因ではない。それを高めなさいなどと簡単に言うのは、本当に苦しんだことなどない人が、口先の理屈で言う言葉に思える。

一番大切な人にさえ、自分を大切にしてもらえなかった人が、どうやって自分を大切に思えるのか
(P20)



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