この本はヤバい。

佐藤優氏の書籍で本書が度々紹介されているのでかなり前に購入したものの、積読状態になっていたのですが、先日紹介した岡田尊司著『生きるのが面倒くさい人』を読んだのを機に読み始めました。

マインド・コントロールの本質は「騙す」こと。マインド・コントロールする人間は、される人間の信頼性を利用して、経済的、身体的、心理的、性的搾取を行う(P46〜参照)。

「騙す」というと、相手をワナにかけるなどの悪意をもった行為のように思われますが、実はそれだけではありません。人は、騙したとは気付かれずに相手を騙す知能を身に付け、騙された人は、騙されたとは思わず、むしろ良いことを教えてくれたとか、助けてもらったとか、目を開かされたと感じ、感謝や尊敬を捧げることもあります(P48参照)。戦争に行くことも、テロリストの仲間入りをすることも、怪しい宗教に入ることも、ブラック企業に入ることも、小さい時から学習塾に通うことも、ある種のマインド・コントロールを施されているのです。

つまり、私も、あなたも、きっと誰かに騙されてきたし、今も騙されているかもしれない。

本書は、マインド・コントロールする側、される側の両方の視点から、その「特性」を解説してくれていますが、これは非常に勉強になりました。既知か未知かで人生が変わると思います。

大切なことは、その「特性」を利用して他人を騙すことではなく、自分の現状を客観的に見ること、自分がいかにコントロールを受けているかを自覚することです。主体的に自分の運命を選ぶことです。佐藤優氏が本書の帯で『本書は21世紀の必読書である』と大絶賛している理由も、おそらくここにあるのではないかと。

全体主義の亡霊が人々の心をとらえ、排除と戦争へと暴走させるのは、多くの人々が自分の頭で考える余裕をなくし、受動的な受け売りを、自分の意思だと勘違いするようになったときである。そのとき同時に見られる兆候は、白か黒かの決着をつけようとする潔癖性が亢進し独善的な過剰反応が起きやすくなるということである。

マインド・コントロールの問題が突きつけている問いは、われわれ現代人に、自らの運命を選ぶ主体性はあるのかということに思える。(本書「おわりに」より)