大手町にオフィスを借りて何年も経つが、この店に初めて入った。この店の前は100回以上通っていたが、こんなマニアックな店とは思わなかった。小さな店なのに在庫量が半端ない。この店の常連客を経由してお店の人を紹介してもらい、オススメのビールを次々と持ってきてもらったが、どれも最高に美味しかった。料理も美味しかった。
一人でも入りやすそうな店なので、また通いたいとも思ったが、途中から喫煙可能の店であることが分かり、完全に萎えた。店でたった一人、タバコを吸っているヤツがいただけだが、ビールの香りを全て持っていかれた。空気読め。
隣にいた白人が飲んでる途中で急に帰っていった理由が分かった。
残念ながら、もうこの店に来ることはないな。
宿泊は、定宿になっている西新宿のホテルへ。
隣の東京都庁もオリンピックカラーにライトアップされていた。
ホテルにチェックインする時は、泥酔していても、超一流ハリウッドスターにでも成りきって、オーラを全開に押し出す。フロントで待ち構える女性の前に立ち、一瞬の間をおく。あえて黙る。「俺の名前を知らんのか?」という空気を作る。「お名前を頂けますか?」と向こうが言い出しそうになるのを待つ。向こうが口を開きそうになる瞬間に、「武田です」と1オクターブ下げた声で伝える。ほんの1秒の真剣勝負。結果は直ぐに分かる。
「武田様ですね。申し訳ございませんが、こちらの都合により、お部屋をキングサイズのベッドの部屋にアップグレードさせて頂きました。」
「ありがとう」
いつも交わされるお決まりの会話。ひとりで泊まるにはデカすぎるベッドにぶっ倒れ、そのまま意識を失った。