レバレッジ・シリーズで有名な本田直之さんが『50歳からのゼロ・リセット』(青春新書)という本を出版され、タイトルに惹かれて買ってみた。特段気付きはなかったが、一点、驚くことが書いていた。

平成最後の年となった今年(2019年、平成31年)の年初、雑誌『DIME』が、平成元年当時の記事を再掲載していたらしい。それは、「ワープロは、いずれなくなるのですか?」という編集部の質問に、大手メーカーの担当者が回答するというもの(平成元年10月19日号の記事)。

その回答が、すごすぎる。

●NECの担当者
「ワープロは文書を書く機械として特化されていますから、その必要性はなくならないんじゃないかな」

●キャノンの担当者
「ワープロがパソコンに取り込まれることはないでしょう」

●シャープの担当者
「人間の扱う道具は使いやすいことがいちばんだと思いますから、ワープロは文書専用機として残るでしょう」

●東芝の担当者
「そんなこと誰が言っているのですか。パソコンとワープロはこれからますます共存共栄していきますよ。今はワープロとパソコンの台数はほぼ同数ですが、将来的にはワープロ10に対してパソコン1ぐらいの割合になると思います」

●富士通の担当者
「たとえば車の会社を考えてみてください。セダンをワープロとすれば、パソコンはトラックに相当します」

●松下電器(現パナソニック)の担当者
「5年前、パソコンの普及台数は100万台、今は120万台と伸びはゆるやかです。一方、ワープロは30万台が280万台にまで伸びています。この数字を見ただけでも、パソコン社会よりワープロ社会到来の方が早いと考える材料になります」

笑ってしまいそうな内容だが、笑えない・・・。
大手メーカーの担当者の予測は全員が外れ、ワープロは完全に姿を消した。パソコン社会が到来するとは平成元年(1989年)の頃は誰も予測できず、当然スマホの誕生も誰も予測できなかったはず(なお、iPhoneが発売されたのは2007年)。

平成元年(1989年)だとガラケーもポケベルも一般人は持ってなかった頃だろう。時代は劇的にしか変わらない。

当時は、30年後に時価総額が数十兆円の企業がゴロゴロと出てくることも予測不能だったに違いない。しかも上位は、スマホの会社、ネット通販の会社、検索エンジンの会社、OSの会社、SNSの会社が並ぶ(下表参照)。やっぱり笑ってしまいそうだ。

人生もテクノロジーも予測不能。意識的に「ゼロ・リセット」なんかしなくても、川の流れに身を委ねれば、違う世界に流れ着くんじゃないか。

知らんけど。


時価総額ランキング
※画像(図表)はネットから拝借した