紀伊國屋書店で出会った一冊。

仕事、健康、家庭、お金・・・といった現代人が抱える悩みは、既に哲学者が格闘し、答えを出しているのではないか。

ということで、以下の目次の通り、現代人が抱えているであろう「25の悩み」を取り上げ、それに対する哲学者の「格闘した思索の跡」をたどっていく、という何ともワクワクする内容。


▼目次
■仕事
「将来、食べていけるか不安」 ⇒アリストテレス
「忙しい。時間がない」 ⇒アンリ・ベルクソン
「お金持ちになりたい」 ⇒マックス・ウェーバー
「やりたいことはあるが、行動に移す勇気がない」 ⇒ルネ・デカルト
「会社を辞めたいが辞められない」 ⇒ジル・ドゥルーズ

■自意識・劣等感
「緊張してしまう」 ⇒ゴータマ・シッダールタ(ブッダ)
「自分の顔が醜い」 ⇒ジャン= ポール・サルトル
「思い出したくない過去をフラッシュバックする」 ⇒フリードリヒ・ニーチェ
「自分を他人と比べて落ちこんでしまう」 ⇒ミハイ・チクセントミハイ
「他人から認められたい。チヤホヤされたい」 ⇒ジャック・ラカン
「ダイエットが続かない」 ⇒ ジョン・スチュアート・ミル
「常に漠然とした不安に襲われている」 ⇒トマス・ホッブズ
「人の目が気になる」 ⇒ミシェル・フーコー

■人間関係
「友人から下に見られている」 ⇒アルフレッド・アドラー
「嫌いな上司がいる。上司とうまくいっていない」 ⇒バールーフ・デ・スピノザ
「家族が憎い」 ⇒ハンナ・アーレント

■恋愛・結婚
「恋人や妻(夫)とけんかが絶えない」 ⇒ゲオルク・W・F・ヘーゲル
「不倫がやめられない」 ⇒イマヌエル・カント
「大切な人を失った」 ⇒ジークムント・フロイト

■人生
「やりたいことがない。毎日が楽しくない」 ⇒道元
「人生の選択に迫られている」 ⇒ダニエル・カーネマン
「夜、孤独を感じる」 ⇒アルトゥール・ショーペンハウアー

■死・病気
「死ぬのが怖い」 ⇒ソクラテス
「人生がつらい」 ⇒マルティン・ハイデガー
「重い病気にかかっている」 ⇒ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン


哲学の入門書として読むのもよいと思いますが、それぞれの悩みに対する自分の答えと哲学者の答えを対比させながら読み進めると面白いのではないかと思います。

希代の哲学者の回答ですから、どれも「極端」なものばかりですが、妙に納得感があるのはショーペンハウアーなんですよね〜。「この世界は悪と悲惨に満ちたものだ」という人生観を指す悲観主義(厭世哲学、ペシミズム哲学)の代表ともいわれるショーペンハウアー。私もきっと楽観主義者を装っている悲観主義者なんでしょう。。。


ショーペンハウアーに興味がある方は、以下の『孤独と人生』 (白水uブックス)をオススメします。他の出版社から『幸福について』というタイトルで出版されているものと同じ内容ですが、こちらの金森誠也訳がずば抜けて読みやすいです。


孤独と人生 (白水uブックス)
アルトゥール ショーペンハウアー
白水社
2010-04-01