「帯」に衝撃を受けて購入。

ケーキを3等分に切れない少年なんているのか!? と思ったが、そんなもんじゃない。足し算が出来ない、漢字が読めない、簡単な図形が移せない・・・といった少年が大勢いるという(P23〜)。ショックがデカ過ぎる。

著者は、少年院で多くの非行少年と向き合ってきた経験がある児童精神科医。少年院に入るような非行少年を多く支援してきた著者は、現代の「褒める教育」では問題は解決しないという(P28〜、P121〜)。勉強も苦手、運動も苦手、対人関係も苦手、褒められるところはそうそう簡単には見付からない子供を褒めたところで、何かが解決するのか。そのような教育は、「問題の先送り」にしかならないと、バッサリ(P29)。

このような子供がいると、「自尊感情が低い」と言われることがある。最近の流行りのコトバで言えば「自己肯定感が低い」というヤツか。少年鑑別所の調書にもそう書かれているらしい。

しかし、著者は、次のように言っている(P124〜)。
●親や先生から叱られ続けているので、自尊感情が高いはずがない。
●そもそも、自尊感情が低いことが問題なのか?
●我々大人は、自尊感情が高いのか?
●自尊感情が低い大人の方が多いのではないか?
●子供にだけ自尊感情が低いことを問題にするのは矛盾している

ぐうの音も出ない。自己肯定感は無理に上げる必要はなく、低いままでいいありのままの現実の自分を受け入れる強さが必要であり、「もういい加減『自尊感情が……』といった表現から卒業して欲しい」とのリクエストもしている(P126)。

子供達は、学ぶことに飢えているし、認められることに飢えている(P30、おそらく大人も同じだと思うが)。そのため、子供への教育で必要なことは、次の2つ(第7章)。
(1)自己への気づき
(2)自己評価の向上


子供達に「教えるんだ」という視点ではダメで(P156)、子供達に出来るだけ多くの気づきの場を提供し(P153)、適切な自己評価で出来るようにすることが大切。そうすれば自己洞察・自己内省が行えるようになり、理想の自分に近づいていく(P150)。大人が子供に大して、「あなたを見てますよ」とサインを送るだけでも効果があるという(P151)。存在承認がどれほど大切かを痛感する。

本書で特に印象に残っているのが、「子どもの心に扉があるとすれば、その取手は内側にしかついていない」という、ある矯正教育に長年携わっていた方のコトバ(P153)。子供の心を開くには、子供自身がハッとする気づきの体験が最も大切であり、我々大人の役割は、説教や叱責などによって無理やり扉を開けされることではなく、子供自身にできるだけ多くの気づきの場を提供すること

ホントにそのとおりだと思う、扉を外から開けようとする親・教育者が多いように思うが、そういう人にこそ、本書を読んで欲しい、

本書を書店で見た時は、「教科書が読めない子どもたち」系の内容なのかと思ったが、全く違った。おそらく、タイトルは出版社が付けたものだろう。POPなタイトルが付いているが、中身は実に濃い。子供を持つ親、教育者にはオススメ。


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