橘玲氏の新刊書『事実 vs 本能 ―目を背けたいファクトにも理由』を、先日紹介した『上級国民/下級国民』を読んだ後にを読んだ。

集英社の雑誌連載を編集したシリーズ4作目。前3作の『不愉快なことには理由がある』『バカが多いのには理由がある』『「リベラル」がうさんくさいのには理由がある』(いずれも集英社文庫)は、どれも複数回読んだ。個人的に、好きなシリーズ。

この4作シリーズで述べられているのは、マスコミの記事等を『本能』(思い込み)によって信じ込むのではなく、『事実』(ファクト)を知ろうぜ、ということか。私たちの『本能』が世界を正しく見ることを邪魔しているから(P253)。

「子供は褒めて伸ばす」のが良いという思い込みがあるが、様々な研究によって、子供をただ褒めるのは意味がないばかりか有害でもあることが分かっている(P110〜)。子育ての責任は母親が負わされている(しかも、強いプレッシャーをもって)という思い込みがあるが、行動遺伝学の知見によれば、子供の人格は遺伝と(子供時代の)友達関係で決まり、親が影響を及ぼせることは僅かしかない(P68〜)。

このような、衝撃的で、ショッキングな『不都合な事実』(ファクト)が、いくつも紹介されている。

いま、私達が正しいと思っていることの多くが、戦後の驚異的な経済成長を果たしてからのたった数十年の価値観を元に判断しているかもしれない。しかし、ヒトの脳は狩猟採集生活をしていた旧石器時代に生き延びるように「設計」されているわけであり、例えば、子供が親の思い通りに勉強しないことも、ゲームに夢中になることも、進化論的にいえば当然なのかも…。



本書で度々紹介されている『FACTFULLNESS』も一度読んでみようと思う。